男の性質上、どうしてもやってしまいがちな解決策の提示。これは女性に不満とストレスを与える行動第1位です。絶対にやってはいけない行為なのです。
なぜ、解決策の提示をしてはいけないのか?そして、解決策を提示しない行動ができるようになるには、男の性質と女の性質からその謎を理解し、納得する必要があります。
他に女性や妻に対してやってはいけないNGワードやNG行為があるのでそれも合わせて見ていきます。
男が解決策を提示してしまう理由
男の性質は体力や知力、仕事の効率や物事の達成に価値をき、目的や目標の達成と成功によっての自分の能力を証明し、達成感を味わえる生き物です。
そして、その目標達成は他人の力を借りるのではなく、自分の力で成し遂げてこそ能力の証明になると考えています。
このため、自分が直面している問題が自分では完全に手詰まりになりどうしようもできなくなったときに初めてそのことを口にします。
この時、求めているのは解決策のみです。そして素早く適切な解決策を出せる人を有能だと感じ尊敬します。
この性質のために、誰かに悩みや不満を相談されたときは、その人が大切な人であればあるほど真剣に考え素早く解決策を提示してあげようとします。
これは男の愛情です。相手を苦しめたいどころか、相手のためを思って頭をフル回転させて真剣にやっているのです。(どうでもいい相手からの相談であれば、真剣に考えることもなく、答えを教えず、適当に流すといった対応になります)
しかし、この真剣に有効な解決策を提示することは同じ価値観を持つ男性に対しては有効ですが、全く異なる価値観を持つ女性に対しては不満やストレスを爆増させるNG行為なのです。
男性と女性の価値観の違い
男性の価値観として、解決策を提示して問題解決することの重要度がとても高いことはわかりましたが、では、女性の価値観で重要度が高いものが何かを見てみます。(下図参照)
女性にとって重要な価値観は「コミュニケーション」や「話し合いで共感しお互いを理解し助け合い育み合う」ことです。一方、男性とは真逆で「問題解決」は重要な価値観ではありません。
このため、女性は問題が解決できなくても、そのことを話しあうことによって人間関係が深まる方がよほど大切だと思っています。
ここが男性が特に理解しなければいけないポイントです。そもそも女性は問題や悩みを解決したいと思ってないのです。女性が求めているのは、ただ親身になって聞いて欲しいということだけなのです。
この価値観の違いは学校や会社では決して教えてくれません。それを知らない男性は結果として、大切な女性を助けようとして、解決策の提示という自分なりの愛情を注げば注ぐほど2人の関係はどんどん悪化していきます。
「こんなに真剣に考えて解決策を提示しているのに、聞き入れる気がないんだったらもういい!二度と俺に相談するな!俺はお前の話を聞かないし解決策も提示しない!」という残念なすれ違いが起こってしまうわけです。
女性がしゃべりまくる理由
女性は人間関係を深め育みたいという価値観を重要視しています。このため、その手段として、夫やパートナーが帰宅すると、今日あった出来事、その中でも特に不満や不安、心配事、トラブルについてしゃべりまくります。
この時、女性が求めているのは解決策の提示ではなく、じっくり話を聞いて相槌を打って欲しいだけなのです。話に耳を傾け、自分の気持ちを理解し共感して欲しいだけなのです。
男性が今抱えている問題や悩みを解決することでストレスを解消するように、女性は今日一日の出来事を話しそれを聞いてもらい自分の気持ちを理解してもらうことでストレスを解消するのです。
女性の性質を理解する上でとても大切なポイントなのでもう少し詳しく説明します。
男性は悩みに悩んで困り果てた結果、解決策を見つけたり、解決策を提示してもらった時に感じるストレスからの開放感を味わいます。逆に、男性が悩みを誰かに相談した時に、その相手が解決策を提示するどころか、「それは大変だね~」とか共感するばかりで、一向に解決に向かわないのであれば、時間のムダと感じ余計にストレスが溜まります。
当然ですが、一日の中で(一日の中でといわずいつでも)ストレスがあればそれを解消したいと願っています。男性が解決策を見つけることは今抱えている多大なストレスを発散するためでもあるのです。
つまり、男にとってのストレス解消の手段が解決策を見つけることなのです。
一方で、女性にとってのストレスを解消するための手段は、今日一日の出来事を話しそれを聞いてもらい自分の気持ちを理解してもらうことです。
男性と同じくストレスが溜まればそれを発散したいと思います。それを実現する方法は解決策を提示してもらうことではなく、こちらに注意を向けて、ただ静かに話を聞き、気持ちを理解し、同情してもらうことです。
男性が理解しておくべき重要な点は「目的」です。お互いの目的は「ストレスを解消すること」です。この目的達成のために、相手が男性であれば解決策を提示してあげる。相手が女性であれば、ただ静かに真剣に話を聞いてあげるという対応が必要になるのです。
なぜパートナー以外の女性とはいい関係を築けるのか?
