子供が自分の感情のおもむくまま、思ったことをストレートに口に出してしまう。授業中に大声で騒いだり、友達が気に入らないと面と向かって「バーカ！」となじったりする。
でもいいところもいっぱいあって、絵を描くのが好きで長い時間かけて超大作を仕上げたり、図鑑で花や植物のことを調べたり、関心のあることには集中力を発揮する。
個性的な子だと普通に育ててきたけど、ある時、担任の先生に「一度、発達障害の相談を受けてみれば？」と言われてしまった、、でも、ショックを受けそうで相談する勇気が出ない、、
そんな、深刻な問題に答える6個の金言をご紹介します。
問題行動の原因は発達障害だからではない
先生が相談することを進めたのは、自閉症スペクトラムの障害があるのではと思われたからかもしれません。
ですが、発達障害の診断が重要だとは思えません。友達に「バカ」と言うことも、授業中に大声でおしゃべりすることも、その原因は「発達障害だから」ではないからです。
別にちゃんと理由があるのに理解してもらえない。そのことに不満を感じたり、困ったりしているのです。
この子が友達に「バカ」と言うのは、友達に何かを言われたからでしょうね。傷つくようなことかもしれません。まずはそこを聞いてあげてほしいと思います。
そのうえで、「でも、お友達にバカって言うのはよくないよね。お母さんはそういう言葉、あまり好きじゃないな」と優しく穏やかに言ってあげるといいのではないでしょうか。
相談することで気持ちが楽になるなら、通えばいい
発達障害の相談をすることで、より適切に、より深く対応できるようになるのであれば受けたほうがいいかもしれません。
一度、相談をしてみて、ここで相談すると私も子供も気持ちが楽になる、と思えるなら通えばいいし、そうでなければ通わなくてもいいのです。
お母さんやお父さんご自身が自分で決めていいことだと思います。
この子の素敵な個性をていねいに伸ばす
それよりも、この子の素敵な個性をていねいに伸ばすことを重視してほしいと思います。
普通に育ててきたのかもしれませんが、こういう子は、普通よりも少し多めに手をかけてあげるのがいいです。
図鑑を見ることが好きで、花や植物に興味があるのであれば、植物園に連れて行ってあげたり、一緒に植物を育ててみてはいかがでしょうか。
下のお子さんがいる場合は、ときには上の子と２人だけの時間をつくってください。大好きなお母さんやお父さんと大好きな世界を楽しむことができれば、ますますその世界を好きになると思います。
学校でも、植物や生き物を育てる係や委員会があれば、やらせてもらえるよう先生にお願いしてみるといいです。
狭くて深い世界にのめり込むのは、すばらしい個性
発達障害の傾向のある子は、非常に狭くて深い世界にのめり込む、という傾向があります。
これは、本当にすばらしい個性だと思います。大人になれば誰でも、狭くて深い世界で専門性を磨いていくものです。将来を考えると、狭く深い世界をもてることが大事なのです。
でも親は、「広く浅くなんでもできて、さらにその中で１つか２つ、ものすごく得意なものがあればいい」と願いがちです。親にはそういう身勝手な面があるのです。
でも、わが子の狭く深い世界を理解して応援しているのですから大したものです。
普通の子のようにしたいと願うのは、その子を否定すること
発達障害ではないかと言われると、親は「なんとか普通の子のようにしたい」と焦ってしまうことが多いと感じます。
でもそれは、「あなたはあなたのままではダメなのだ」とわが子を否定することにつながります。
普通の子でなくてよかった
自分の大好きな世界を持っていて、好きなことにはものすごい集中力を見せる子です。魅力的な子じゃありませんか。
「普通の子じゃなくてよかった」と思ってください。狭く深い「自分の世界」をもてる子であることを誇りに思ってください。
そして、折りに触れ「お母さん / お父さんは、バカという言葉は好きじゃないな」「授業中に大声でおしゃべりすると、先生や友達が困るんだって」とやさしく穏やかに繰り返し伝えていってください。
それで十分ではないかと思います。
参考
この内容は、川崎医療福祉大学特任教授、横浜市リハビリテーション事業団参与で、自閉症を持つ人々のための支援プログラム、TEACCH（ティーチ）を米国から日本に紹介するなど様々な経歴をもつ精神科医 佐々木正美先生の「この子はこの子のままでいいと思える本」の要約と一部抜粋です。
本書には他にも、気づきを与え、心を軽くしてくれる、子供の育て方に関する金言がたくさん載っています。
興味を持たれた方はぜひ一度手に取って見てはいかがでしょうか？
