【希少性の力】人は少ないモノに価値を感じる生き物|少ない=重要ではない

思考法
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「レア」と言う言葉があるように、私たちは少ないモノに価値を感じる生き物です。

それは良い悪いではなく、無意識にそうなってしまう性質があるということです。

ここでは珍しいモノには価値があると感じる実例とその危険性について解説しています。


人の性質

まず人の性質として「重要かどうかや本質的かどうかに関わらず、少ないモノに魅力を感じる」という特性があります。

point

人は珍しいものに価値があると思い込んでしまう生き物。


珍しいものに価値がある思い込みの例

人が珍しいものに価値があると思い込んでいる実例は枚挙にいとまがありません。

4つ葉のクローバー

クローバーは一般的に葉っぱが3つです。ごく僅かに葉っぱが4つになることがあります。

あなたの目の前に10枚のクローバーがあったとします。9枚は3つ葉で、1枚は4つ葉です。どれか1枚をあげると言われると、たいてい4つ葉のクローバーが選ばれます。

ですがどれもクローバーで違いはありません。4つ葉になる理由は、葉が育つ前に肥料のあげすぎや、人や動物が踏んづけたせいで成長点に傷がついて1枚が分裂を起こしたとされる説が有力です。いわゆる傷物です。

ですが、人は珍しいという理由だけで一層の価値を感じます


Cloudhouse

2020年の夏ごろに招待制の音声SNSアプリ Cloudhouse(クラウドハウス)が流行しました。招待できる人数には限りがあり、招待を欲しい人たちで溢れかえりました。

twitterでは本来無料の招待枠を有料で販売する人すらいました。

それが2021年の夏に招待制から誰でも参加できる公開型へと変わりました。ですが、招待制だった頃ほど盛り上がりがなく、魅力を感じていない人が多い感は否めません。

人々が価値を感じていたのは、限定的な招待制による希少性でした。


ポスター

10枚のポスターを気に入った順に並べてもらう実験を行いました。実験に協力してくれ学生はお礼にその中の1枚のポスターを貰えます。

一度並べてもらった後に「3番目にあるポスターは、ここにあるのが最後の1枚で二度と手に入りません」と伝え、最後にもう一度ポスターを並べ替えてもらったところ、そのポスターの順位が上がりました。

「最後の1枚」「二度と手に入らない」という言葉を聞いたとたんに価値が急上昇したことを示しています。


いつ希少性を抱くか

人は特に「選ぶ自由を失う」ときに希少性を抱きます。

「これまでは普通に買えていたものが、買えなくなる」場合や、「他の人にある権利が、自分たちには与えられていない」ときに、それに価値を感じ、強く求める心理が働きます。


正常な判断ができない

希少性に価値を感じているときは「正常な判断ができない」状態にあります。

ある大学で希少性による判断力を調査するためにクッキーを使った研究が行われました。

被験者を2つのグループに分け、一方にはクッキーを箱ごと渡し、もう一方にはクッキーを2枚だけ渡しました。そして、クッキーの質を評価してもらいました。

その結果、どちらのクッキーも全く同じだったにも関わらず、2枚だけもらった人たちの方がクッキーの質を高く評価しました。

実験は何度も繰り返し行いましたが、毎回同じ結果になりました。

これは、希少性の価値を感じていると人の判断力が鈍ることを明示しています。

point

希少性を感じると、本当は要らないものまで価値を感じ買ってしまう。


希少性を呼び起こす言葉

希少性は強烈な価値を生み出すため、マーケティングで多用されています。希少性を与える言葉には次のようなものがあります。

  • 最後の1枚
  • 本日限定
  • 今だけ
  • 残り僅か
  • 選ばれた人
  • 招待された人限定

他にも購入するか迷っている人を後押しするときにも希少性を想起させる言葉がよく使われます。

ある製品を購入するか迷っている人がいたときに「先ほど他のお客様が買いたいと申し出てきたのですが、今なら先にご検討いただいたあなたに優先的に販売しますがいかがでしょうか?」というと、その瞬間に、「いつでも購入できるもの」から「今買わなければ手に入らないもの」へと変わり、希少性の価値が生まれます

長野で別荘の購入を検討している人に「昨日、東京の方がいらっしゃって、とても気に入っていました。こちらの物件その後ご検討状況はいかがでしょうか?」と伝えれば、その人の中で物件の価値が急に上がります。

point

人に何かを「欲しい!」という気持ちにさせるには、それが簡単には手に入らないようにすればいい。


まとめ

ビジネスでモノを売る人からすると希少性の力はとても強力な味方です。上手く活用しない手はありません。

例えば、誰も見に来ていない物件や商品を「先日も遠方から医者の方がきて気に入られてました」「〇月までに決めないと他の方に優先権をお渡ししますね」と一言付け加えるだけで売れる確率がグッとあがります。

一方、買う側はサービスや商品が希少性の力を使われていることを理解する必要があります。「残り僅か」と書いてあっても実はたくさんあるかもしれません。それは業者にしかわかりません。

「他に買いたいという人が出ました」と言われてもそれが本当かはわかりません。

大切なのは「あと僅かしかない」「買えなくなるかもしれない」と思っているときは判断力が鈍っているということです。本当に重要で必要なものかという観点で商品を見る力を失っています

希少性の罠に陥ったら、一度深呼吸して「本当に必要か?」を考えてみるといいでしょう。なお、それほどまでに人が欲しがるものであれば、またすぐに在庫が補充されたり、類似した商品(もっといいものもあるかもしれない)が売り出されるので焦る必要はありません。


参考

この記事の内容はスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。

人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。

この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。

あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。


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