企業で行われる2つのコミュニケーション|組織目線と社員目線(会社を辞めるのは上司と離れたいから)

ビジネス
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企業で行われるコミュニケーションには2種類あります。

私たちが普段会社で上司や部下と「会社の目標は何か」「どんな数値を達成するか」「今日のタスクは何か」について話します。

ミーティングで話すことも同じです。直近の課題やタスクの進め方についての議論や、会社の方針や注意事項の共有になります。

ですが、こういった会話が多い=コミュニケーションが多いとはなりません。

ここでは、組織目線と社員目線の2つのコミュニケーションについて解説しています。


組織目線のコミュニケーション

私たちが普段行う「会社の目標は何か」「どんな数値を達成するか」「今日のタスクは何か」といったコミュニケーションは組織目線のコミュニケーションです。

組織の目標ややらなければいけないことを確認・共有するために行います。組織がどこに向かっていて、個々人がそれぞれいつまでに何をしなければいけないかを明確にします。

このコミュニケーションはもちろん重要です。

このコミュニケーションが疎かになると、闇雲に動く社員や、何していいかわからず混乱する社員、サボる社員がでてきます。

会社にあるコミュニケーションはこれだけであるべきだと考えている人もいます。

ですが、そういったコミュニケーションばかりしていると次のような問題が発生します。

組織目線のコミュニケーションによる問題
  • 優秀な人が急に辞めてしまう。
  • 厳しくするとすぐにメンタルを病む。
  • 言われたことしかやらない。
  • 助け合わない。

組織目線のコミュニケーションは「お前の考えはどうでもいい」「組織の目標に直結することだけやれ」というメッセージでもあります。

最初は「成長したい」という希望を持って働いていた人たちは、ある程度成長するとこの会社では自分の求めるものが達成できなくなるので辞めていきます

管理されることが当たり前になるので、言われたことしかやらない人たちが増えます

そして、それについていけない人たちは病んで離脱していきます


社員が辞める一番の理由

人が病んだり、組織を辞める原因の一つに「悩んだときに相談できる人がいない」ということがあります。

人は働きながら色々な思いが生まれてくる生き物です。「職場の雰囲気が合わない」「評価に納得がいかない」「成績が伸び悩んでいる」「どう進めていいかわからない」「今のやり方で進めることに不安がある」など抱えている悩みは様々です。

最初は小さな悩みでも、ずっと打ち明けられずにいると「この職場では無理」「私を表現できない」となってしまい、急に病んで会社に来なくなったり退社してしまったりします。

実際、アメリカのギャラップ社が行った研究結果によると、会社を辞めた人のうち50%以上は、上司と離れたいために会社を辞めたことが報告されています

実際、上司との関係が良好なのに職場を辞めたというのはあまり耳にすることはありません。


社員目線のコミュニケーション

組織目線のコミュニケーション以外に会社で求められているのは社員目線のコミュニケーションです。

社員目線のコミュニケーションとは社員個人個人を中心としてコミュニケーションです。

社員目線のコミュニーケーション
  • 部下と信頼関係を作る。
  • 部下の不安を解消する。
  • 部下の心身状態を確認する。
  • 部下の実現したいことを確認する。

コミュニケーションの主語は「会社」や「組織の数値」ではなく「部下」です。

あなたの状態はどうか?あなたは今どんなことに悩んだり、ワクワクしているか?何を目標として、どんなことをやっていきたいか?

社員の状態や思いを把握することで会社として社員に寄り添うことができます

その寄り添う姿勢が「私はここにいてもいいんだ」という安心感につながったり、「ここで私の次の目標が達成できる」という新しいやりがいを発見することにつながり、病んだり、急に辞めてしまうということを防ぐことができます

社員も「自分の気持ちを話せる」「気持ちを汲み取って環境や仕事を改善してくれる」と感じれば、より働きやすくなり、他の社員に接する対応も「安心して素直に話せる」「相談に乗れる」という姿勢に変わっていきます。


話しかけやすい上司が最強

社員目線のコミュニケーションが重要な理由は世界で成果を上げている強い組織を研究した「最強チームをつくる方法」でも紹介されています。

アメリカ最強の軍隊の一つであるネイビーシールズで最も部下から信頼される最も優秀なリーダーは、才能に溢れる上司ではなく、気さくで話しかけやすいリーダーでした。

上司のやるべきことは下からの意見を吸い上げ、それを判断・編集して最も成果を上げる一つの目標にすることです。

そのためには、相談しやすい環境は必須条件です。

実際、ネイビーシールズのそのリーダーは自分のことを役職で呼ばせず、あえてニックネームで呼ばせたり、命令よりも意見交換を優先していました。

point

優秀な上司は社員目線のコミュニケーションを重要視する。


個人を尊重しない職場で人が辞めるのは当然

理不尽に切れたり、パワハラやセクハラをされた人たちが辞めていくことは当たり前です。

ですが、どんなに正しいことを言っていても社員個人を尊重しない場合、その社員が辞めていってしまうことは当然といえます。

業績を上げている会社でもトップや上司が「お前」を連呼したり、「お前のことなんかどうでもいい」と直接言い放っている企業もあります。

「企業としての責任を果たす」ことはもちろん大切ですが、そのために社員の自尊心を壊すことはやってはいけないことです。

一時的には恐怖心で素早く動くようになるかもしれませんが、長期的に見るとその恨みは抜けず、ある程度成長したところで会社を辞めて他に移っていくことは想像しやすいことです。

もしくは、そのように育てられた人が上に立ち、同じ考え方や指導方法で後輩を育て、下の人たちの自尊心が壊されていくという悪循環が発生します


これからの上司に求められるもの

これからの時代に優秀な社員を引き留め、自発的に動ける社員を育てていくためには「組織目線のコミュニケーション」と「社員目線のコミュニケーション」の2軸が必要です。

社員目線のコミュニケーションのみに偏ってもダメです。社員は快適になりますが、自分が何を求められて何をすべきかわからず混乱やサボりの原因となります。

会社として何を目標として、そのために今誰が何をいつまでにやるかを伝える組織目線のコミュニケーションも重要です。

その上で、社員全員が「私はこの会社の一員」と思え、安心して発言できる環境を作っていくことが大切です。


参考

この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。

この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。

興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。


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