男性の中には、会社や近所の女性など、パートナー以外の女性はすごく話しやすいし、関係性も築きやすいのに、なぜ妻との関係性はダメなんだろう?妻のこのとの方が真剣に考えてるし大切だと思っているのに、、と悩む方もいると思います。
その理由もこれまでの価値観の違いで説明ができます。
会社や近所の女性に話しかけられたり相談されたとき、それほど大切にもしてないですし実害もないので、会話の中で不安や悩みがでてきても、本気で親身になって解決しようとは思いません。その結果、適当に話を合わせて「いや、ほんと大変ですね、、」と本心から言っています。これが、実は女性の価値観にマッチしたストレスを取り除く心地よい対話になっているのです。
その結果、自然といい関係性を築けているのです。
一方で、パートナーの場合は、大切にしていてずっと側にいる存在でもあるので、会話の中で不安や悩みが出てきたら、真剣に解決してあげたいと考えてしまいます。結果、女性の価値観に合わないものを押し付けることとなり、関係性が悪化していくのです。
女性の価値観を知らないがために起こるすれ違いですが、そこまで大切とも思っておらず適当にあしらっている相手と心地良い関係が築けるのに対し、大切だからこそ真剣に話を聞いて解決策を考えて伝えているパートナーとの関係性が悪化していくのは皮肉なものですね。
NG行為とNG事例
男性と女性の価値観の違いやストレスの発散手段の違いがわかったところで、男性がパートナーに対してやってはいけないNG行為について見ていきます。
仕事が終わり家に帰ったとたんに、妻からの一日の出来事、特に不満・不安・トラブルの話がマシンガントークのように始まった時に、相手に手を差し伸べるつもりで、十分に話を聞かないうちに彼女の話を遮り、解決策を提示しようとする行為はNGです。
そんなことをしたら、妻のストレスやイライラは発散されるどころか更にボルテージが上がっていきます。
「あー、うるせえなぁ、こっちは家計を回すために仕事を精一杯頑張って、疲れてクタクタで帰ってきてるんだよ。余計にストレスのたまることをしやがってふざけんなよ」という気持ちがあるのは当然です。実際そうなのですから。
それでもなお忍耐するために、目標と目的を思い出してください。目標は夫婦円満な家庭をつくること。そして今目の前にある目的は「妻のストレスを発散してあげること」です。
理解度を深めるためにもう少しNGたくさんのNG行為を実際の会話例から見てみます。
女「今の仕事、あまりにもやることが多くて、自分の時間がもてやしないわ」
男「それなら仕事を辞めればいい。そんなに嫌なことをストレスをためながら続ける必要はない。他に自分の好きな道を探せばいい」
途中で話を遮り、解決策の提示をしているのでNGです。女性は解決策の押しつけを求めていません。話を聞いて欲しいだけです。
女「私は、自分の仕事が好きなのよ。ただ、同僚や上司たちが一度に私に多くのこと要求してくるから困ってしまうの」
男「彼らのいうことをまともに聞こうとするからダメなんだ。自分のできることを自分のできるペースで一つづつ片付けていくようにするといい」
女「そうしてるわよ!それでも、今日みたいに子供が熱を出してしまったりしたら、すっかり忘れてしまうほど忙しいの、、、」
男「そんなに心配することはないよ。会社の人はきっと事情をわかってくれるよ。」
一見問題ない対応のように見えますが、「そんなに心配する必要がない」という一言は彼女の気持ちに理解をしめすどころか、否定している言葉になっているのでNGです。
女「子供も会社も大変な状況なのはわかるでしょ?どちらも私を必要としているの」
男「君はなんでもかんでも気を回して心配しすぎてるんだよ。だから、いつも不幸な気分でイライラするんだよ」
同情や共感してあげるべきことに対し、それを否定しているのでNGです。さらにその上で分析して評価しているのでNGが積み上がっています。
女「いつも不幸な気分で暮らしてなんかないわ。それよりも私の話をちゃんと聞いてちょうだい!」
男「さっきから真剣に聞いてるよ!」
男性の気持ちもよくわかります。なぜなら真剣に聞いて、真剣に対処法を考えて、真剣に回答しているのです。
でも、目的は「パートナーのストレスをとること」そして、そのための手段はただ静かに聞いて、理解し、共感することです。
女性が言っている「私の話を聞いて」は「ただ静かに聞いて、理解し、共感して」というのと同じなのです、なので、男性の「さっきから聞いてるよ」という言葉は完全にNGです。目的もパートナーの要望も何一つ満たせていない状態です。
女「それじゃあ、なぜさっきから私の言うことをうるさそうに途中で遮ったりするの?」
男「きみのためを思って言っているんじゃないか!仕事で疲れてるんだ、少しはこちらのことも考えてくれ!」
よくありがちな決め台詞です。男性は仕事でクタクタにつかれた体と精神の中、女性の話を聞こうと真剣に耳を傾け、残り少ない脳みそのリソースをフル回転させてなんとか改善する方法を提示してきたのです。それを否定された結果出てきた言葉です。ですが完全にNGです。
