減価償却とは何か?仕組みや計算方法, 対象になるのは何でいくらから?中古品はどうなる?|定額法と定率法の違い, 耐用年数, 少額減価償却資産と一括償却資産

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減価償却とは何か?

減価償却(げんかしょうきゃく)とは、高額な商品を購入したときに、一回で経費として計上することができない仕組みのことです。

簡単にいうと、「経費を分割して計上していく仕組み」です。

現金の一括払いや、クレジットカードの分割払いなど支払い方に関係なく、その商品を所有した時点で発生します。


減価償却の対象は何?

減価償却の対象になるのは以下のような商品です。

減価償却の対象
  • モノである(サービスや仕入れ商品は対象外)
  • 10万円以上である。
  • 土地や100万円以上の美術品は対象外。


モノである(サービスや仕入れ商品は対象外)

減価償却の対象は実態のある「モノ」である必要があります。サービスは減価償却の対象となりません。

また、販売するために仕入れたモノは「仕入れ」となり減価償却の対象ではありません。


10万円以上である

仕入れとサービス以外の「モノ」であっても10万円未満であれば減価償却の対象とはなりません。

例えば、99,999円のパソコンを購入した場合は、減価償却ではなく「消耗品」としてみなされ、通常の経費にすることができます。


土地や100万円以上の美術品は対象外

減価償却は10万円以上で、かつ、使用して年数が経つごとに価値が下がるモノに対して適用されます。

このため、土地や100万円以上の美術品のように使っても価値が減らないものに対しては、減価償却という考え方は適用されません。


減価償却を考えなきゃいけない人は誰?

個人のフリーランスで売り上げがほとんどない人など「減価償却は考えなくてもいいのでは?」と考える人もいるかもしれません。

ですが、減価償却は全ての人に当てはまります

個人事業主や法人企業かどうか、不動産かどうか、雑所得か事業所得か、青色申告書で提出するか、白色申告書で提出するかによらず、全ての場合で一定の条件を満たすと「減価償却」が適用されます。


減価償却の特徴

減価償却は一般的な経費とは大きく異なり、以下のような特徴を持っています。

減価償却の特徴
  1. 使う事に対する経費(購入に対する経費ではない)
  2. 長期に対する投資(設備投資)
  3. 数年後も価値がある(見込まれる)
  4. (固定)資産になる


使う事に対する経費

通常の経費は、「支払うこと」に対して経費としますが、減価償却の場合は「使うこと」で経費になります。


長期に対する投資(設備投資)

一般の経費は何かを購入したら、それを1日使おうが5年使おうが、経費が発生するのは1度きりです。購入したらそのときの金額が経費になります。

一方、減価償却の場合はより高額な商品が対象となり、長期的な目線の設備投資として捉えられます。


数年後も価値がある(見込まれる)

一般的な経費で購入したモノの価値はさほど高くありません。例えばペンや消しゴムなどを購入して、1年後に十分な価値が残っているかといえばそうではありません。

ですが、30万円のパソコンを購入した場合、1年後にそのパソコンの価値がほぼゼロに等しくなるかといえばそうではありません。購入時の価格よりは下がるものの、依然として需要がありそれなりの価格で売る事ができます。

減価償却はこのように、価値が年々減りはするものの、十分に市場価値を持っているとみなします。これを「使用耐用年数」といいます。

なお、イスや机など、主な設備についてはそれぞれの使用耐用年数が決められています。

(参考)国税庁 減価償却のあらまし


(固定)資産になる

減価償却の対象となるモノは数年後も価値をもつため「資産」とみなされます。これを「固定資産」といいます。


減価償却の計算方法

減価償却を計算するときは、「耐用年数」が非常に重要になります。

耐用年数は既に決められているもので、例えば、パソコンなら4年、木製のイスなら8年となります。

減価償却の計算を行う場合は主に以下の2つの方法があります。

減価償却の計算方法
  • 定額法
  • 定率法


定額法と定率法の違い

「定額法」と「定率法」は名前は非常に似ていますが、経費の計上方法が大きく異なります。

「定額法」は毎年一定額を経費として計上する方法です。

「定率法」は初年度の経費を大きくして、翌年以降の経費が下がっていく方法です。

どちらも、耐用年数の期間や経費として計上する総額は変わりません。


定額法の計算方法

購入金額を耐用年数で割った金額が、その年に計上できる経費となります。

減価償却による経費

「1年あたりの経費」=「支払った金額」÷「耐用年数」

そして、この経費を耐用年数の期間、同じ額だけ計上することができます。

例えば、耐用年数4年のパソコンであれば、4年間にわたって一定額の経費を計上していくということです。


定率法の計算方法

定率法は初年度に60%分を経費として払い、翌年に20%、その翌年に10%、更に翌年に10%というように、一定の割合(率)で減価償却していく方法です。

定率法は、利益がある年に大きな額を経費として計上することができるため税金対策としては定額制よりも有利になります。

ただし、個人事業主の人が定率法で確定申告するためには、「減価償却資産の償却方法の届出」という書類を3月15日までに税務署に提出しなければいけません


いつ計上するか?

