世の中には何かを説明するときに、やたらと長く話す人がいます。
そういう人の中には、「この人明らかにわかっていないな」ということが丸出しの人と、「なにやら難しい真実を告げているようだ」と感じさせる人がいます。
「なにやら難しい真実を告げているようだ」と感じさせる人は、一見すると重大なヒントを伝えてくれているようですが、こういう人ほど注意しなければいけません。
難解なことを言っている人には要注意
私たちは「なにやら難しい真実を告げているようだ」と感じた場合、それを紐解いて自分に役立てようと考えます。
それを紐解くことこそが優秀の証で、周りから一歩抜きんでるための武器なのだと思い込みます。
ところが、ただ難解でわかりにくいだけで、真実は何一つ隠されていないという場合も少なくありません。
例えば、ドイツの哲学者 ユルゲン・ハーバーマスは自著の中で次のように語っています。
「文化の伝承の再帰化は、けっして主観中心の理性と未来の歴史意識の表れの中にあってはならない。我々が自由の間、主観的な構成に気づく範囲において、自己所有物として表された自主性の所有的個人主義の仮像は崩壊する」
これは、一見するととても難しく何やら専門的な知識が隠されていそうです。
ですが、ここから読み取れる真実は、ユルゲン・ハーバーマス自身よくわかっていないということです。
人はわからない時に話が長くなる
人は自分がわからないものや、曖昧なものについて語る時に話が長くなる傾向があります。
というのも考えていることが曖昧なので、出てくる言葉も曖昧になるためです。
「~とも考えられるが、~でないともいえる。しかし、この点を考慮すると…となり、」と言ったように無限に言葉が紡ぎ出されます。
もっともらしく傾聴に値する言葉が含まれていそうですが、その言葉に耳を傾けたあなたがたどり着くのは「よくわからない」か「間違った真実」のどちらかです。
話が長くなる人の根本的な原因は次のとおりです。
話が長い人には、インタービューで勝敗の原因を訊ねられたスポーツ選手、哲学者、経済の専門家など、自分が戦略を考えていなかったり、フワフワとしたつかみどころのないものを題材に研究している人たちが多くいます。
難解な文章にのめり込んではいけない
世の中には難解な文章が溢れかえっています。それは専門雑誌だけではありません。小説も同じです。
例えば、村上春樹さんの小説はとても難解です。ふわふわとしていてつかみどころがなく、本気で考えようとすると1ページ1時間以上かけることもできるほどです。
もしあなたが、こういった小説などに、何かの答えや、人生を良くするヒントを求めているのであれば、即座に本を閉じて読むのをやめてください。
それは、書いている人の思考も曖昧で明確な答えがないからです。それを紐解こうとすればどんどんとわけのわからない泥沼にはまっていきます。
何時間(長ければ何年間)という時間を使い、いくつもの研究結果を導き出した末、何も得られるものがないという結果に陥ります。
(難解でフワフワしたものをパズルとして紐解いたり、想像性を楽しむといった観点読む分には問題ありません)
答えはいつも単純明快
もし、自分の中で明確な結論が出ている場合は「~だから、〇〇だ」というように単純明快な言葉が出てきます。
そして、わからないことが分かっていていて、それを正直に打ち明けられる人は、一言「わからない」といいます。
GEのCEOジャック・ウェルチも次のように語っています。
単純明快でいるのはとても難しい。普通は周りから単純なヤツだと見られることを恐れるが、本当は難解だと思われることこそ恐れるべきだ。
沈黙は武器
自分の頭に明確な答えがなく、曖昧な部分が多いときやわからないとき、または難解な回答しか思い浮かばないときは、素直に「わかりません」というか、そうでなければ黙っておくべきです。
本当に理解しているときに頭に思い浮かぶ回答は簡潔です。
あれこれと掴みどころのない長い話をするのは、相手にとってもあなたにとっても損失でしかありません。
誰も得しないどころか、あなたの評価が下がるというマイナスが待っています。
アメリカを代表する偉大な作家マーク・トウェインは次のように語っています。
言うことがなければ、何も言わないことだ。
「言わない」は重要な選択肢の一つです。「沈黙は武器なり」は時と場合によっては正しいものです。沈黙と上手に向き合っていきましょう。
参考
この記事の内容はスイスの経営者かつ小説家でもあるロルフ・ドベリの「Think Smart ~間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法~」の一部要約と自分なりの見解を加えたものです。
本書では人々が陥りやすい思考のワナとその対処法が、実例を踏まえてふんだんに紹介されています。
とても分かりやすく、成功したい、幸福になりたい思っている人の必読書です。
この記事に少しでも興味を持たれた方は是非実際の書籍を手に取ってみることをお勧めします。