【直感を信じよ】一部の対象が除外されたデータは信ぴょう性がない|借り入れが多い会社の方が収益率が高い理由

人間心理
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世の中にはたくさんの調査結果が出回っています。どこの企業も自分たちの事業を後押しするデータを誇らしく掲げています。

「アンケート満足度調査92%」「市場シェア率90%」「改善率120%」など一見しただけで「これはすごい」と思うデータがパンフレットやホームページに載っています。

おそらく企業が宣言しているようにそれらは本当の数値でしょう。しかし、一つ重要な落とし穴があります。

それは、調査対象に誰がどこまで含まれるかによって、データが大きく変わるということです。

逆に言うと、調査の対象となる人たちを工夫すれば、いくらでも自分たちに有利なデータを作ることができます

ここでは、その理由についてまとめています。


借り入れが多い会社の方が収益率が高い理由

ある銀行の調査で「借り入れが多い会社の方が、借り入れが少ない会社よりも収益率が高い」という結果が出ました。これを元に「だからお金をどんどん借りた方がいい」という営業をかける銀行マンがいました。

一見すると矛盾が生じているように感じます。なぜなら、優良な企業は自社で十分稼ぐことができて借金が少ない企業のはずだからです。ところが銀行の調査結果は借金が多い企業の方が優良であるというデータです。

このデータは正しいものです。ただし、調査の対象がどうなっているかに注意を払う必要があります。

この調査で起こっている重大な事実は次の3つです。

調査対象の注意点
  1. 自分たちでキャッシュを持っている超優良企業は借入する必要がない(調査対象外)
  2. お金を借りたいが業績が悪い企業は、銀行が貸付を行わない(調査対象外)
  3. お金を借りたいが収益が低い企業は、銀行がわずかな金額しか貸さない。
  4. 大金を借りていてかつ収益性が低い企業は、既に潰れているか銀行の手に渡っている(調査対象外)

調査対象の中に、超優良企業や、ダメダメな企業が含まれていないません。結果として、データの中に含まれるのは次の2つのみになります。

  1. お金を借りたいが収益が低く、わずかしか貸してもらえない企業。
  2. それなりの収益と将来性があるため、銀行が多く貸付を行っている企業。

結果として、借り入れが多い会社の方が、借り入れが少ない会社よりも収益率が高くなるのは当然です。

このデータに騙されて「他の企業もそうなら、ではうちもできる限り借り入れを行おう」という決定お下した企業は愚かです。

point

調査対象に含まれていない人たちがいる場合、データはいびつに偏り、信ぴょう性がなくなる。


薬の効果に騙されてはいけない

銀行の調査のように、一部の対象が入っていないことにより、真実を適切に表していないデータは、人の命が関わる医学の世界でも発生します。

海外のノーウイルスという企業は心臓疾患に対する薬を開発しました。調査の結果、その薬の効果を次のように結論づけました。

心臓病の新薬の効果
  1. 服用したときの死亡率は15%。
  2. 服用しなかったときの死亡率は30%。

ノーウイルスの新薬を飲めば、死ぬ確率を1/2に下げることができるということです。この数値だけ見れば、とても効果がありそうにに見えます。

ところが、ここでも調査対象に含まれていない人たちがいないか?を検討する必要があります。次のような重大な事実がわかります。

調査対象の注意点
  • 薬を服用しない人たちの病気の深刻度が同レベルではない。
  • 病気が深刻で薬の副作用に苦しめられたり、もはや薬を飲んでも治らないと悟ったひとたちは薬を飲まなくなる。

つまり、薬を服用しないから死亡率が30%になってしまうのではなく、薬を服用しようが死亡率が30%になってしまうということです。

なお「服用したときの死亡率は15%」というのは、何も薬を飲まなかったときの死亡率と同じです。

これらの結果から言えることは、ノーウイルスの新薬は飲んでも飲まなくても死亡率に一切影響を与えないということです

point

データを見るときは、調査対象から外れている人がいないか慎重に確認すること。


参考

この記事の内容はスイスの経営者かつ小説家でもあるロルフ・ドベリの「Think Smart ~間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法~」の一部要約と自分なりの見解を加えたものです。

本書では人々が陥りやすい思考のワナとその対処法が、実例を踏まえてふんだんに紹介されています。

とても分かりやすく、成功したい、幸福になりたい思っている人の必読書です。

この記事に少しでも興味を持たれた方は是非実際の書籍を手に取ってみることをお勧めします。



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