いつ計上するかの決まりはありませんが、年末(12月)に計上するのが一般的です。


注意点:月割

減価償却する場合には、耐用年数を考慮した減価償却費を経費としてすべて計上できるわけではありません。

「月割」というルールがあり、購入した月を含めて経過した月分だけしか計上することができません。

例えば、40万円のパソコン(耐用年数4年)を7月に購入した場合、経費計上として該当する月は6か月間のみ(7~12月)となります。

このため、定額法の場合、その年に計上できる経費は 5万円 =(40万円 ÷ 4)÷ 6/12ヶ月 となります。


「定額法」と「定率法」注意点

定額法と定率法を使えるモノと使える人に一部制限があります。

例えば、建物に関しては「定額法」しか選べません。

また、個人事業主は「定額法」が基本となっており、法人は「定率法」が基本になっています。


主な設備の耐用年数

主な設備の耐用年数は以下のようになっています。

商品耐用年数
パソコン・スマホ4年
軽自動車4年
自動車6年
木製の机・イス8年
金属製の机・イス15年
電気設備15年
木造住宅22年
鉄筋マンション47年

いずれも以下のように国税庁のページで確認することができます。

参考:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/pdf/2100_01.pdf)

(参考)国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表


中古品の減価償却(中古耐用年数)

ヤフオクやリサイクルショップなどで中古品の備品を買う場合もあります。

そういったときは減価償却の耐用年数が、中古品専用の「中古耐用年数」となります。

「中古耐用年数」計算方法は以下のようになります。

中古耐用年数

「中古耐用年数」=「耐用年数」-「経過年数」+「経過年数」× 0.2

※ただし、中古耐用年数が2年未満になる場合は「2年」とみなします。

経費は以下のようになります。

中古品の減価償却による経費

「1年あたりの経費」=「支払った金額」÷「中古耐用年数」


減価償却の例と税金の価格(定額法)

例えば、40万円のパソコンを1月に購入した場合、耐用年数は4年となり、減価償却した経費や支払うべき税金は以下のようになります。

(※売上100万、経費はパソコンのみ、税率20%の場合)

項目金額
売上100万円
経費10万円(40万円 ÷ 4)
利益90万円(100万円 – 10万円)
税金18万円(90万円 × 20%)

経費として計上できるのは、パソコンの金額を耐用年数で割った値となります。



減価償却しないと脱税になる

なお、上記の例で原価償却しないと、経費はパソコン代の40万円となり、税金は12万円となります。

納める税金が6万円少なくなります。

このため、減価償却をしないことは違法に税金を下げる行為につながり脱税になります

なお、「減価償却を知りませんでした」「難しくてわかりませんでした」というのは通用しません。


青色申告と白色申告の場合

青色申告の場合

青色申告する場合、減価償却の対象になるモノで、価格が30万円未満のときは、「少額減価償却資産」として総額300万円まで、1年間で経費を分割することができます

以下にある白色申告の「一括償却資産」よりもかなりお得な制度です。


白色申告の場合

白色申告する場合、減価償却の対象になるモノで、価格が20万円未満のときは、「一括償却資産」として3年間で経費を分割することができます

注意点としては「一括」という名前が書いてあるにもかかわらず、3年間で分割するということです。


「少額減価償却資産」や「一括償却資産」をするためには?

「少額減価償却資産」や「一括償却資産」をするためには、確定申告するときの「収支内訳書」や「決算書」にその旨を決まった書式で記載する必要があります。


最強の節税の検討

モノを購入するときに、節税したい場合は以下の条件を考えることが大切です。

見出し節税の検討
  1. 10万円未満かどうか(青色申告の場合は30万円未満かどうか)
  2. それ以上なら中古にする(特に、新車は極力買わない)
  3. なるべく早くに買う(1月がベスト)
  4. フリーランスの場合は定率法の届け出をする

特に、節税対策として新車を購入した場合は、売る時に「売却益」もかかるので、節税対策としてはあまり得策ではありません。

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