荷物の見張りを近くの人に頼むべき理由|見ず知らずの人を優秀な警備員にする方法(一貫性の原理)

人付き合い
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一人で公園でピクニックしているときや、一人で図書館で勉強しているとき、一人でビーチにいるときなどに急にトイレにいきたくなることがあるかもしれません。

そんなときに、そのままトイレにいったら置いてあるモノを盗まれるかもしれません。

かといって全部をカバンやリュックにしまってトイレに行くのは大変です。手間も時間もかかります。何より戻ってきたらその場所は別の人に取られているかもしれません。

そんなときの対処法のベストプラクティスは「周りの人に見張りを頼むこと」です。

ここでは、周りの人に見張りを頼むことがなぜ効果的なのかを、人の性質から解説しています。


ビーチでの実験

アメリカの研究者がビーチにおいて、たまたま居合わせた人が犯罪を防ぐためにどれだけ危険を冒すかという実験を行いました。

方法はとても簡単です。まずおとりとして一人の人がビーチで自分のマットの上に荷物を周りに置いて座っています。

そしてふとトイレを探して立ち去ります。次に、もう一人のおとりが隙を見て荷物持ち去ろうとします。

そのときに次の2パターンで周りの人がどういった反応を示すかを調べました。

  1. 何も言わずに立ち去る。
  2. 「荷物を見ててくれませんか?」と依頼してから立ち去る。

1と2の違いはただ一声かけただけですが、それが大きな差を生みました。

何も言わずに立ち去った場合、荷物を持ち去ろうとした人は20人中4人でした。

一方、「荷物を見ててくれませんか?」と依頼した場合は20人中全員が承諾し、そして19人が警備員の役目を果たしました

荷物を持ち去ろうとするおとりの捜査員を追いかけて呼び止めたり、説明を求めました。中には体を張っていく手を遮る人や、荷物を取り返そうとする人もいました

依頼引き留めた率
なし20%
「荷物を見ててくれませんか?」と頼む95%

つまり、全く知らない人でも、ただ一言「荷物を見ててくれませんか?」と依頼すれば、ほぼ確実に優秀な警備員の役割を果たしてくれるということです


なぜ体を張ったのか?

見知らぬ人にただ近くにいたからという理由で「荷物を見ててくれませんか?」と言われ引き受けただけで、危険を冒すかもしれないのに、なぜ体を張ってまで置き引き犯を捕まえて阻止しようとしたのでしょうか?

そこには人が持つ心理的な特徴の一つである「一貫性の原理」が働いています。

一貫性の原理とは「自分が言ったことを守るように行動しようとする性質」のことです。

上記の例では「荷物を見ている」ことに合意したので、その合意を守る行動をしたということです。


一貫性の原理の力

一貫性の原理の力はすさまじいものです。どのぐらいすさまじいかというと、ただ「はい」と言っただけで割に合わないリスクまでとるということです。

合理的に考えれば何のメリットもなく、リスクしかないにも関わらず、そんなことすらも顧みない行動をとらせます。

なぜ人がこれほどまでに一貫性を大事にするかというと大きく2つの理由があります。

  1. 信頼できる個人として存在するために言動が一致していることは人間社会で重要だから
  2. 一貫していると楽だから

一貫性がない人は、支離滅裂、裏表がある、嘘つき、信用がおけないという評価を下されてしまいます。

このため、一貫しているということは人にとって非常に重要なことなのです。

また、一貫した言動をとることは非常に楽なことです。「やる」といったら「やる」なので、途中で「どうしようか」と迷ったり頭を悩ませて時間やエネルギーを消費することがありません。

このため人は言動と一致行動を無意識のうちにとるようになります。


まとめ

一人で出かけているときにトイレに行きたくなったら近くの人に「この荷物を見ていてくれませんか?」とお願いしましょう。

ほぼ100%に近い確率で優秀な警備員として機能してくれます。

同時に、もしあなたが頼まれた側なら「いいですよ」と承諾した時点で、無意識に優秀な警備員にならざるを得えないことには注意が必要です。


参考

この記事の内容はアメリカの有名な心理学者 ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」の内容の一部抜粋と要約です。

現代のマーケティングで使われている手法が心理学の面から解き明かされ、たくさんの事例を交えてわかりやすい文章で記されています。

この本の内容を細かく知っているかどうかで、現代の市場に隠されているたくさんのワナにハマりカモになるのか、それを避けて利用する側に回れるのかが大きく分かれます。

気になった方は是非手に取って読んでみることをお勧めします。



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