【分母を考えよ】基準率の無視(誤謬)とは何か?|判断ミスの原因

思考法
記事内に広告が含まれていることがあります。

基準率の無視(誤謬)とは何か?

基準率の無視(誤謬)とは、わかりやすい情報や後から出てくる情報を元に直感的に推測してしまう性質のことです。

基準率とはベースとなる割合のことです。つまり、人は全体に占める割合を無視して、わかりやすい条件だけを元に間違った判断をしやすい傾向があるということです。


類語

基準率の無視(誤謬)のは英語で「Base Rate Fallacy(ベース レート ファラシー)」といいます。fallacy(ファラシー)とは「間違った考え」のことです。

ややこしいことに日本語では様々な訳が出回っています。

  • 基準率の無視
  • 基準率の誤謬
  • 基準率の錯誤
  • 基準比率の無視
  • 基礎確率の無視
  • 事前確率の無視

などがありますが、どれも同じことを指しています。


基準率の無視の例

数値による錯誤

ニュースで「新しく開発された薬を服用すると100人の命が助かる」という記事を見かけたとします。この事実だけを聞くとこの薬はとても強力な助けになりそうです。

ですが、世界中の100万人が服用して、そのうち助かったのが100人だけだったとしたらどうでしょうか?

ほぼ効果がないといわざるをえません。

この場合、基準率(Base rate)は100万人です。ニュースで表示された見出しだけを見ていたのでは大きな勘違いを犯してしまいます。

ですが、実際多くの人たちの頭からは「分母はいくつか?」が抜け落ちています。


印象による錯誤

「Aさんは眼鏡をかけていて物静かでクラッシックが好きです」さてAさんはの職業は医者でしょうか、それとも社長でしょうか?

このような質問をされると多くの人が「医者」と答えます。ですが、正解する確率が高いのは「社長」です。

日本の医者の数は約32万人です。一方、社長の数は約260万人です。

与えられた印象だけで直感的に判断してしまい、分母となる基準率が忘れ去られてしまいます。


確率重視が正しい

人に「基準率の無視」という性質がある以上、正しい判断をするには常に確率を重視することが大切です。

確率を無視した人生を生きると「こんなはずじゃなかったのに」という状況に陥りやすくなります。しかもそれがさんざん努力をし年月を重ねた後である可能性があります。

例えば、あなたが大企業のトップを目指しているとします。

中小企業庁により発表されている数値だと日本の大企業の数は企業全体の0.3%にすぎません。

その0.3%の大企業の中に、日本の雇用者の約30%が集まっています。

つまり、大企業を目指す時点で、対象となる企業はかなり絞られます。更にその企業には大量の人が渦巻いています。その中でトップまで上り詰めることができる人はごく一握りです。

それはトップだけでなく役員を目指すのでも同じことです。

40歳、50歳まで死に物狂いで働き続け、結局、中間管理職どまりというのがほとんどの人が行きつく先です。

果たして、あなたが進みたい道はそのような道でしょうか?

それよりも、他の人とは違う自分がやりたいことを目指した方が達成できる確率が上がるかもしれません。

確率だけでなく、人生の幸福度が上がることも間違いありません。

point

自らの進路は確率で考えた方が上手くいく。


参考

この記事のスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。

人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。

この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。

あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。


タイトルとURLをコピーしました