企業において社員の実績を評価するとき、その社員がどれだけ頑張ったか、どれだけいい業績を残したかという、個人単位で評価されるのが普通です。
やる気のない社員が同じグループにいても、その人の評価が自分に影響することはありません。
しかし、最近ではこのような個人評価はもはや過去のものになりつつあります。
それよりも、チームとしてのパフォーマンスによる評価や、ペアとして生み出した価値による評価など、人と関わって成果をあげていくことが求められるようになってきています。
チームワーク重視の背景
個人よりもチームワークやペアで評価が重要視されるようになった背景には、業績を上げているチームはどういったチームかという研究が盛んに行われ、その結果が明確なものとして世の中に出てきたことにあります。
研究の結果、成果をあげるチームに欠かせないものは「心理的安全性」です。心理的安全性とは、チームメンバー同士がマネージャーなどの上司も含めて、自分の本音や弱音を打ち明けられる環境のことです。
本音を言ったり、ありのままの自分をさらけ出しても、批判されたり、否定されたり、評価が下がることがない、それが心理的安全性です。
そして、心理的安全性があるチームとは、メンバー同士が深い信頼関係でつながれたチームです。
つまり、優秀な個人が集まるよりも、信頼関係で結ばれたチームワークのいい集団の方が、長期的に高いパフォーマンスを上げ続けるということです。
個人評価ではチームワークが育たない
個人評価は組織の中に競争原理を生み出して、個人個人の頑張りを引き出すことで会社全体の業績をあげるものです。
このため、メンバー同士は相手を蹴落とそうとしたり、仕事ができない人を見下すといった行動をしがちになります。
また、上の役職の人ほど偉いといった風潮も個人評価主義によるものです。みんなが周りを蹴落としてで「我こそは」と言って上に上がろうとする。
結果として、上に気に入られようとする社内政治が蔓延する原因にもなります。
会社が求めるのはチームとしてのパフォーマンス
そもそも、企業が求める成果は、優秀な個人がたくさんいることではなく、最終的にチームとして高いパフォーマンスを発揮できるかどうかです。
チームのために優秀な個人がいます。
このため、会社というチームのパフォーマンスを最大化しようと思ったら、プロジェクト単位やチーム単位のパフォーマンスを評価する方が妥当といえます。
どんなに誰か個人が頑張ったとしても、チームとしてのパフォーマンスが悪かったら意味がありません。
チーム単位・ペア単位の評価のメリット
個人単位ではなく、チーム単位・ペア単位で評価することには大きなメリットがあります。
それは、チームのメンバーをサポートするということです。
自分の評価を上げるには、チームのパフォーマンスを最大化しなければいけません。チームのパフォーマンスを最大化するためには、自分一人が頑張っているのではダメです。チームメンバー全員が頑張らなければいけません。
個人主義のように「私は私のことだけやっていればいい」という考え方は通用しない仕組みです。
そしてチームの最小単位はペアにします。
ペアにすれば、困った時にお互いが相談しやすいですし、サボったりすることができないため、業務の質も高くなります。
参考
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。