【偉い人も間違う】人は無意識に権威に従い、自分で考えない生き物

思考法
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人は偉い人の言葉を鵜呑みにし、偉い人に従う性質があります

偉い人とは、大臣や社長といった権威のある人や、専門家と言われる人たちのことです。何かに秀でていて、努力家で上に上り詰めた人たちが多いです。

そういった人たちの言葉を信じあやかりたくなるのは当然の心理です。

ですが、偉い人を信じることにはリスクがあります。ここでは、偉い人に従う人の心理や、その結果ともなうリスクについて簡単にまとめています。


権威と人の性質

偉い人、いわゆる権威に対して「人は無意識に権威に従う」という性質があります。

相手が偉いというだけで、相手が正しいと思い込んでしまいます


偉い人を信じる4つのリスク

偉い人を信じることには大きく次の4つのリスクがあります。

偉い人を信じるリスク
  1. 偉い人も間違う。
  2. 違う分野でも正しいと思い込む。
  3. 権威者に自分の意見を言えなくなる。
  4. 自分で考える力を失う。


偉い人も間違う

当たり前のことですが、権威があるからといって、間違いを犯さないとは限りません

どんなに偉い人も間違うことがあります。

経済の専門家

2008年にアメリカを中心に広がったリーマンショックは世界中で金融危機を起こしました。

2008年時点でも世界には著名な大学の経済学部の権威や経済評論家などの専門家がいました。ですが金融危機のタイミングを正確にいい当てた人は誰もいません。

この世は不確実です。100%正しい人などこの世には存在しません。


医者

人の病気を治療する職業として昔から医者という仕事はあります。病気になったり、怪我をしたり、体調不良になったら医者のところに行くのが普通です。

比較的近代といえる1800年弱頃に「瀉血(しゃけつ)」という治療法が盛んに行われていました

発熱や下痢、風邪の原因は悪しき物質が血の中に混ざり込んだことが原因という考え方に基づいた治療法で、何か病気になったらとにかく患者の血液を抜き取ります。

ヒルに血を吸わせる方法すら当たり前のように行う地域もあったほどです。

今ではほとんどの病気にとって瀉血は無意味どころか体調を悪化させることがわかっています。

ですが、当時はほとんどの人が「医者がいうんだから間違いない」と思い込んで瀉血を行っていました。

本来助かっていた命が、医者という「権威」を無条件に信じてしまったために起こった悲劇です。

point

権威ある専門家がいつも正しいとは限らない。人は間違う生き物。


違う分野でも正しいと思い込む

人が無意識に権威に従ってしまう2つ目のリスクは「違う分野でも正しいと思い込む」ことです。

専門家はあくまでその分野にとても詳しい人でしかありません。ところが、人は「権威ある人は、他の分野にも精通している」と勘違いします

会社の社長は経営に関して優れた知識を持っている人です。有名で人気があり権威のある人が「この食品はいい」というと、多くの人が、その食品が体にいいと思い込みます。

テニスのトッププレーヤーはテニスに秀でた人です。にも関わらず、その人がCMで着ている服を見て「質が高くいい服に違いない」と思い込みます。

point

ある分野に特化した人は、他の分野ではど素人。


権威者に自分の意見を言えなくなる

人が無意識に権威に従ってしまう3つ目のリスクは「権威者に自分の意見を言えなくなる」ことです。

「おかしい」「そこは違う」と思ったことがあっても、「自分の方が間違っているに違いない」と考えてしまい、自分の意見を飲み込んでしまいます

ときにこの心理がとても大きな被害をもたらします。

例えば、軍隊において上が決めた作戦があった時に、「その作戦はマズいんじゃないか」と思っても、「自分より優秀なトップが考えたのだから、そっちが正しいだろう」と判断した場合、結果として、仲間の命を失うという大きな危機に至ることもあります。

飛行機でも同じです。副操縦士が違和感を抱いても、主パイロットが「大丈夫だ」と言えば、その言葉を信じてしまう人がほとんどです。

結果として、墜落し全員の命を失うという大事故につながることもあります。


自分で考える力を失う

人が無意識に権威に従ってしまう4つ目のリスクは「自分で考える力を失う」ことです。

無意識に権威に従うということは、何も考えずに、相手の意見を鵜呑みするということです。

自分で考える機会を設けない人は、自分で考える力をドンドンとなくしていきます。そして、言いなりになっていきます。

自分の人生ではなく、誰かの人生を生きることになってしまいます。


人は権威のいいなりになる

アメリカの心理学者 スタンレー・ミルグラムが「人がいかに権威のいいなりになるか」を調べた実験があります。

窓越しの椅子に座らされた人に電気ショックを与える実験です。

白衣を着た専門家(ミルグラム)の指導の下に行われ、被験者は言われた通りに与える電圧を15Vずつ上げていきます。

電気ショックはウソで実際に電流は流れません。ですが、椅子に座らされた人は電圧の強さに合わせて悲痛な叫び声をあげ助けを懇願します。

被験者は電圧を上げ、電気ショックを受ける人を見てためらうものの、専門家が「そのまま続けてください。実験は続けることに意味があるのです」と言うと、半数以上の被験者が人が死ぬとされる最大の450Vまで電圧を上げました

被験者が「専門家が言っていんだから大丈夫」と思い込んだ結果です

ナチスドイツによるユダヤ人の大量虐殺も同じ原理で、無条件に権利に服従した人たちによって起こされています。


服装に騙されてはいけない

権威は人を無意識に服従させる強大な力を持っています

これを上手に利用したのが服装です。

  • 医者は一目で医者だとわかるように白衣を着ます。
  • 優秀な営業マンはスーツを着て、飾りでしかないネクタイを着けます。
  • 国王は王冠を被ります。
  • 軍人は肩に階級バッジを着けます。
  • 一流のシェフは長い帽子を被ります。

これらの服装は全て権威をわかりやすくするためです。そして人を従わせやすくするために他なりません。

賢い人は服装によって人を服従させられることを知っています

権威のありそうな服装の人を見たら「この人は偉いに違いない」と思うのではなく、「偉く見せてこちらを従わせようとしている」と考えることも重要です。

疑うことが自分で考える力につながっていきます。


声の大きなインフルエンサーに要注意

インターネットやSNSが普及した現在では、フォロワー数の多いインフルエンサーが多大な影響力を持っています。

優良な情報を公正に発信している人たちはたくさんいます。ですが「あの人が言っていたから正しい」という権威に服従し、自分で考えないでいると、気づいたときには大損を被っているかもしれません。

あなたにとってその情報が正しいかどうか、役立つかどうかを最終的に判断するのはあなたしかいません。


参考

この記事の内容はスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。

人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。

この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。

あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。


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