マネージメントをする立場の人なら誰でも、部下が自ら自発的に動き、かつ自分を慕ってくれることを望んでいます。
しかし、現実はなかなか難しいもので、何か指示を出すと、それに対して不満そうな顔をしたり、なかなか動きださなかったり、あからさまに文句を言う人たちがいます。
ここでは、部下が自ら動き、かつ慕われている上司の条件の一つである「逆ホウレンソウ」の重要性についてまとめています。
逆ホウレンソウとは何か?
ビジネスの世界にいる人は少なからず「ホウレンソウ(報連相)」という言葉を聞いたことがあると思います。
「報告ー連絡ー相談」の略で、部下に対して「何かあったらすぐに連絡するように」という内容です。
部下に慕われない上司
部下がなかなかいうことを聞かず、全く慕われていない上司は部下に対して「ホウレンソウ」を強要して、自分はふんぞり返って待っているだけの人です。
上司と部下の関係でなくても、人には「あれやれ」「これやれ」と求めてばかりで、何もしない人のことを相手が好きになることはありません。
またそういった人は、課長や部長など上の役職が集まる会議で決まった方針などを「部下に伝える必要はない」「大したことはない」と考えています。
あまりにたくさんの情報を与えて部下が混乱することを防ぐという点では間違ってはいませんが、今後、部下に仕事を割り振る理由になるのであればあらかじめ伝えておくべきです。
部下に好かれる上司
一方、部下が自ら動き、かつ、好かれる上司というのは、部下に「ホウレンソウ」を求めるだけでなく、自らも「ホウレンソウ」を部下にしています。
指示を出す前に理由を伝える
例えば、何か指示をするときには「なぜそれをやるのか」という理由を説明します。
アメリカの心理学者エレン・ランガーの実験で、人は理由をつけると依頼を承諾する確率が大幅にあがるということがわかっています。
いきなり「あれやっといて」と指示だけされると「なんで?」と感じてイラッとするのが人間です。
ですが、「〇〇だから、あれをやっておいて」と言われれば「わかった」となります。
エレン・ランガーの実験では更に興味深いこともわかっています。それは「〇〇なので」という理由は、適切なものである必要はないということです。
とりあえず「〇〇だから」という理由があるだけで、人は依頼を承諾して快く動いてくれる確率が上がります。
部下にも情報を共有する
課長や部長など上の役職の人たちが集められて行われる会議があります。その場合に、そこで決まった内容や方向性を部下に共有することも重要です。
例えば、メールソフトOutlookからGmailに変わるといった些細なことであっても、なぜ変わるのかを共有するべきです。
そうでないと、急に「Gmailに変わったので切り替えてください」と言われたら、「なんでこんなめんどくさいことやらなきゃいけないんだ」と下の人たちから文句が出ます。
リーダーは部下・社員のために一生懸命働く召使い
黒字化が厳しい航空業界で、40年連続黒字経営を続けている世界的に有名な企業にサウスウエスト航空があります。
サウスウエスト航空はその好成績ゆえに多くのビジネス本や、MBAの教科書で引き合いに出されます。
そのサウスウエスト航空の創業者ハーバート・ケレハーは人の上に立つ人はどういうマインドを持つべきかについて次のように語っています。
リーダーのマインドは部下・社員のために一生懸命働く召使い。
顧客よりも社員を優先する。
そういう上司の元で働くからこそ、部下が上司を信頼してやる気を出し、指示に従ったり、サービスの質が向上し業績が上がるという構造になっています。
自分は偉そうにして、部下を顎で指図していても成果が出るような好景気はとっくに終わっています。
伝えるべき3つの情報
部下に情報を伝えるときには次の3つの情報で伝えると、よりわかりやすく納得感が高いものになります。
決定事項
人に物事を伝えるときの基本は「結論から」です。
このため、最初に何が決まったのかを伝えます。
理由
次に伝えるのは「理由」です。なぜそれをやる事になったのかの背景や、それをやる事で何を目的としているのかを伝えます。
メッセージ
最後に、その決定事項を実行することについて上司からのメッセージを伝えます。
基本的には起こりうる不満などを先読みして、「こういった不満が出ると思うが、そこはこのように対処して欲しい」と伝えます。
それだけで部下は「気持ちを理解してもらっている」ということがわかり、一歩前に進むことができます。
最後に「何かあればなんでも共有してください。みんな忙しい中大変だとは思いますが、よろしくお願いします」と依頼をする形にすれば、部下への配慮は完璧です。
参考
この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。
この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。
興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。