思考の多様性が新しいアイディアを生む|職場に様々な人がいて自由に発言できるか?集合知とは何か?を具体例で解説

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日本の企業では未だに年功序列や役職など、上にいる人が発言権や下をコントロールする権利を持っている(コントロールしようとする)職場が少なくありません

ですが、最近ではFacebookやインスタ、Twitter、LINEなど様々なSNSやコミュニケーションツールがあり、それぞれの使い方や、それらを使っているユーザー層を知っているのは年が上の人だけではなくなってきました。

それどころか、若い子たちの方がそれらの上手な使いこなし方やユーザー層を直感的に理解しています。

ビジネスではこういったツールをフル活用していくことが、顧客を獲得し生き残っていくために非常に重要です。

それを実現するには職場に思考の多様性とそれらを合わせる集合知が必要です。そしてその集合知こそが他社と異なる自社独自の未来を切り開くアイディアに他なりません。

ここでは、思考の多様性や集合知についてまとめています。


思考の多様性とは何か?

思考の多様性とは、様々な考え方を持った人がチームの中にいることです。

例えば、40代の男性ばかりや、30代の女性ばかりが集まったチームではなく、50代の男性、40代の女性、30代の女性、20代の男性などがいるチームのことです。

そしてそれぞれが、趣味や得意分野が異なり、別々のアイディアを持ち合わせている環境のことです。


集合知とは何か?

集合知とは、そういった様々な思考から生まれたアイディアを重ね合わせて生み出された、より優れたアイディアのことです。


なぜ思考の多様性が、いい集合知になるのか?

年代などがバラバラだと考え方が違って、良いアイディアが生まれるどころか、反発し合って考えがまとまらないと考える人もいます。

それは、その人が、自分の持っているアイディアや考えなど、ほぼ決められた答えを導こうとしてるためです。

素晴らしいアイディアとは、決められたところから出てくるものではありません。むしろ、全く違うものが重なりあったときに、これまで想像もしなかった素晴らしいアイディアが生まれるものです。

デイル・ドーテンが書いた超ロングセラー作品「仕事は楽しいかね?」という本の中で、アイディアを生み出す方法は、自分の頭に思いついたことをバーっと紙に書き出して、それを冷蔵庫などに貼り、掛け合わせることで一人ブレストを行うといい、といったことが書かれています。

つまり、思考の多様性は、まさにアイディアの土台となるネタ帳のようなものです。

20代女性の思考と、50代男性の思考は大きく異なることがほとんどです。それらを掛け合わせると、想像もしなかったような集合知が生まれるということです。

point

思考の多様性はアイディアのネタ帳。様々なネタを持った人がいるチームほど思いもしなかったような集合知が生まれやすい。


全員平等の発言権とチームファースト

思考の多様性により、よい集合知を生み出すために、絶対的に必要なことが2つあります。

集合知を生み出す環境
  1. 全員に平等な発言権がある。
  2. 自分の利益よりも、チームの利益を優先する。


全員に平等な発言権がある

思考の多様性により、よい集合知を生み出すために必要な1つ目の条件は「全員に平等な発言権がある」ことです。

50代や40代の社員の発言の方が、20代の新人より強いということがあってはいけません。「若いくせに」「新人のくせに」といった人がいる環境では思考に偏りが生まれ、集合知は生まれません。

20代の新人の意見も「なるほど。それいいね」、50代のベテラン部長の意見も「なるほど、それいいね」でなければいけません

このような姿勢でいるからこそ、多様な意見を混ぜ合わせることができます。


自分の利益よりも、チームの利益を優先する

思考の多様性により、よい集合知を生み出すために必要な2つ目の条件は「自分の利益よりも、チームの利益を優先する」ことです。

どんな人でも自分の考えやアイディアには特段の思い入れを持つものです。そして自分のアイディアが取り入れられないと、自分自身が否定されたような感じがします。

このため、自分の意見を言う事をためらったり、誰かの意見よりも自分の意見や自分の意見に近い人の意見を強く推したりします。

この行動の動機は自分が傷つきたくない、損したくない、優秀に見られたいといった自分の利益です。

そうではなく、チームとして最高の解決策を出すために自分たちはここにいるんだということを理解して、自分の利益よりもチームの利益を優先する姿勢が重要です。

そうすれば、自分の意見よりもチームにとってもっといい意見があれば、迷いなく自分の意見を捨ててチームのためになる意見を採用することができます。


思考の多様性や集合知を潰すチーム

思考の多様性や集合知を潰すのは次のようなチームです。

20代女性「プロモーションにTwitterやインスタを使ったらいいと思うんですよね」
社長「君はまだマーケティングやうちの商品のことをよくわかっていないだろう。ちょっと黙っていなさい」
部長「Facebookを使うのはどうでしょう?」
30代男性「Facebookはうちの顧客層には合っていないと思います」
部長「うるさい。やってみないとわからないだろう」

このような会話が行われる組織では、どんなに思考に多様性があっても集合知が生まれることはありません。

社長や部長という権力を持った人たちが、部下の意見を遮り潰しています


思考の多様性から集合知を生み出すチーム

思考の多様性や集合知を生み出すのは次のようなチームです。

社長「新製品のTV広告と新聞広告を出そうと思うんだが」
部長「Facebook、インスタ、twitterでもなんでも使う方が時代に合っていますよ」
30代男性「うちの商品だとtwitterは不向きです。Facebookとインスタがいいでしょう」
社長「なるほど。ではFacebookとインスタで行こう」
20代女性「インスタを使うなら、写真ではなく、マンガなどのイラストでストーリーを描くと効果的です。テキストは誰も読みません」
社長「なるほど。そうなのか。じゃあ、部長と君でインスタのストーリー戦略を考えてくれ」
社長「〇〇君、君は私とFacebookの広告戦略を練ろう」

最初は、TV広告と新聞広告を出すという話から始まりましたが、思考の多様性により、Facebookと、インスタしかもマンガ形式のストーリーで届けるという話で着地しています

チームメンバーの割り振りもできて、話がとても建設的(より良い方向へ進めようとする)に進んでいます



参考

この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。

本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。

使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。

会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。

この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。



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