テレビやパソコン、スマホ、Youtubeを見続けたり、ゲームをし続けている子供に悩んでいる親は少なくありません。
強制的にテレビやインターネットの時間を制限しようとすると猛烈に反発してきます。
結局、子供が何をしているか?何を見ているかを監視しなければならず、自分たちの時間もどんどんと削られます。
親も子供もストレスが溜まるという負のスパイラルにはまっていきます。
ここでは、その状況を抜け出した1つの例を理由を含めて紹介します。
人は環境のとおりになる
子供のテレビ・PC・スマホ依存をやめさせるために知っておくべき人の性質があります。
それは、「人は環境のとおりになる」と「小さな達成がモチベーションにつながる」ことです。
遊ぶ環境にいれば遊ぶ子になります。本を読む環境にいれば本を読む子になります。テレビを見る環境にいればテレビを見る子になります。
スタンフォード監獄実験
人が環境にいかに左右されるかを検証した実験に、スタンフォード大学の名誉教授フィリップ・ジンバルドが1971年に行ったスタンフォード監獄実験があります。
募集選考により選んだ心身ともに健康な21人の学生を看守と囚人に分けて、それぞれを演じさせた時に学生たちの人柄がどう変わるかを検証しました。
その結果、看守は囚人に罰を与え始めるなど残酷な性格になりました。
囚人は極度のストレスを訴え、鬱になったり錯乱する人もでました。
普通の学生を「看守」や「囚人」として扱っただけで、その人たちはそれに見合う心理になることが証明されました。
ナポレオン
フランス革命を率い、フランスの皇帝にまで即位したナポレオン・ボナパルトは人の行動や性格と環境の関係について有名な言葉を残しています。
人は制服通りの人間になる
胸に勲章のあるピシっとした制服を着ると、その人はその制服に合うような言動や行動をとるようになり、だらしのない格好をすれば、その人はだらしない言動や行動をとるようになるという意味です。
小さな成功がモチベーションにつながる
何かを達成するにはモチベーションが必要になります。
研究の結果、モチベーションは「達成」と「達成が認められる(認知できる)」ことで生まれることがわかっています。
つまり、小さな成功がモチベーションになり、その積み重ねが大きな成果になります。
逆に、最初からあまりに大きな計画を立たり、難題を押し付けるとモチベーションが保てず挫折してしまいます。
本を読む子にする方法
子供がテレビやパソコン、スマホ、Youtube、ゲームに依存するのをやめさせるには、子供にそれをやらない環境を自然と用意することで実現できます。
親がやめる
人は環境に左右されるものなので、親など直ぐ近くにいる人がテレビやスマホをずっといじっていれば、子供もそれをいじるようになるのは当然のことです。
まずは、親がテレビやパソコン、スマホ、Youtube、ゲーム依存から抜ける必要がります。
環境を作る
そうはいっても仕事や情報を得るために、親がスマホやPCを完全に断つことは難しいかもしれません。
そういったときは、子供たちがテレビやパソコン、スマホ、Youtube、ゲームやめることでメリットが生まれる環境を作ると効果的です。
「罰するより飴」の効果
カナダのモントリオール市では犯罪率が高いことに悩んでいました。どれだけ刑罰を重くしたり厳しく取り締まっても再犯率が68%からなかなか下がらないという状態が続いていました。
あるとき新しい警察署長が「ポジティブチケット」という新しい仕組みを導入しました。
いいことをした子供たちに「ポジティブチケット」を渡すという仕組みです。ポジティブチケットは映画館やジム、プールなどの公共施設の無料入場と交感できます。
短期的には大きな改善は見られなかったものの、長期間行ったところ、どれほど厳しく取り締まっても下がらなかった犯罪率が68%から60%まで下がりました。
いい行動をすればメリットを受けられるという仕組み(環境)で効果があるという証明です。
家庭環境へのチケット制導入
「環境のとおりになる」という人の性質と、ポジティブチケットの例から、子育てにチケット制を取り入れ、見事にテレビやゲームなどにかける時間が1/10に減った事例を紹介します。
週の初めに子供たちに10枚のチケットを渡します。
チケットを1枚使うと30分テレビやネットをすることができます。しかし、使わずにとっておくと50円と交換することができます。
もし1週間テレビもネットも我慢することができたら500円貰えることができます。
加えて、30分間読書したらチケットが1枚手に入るという仕組みです。
この仕組みを導入した結果、あれだけやめさせるのに苦労したテレビやネットをやる時間が大幅に減り、その分読書の時間が増えました。
更に親にもポジティブな効果が生まれました。
子供たちを監視するという作業からも解放されたことで、より有意義なことをする時間が生まれました。
このチケットのポイントはチケット制という環境を導入したことと、達成可能な目標にしてあることです。
もしチケットを1枚手に入れるための読書時間が1時間だと、継続することができず途中で挫折してしまいます。
挫折が続けば「無理」という脳への刷り込みが起こり、モチベーションはどんどんと下がっていきます。
まとめ
テレビやスマホ、インターネットなど子供のデジタル依存に悩んでいる方は、このチケット制を導入してみてはいかがでしょうか?
もちろんチケット制以外でも、「人は環境のとおりになる」と「小さな成功がモチベーションにつながる」という原理を上手く利用して新しい作戦を試してみるのもありです。
この2つを整えれば、子供は環境に合わせて自発的に変わっていきます。
あなたとあなたの子供たちに時間と余裕が生まれて、幸せな人生を歩めることを心より願っています。
参考
この記事はAppleやGoogle、FacebookやTwitterなどの世界的に有名な企業でコンサルティング経験のあるグレッグ・マキューン(Greg・Mckeown)氏の「エッセンシャル思考」という本の一部要約と抜粋です。
世界的ベストセラーになったこの本には他にも人生を成功と幸せに導く格言がたくさん載っています。
興味を持たれた方は是非実際に手に取ってみることをお勧めします。