この言葉がNGというよりは、それまでの会話の流れでもうこの言葉が出ざるを得ない状態になっています。
男性がやってしまったのは、悩みや不安を相談してきた男性に対する対処法です。これを間違って女性に使ってしまったわけです。
仕事後の残り少ないエネルギーは解決策を考え提示するために使うのではなく、静かに話を聞き、理解し、共感するために使うべきでした。残念ながら男性の失敗です。
OK行為とOK事例
と言っても、対処法を知らなければ正しく対応することはできません。人間はみんな、教わってないことはできないし、知らないことはできなくて当たり前です。
では、同対処すべきだったかを見ていきましょう。
女「今の仕事、あまりにもやることが多くて、自分の時間がもてやしないわ」
男「そうか、それは大変だったね」
女性は、今忙しくて大変だと感じているのです。だからその言葉を発したのです。なので、「それは大変だね」と妻の気持ちを代弁すればいいのです。これが 相手の気持ちを理解する = 共感 になります。
女「私は、自分の仕事が好きなのよ。ただ、同僚や上司たちが一度に私に多くのこと要求してくるから困ってしまうの」
男「うん、うん」
女性がなぜこの言葉を発しているのか?それを考えるとさきほどの「忙しくて大変」な気持ちの延長線であることがわかります。この気持ちの代弁は先程したので、今回は「うん、うん」そうだよねとうなずけばOKです。
もしくは「本当かい?」といった相槌でもOKです。
女「今日みたいに子供が熱を出してしまったりしたら、すっかり忘れてしまうほど忙しいの、、、」
男「そうもなるよなぁ」(眉をひそめて同情の念を強調する)
共感を示すためには言葉だけでは不十分なときがあります。その時は表情も相手の感情に合わせて出し分ける必要があります。
女「子供も会社も大変な状況なの。どちらも私を必要としているの」
男「君の気持ちはわかっているよ。こっちへおいで」(やさしく抱き寄せる)
女性の気持ちは冒頭の「忙しくて大変」から「私だって頑張りたいんだけど、それがどうしてもできないの」という悔しくて悲しい気持ちにシフトしています。
その気持を理解し共感して、優しく抱き寄せることでなぐさめてあげれば、男性の対応は完璧です。
男性がやったことは、①相手の感情を言う、②相槌(表情も)、③優しく抱き寄せる のたったの3つです。解決策は一切提示していません。そこに脳みそのリソースを1mmたりとも使っていません。脳のリソースを使ったのは、相手がどういう気持ちでその発言をしているか?です。
先程のNG事例では、①解決策の提示、②解決策の提示、③慰め、④分析と評価 です。やっていることが全然違います。
OK事例とNG事例で最終的に女性がどうなるか比べてみましょう。
この一言を言われて、男性は不快になるどころか、幸せな気持ちになります。仕事で疲れた体に鞭打って、相手がどういう気持ちでその発言をしているか?を考えてよかったとなります。
この結果、帰宅したときよりも男性・女性のどちらもがよりストレスフルで最悪な気持ちになって終わります。最悪な一日の終わりの完成です。
解決策の提示をしてもいいとき
もちろん、いついかなる場合でも相手が女性なら解決策を提示してはいけないという訳ではありません。
解決策を提示してはいけないのは、女性の精神状態が落ち込んでいる時、疲れている時、ストレスが溜まっている時です。
精神的に立ち直る手段、疲れを取る手段、ストレスを発散する手段として「ただ静かに話を聞き、気持ちを理解し、同情する」ことが必要だからです。話さえ聞いてもらえれば女性は自らの力で立ち直っていきます。男が解決策を提示し、指示する必要はないのです。
逆に、精神的に落ち込んでいないときや、疲れやストレスが溜まっていないときには、解決策をあれこれ提示しても、けっして失望することはなく、感謝しさえすることもあります。
まとめ
パートナーに対してついついやってしまいがちな解決策の提示ですが、女性の価値観を知ることで、なぜやってはいけないのかが理解できたと思います。
次に行動に移す必要がありますが、その際は、解決策を考えることに脳みそのリソースを1mmたりとも使っていません。
脳のリソースを使うのは相手がどういう気持ちでその発言をしているか?です。そして、①相手の感情を言う、②相槌(表情も)、③優しく抱き寄せる このたった3つの行動をすればOKです。
男性の価値観やストレス発散の手段とは完全に真逆になるので、自然にできることではなく行動するには忍耐が必要です。
その目標は夫婦円満な家庭を作ること。そして、目的は相手のストレスを取り除いてあげることです。目標と目的を理解して、忍耐し行動していけば、よりよい家庭環境を作ることができます。
参考
この内容は、ジョン・グレイ先生の著書「ベスト・パートナーになるために」の一部抜粋と要約です。本書にはよりわかりやすい解説や興味深い事例が載っているので、もし興味を持たれた方がいれば実際に手にとって読んでみることをお勧めします。