企業に勤めていると「能力開発」という言葉を頻繁に耳にします。人事や上司がこぞって能力開発を取り入れようとします。
従業員を成長させ会社の戦力を底上げするために重要な政策です。
ですが、そもそも能力開発とは何で、具体的にどうすればいいのでしょうか?
なんとなく能力をあげればいいんでしょという漠然としたイメージを持っている人は少なくありません。
ここでは能力開発とは何で、具体的に何を目的としてどういうことをするのかについてまとめています。
能力開発とは何か?意味と定義
能力開発とは、企業などの組織や個人のもつスキルを向上させるために行う、体形立った取り組みのことです。
似たような言葉に「自己啓発」がありますが、能力開発は自分以外の人や組織から取り組み方や学習方法を提示されるのに対し、自己啓発は自分で考え自分で進めていく内容になります。
OJTとOff-JT
能力開発の代表例といえばOJTとOff-JTです。
OJTとはOn-the-Job Trainingの略で、実際の仕事を通じてやり方やスキルを学び身に付けていく手法です。
OJTというカッコいい名前がついていいますが、入社した日から研修などなくすぐに仕事に就かせたり、先輩の横にひっついて回るのがOJTです。
一方、Off-JTとはOff-the-Job Trainingの略で、研修など実際の現場とは異なることで行われる学習方法のことです。
どちらも実施することで受けた人が新しい知識を学び、スキルを得ていくので能力が開発されているといえます。
既にある能力を自覚させる
OJTは体系立てられた能力開発というにはかなり荒っぽいやり方です。職人が「目で見て盗め」といっているようなもので、非常に時間がかかり、学んでいる側もストレスのたまる方法でもあります。
一方、最近注目されている能力開発は「既にある能力を自覚させる」という方法です。
私たちが仕事をこなすとき、それは何らかの能力を使っています。例えば、あるプロジェクトを率いたときは、スケジューリングをする能力、必要な物事をリストアップする能力、人に指示を出す能力、更にはスケジューリングツールやコミュニケーションツールを使いこなす能力など様々な能力が発揮されています。
ですが、ほとんどの場合で「どのような自分の能力が発揮されているのか」を理解している人は多くありません。
本人が自分自身が持つ能力に無自覚である場合、その能力の再現性が低くなったり、他人に教えることができないといった弊害が生じます。
このため、本人が使っている能力をきちんと自覚してもらうというのは、組織の力を底上げするために非常に重要なことです。
能力を意識させる質問
本人が既にある能力を自覚するためには、周りの人が意図的にその能力を意識させる必要があります。
最も効果的な方法は次のような質問をすることです。
〇〇さんには、△△といった能力があるけど、その能力を今後の業務に活かすとすれば、意識的にどうやって使って行けると思う?
ポイントは次の2点です。
すると、言われた人は「これが自分の能力なのか」とハッとします。
そして、「そうですね。この能力を使って、こういう場面にも活用していきたいですね」とはっきりとその使い方を考えることができます。
能力開発のための質問
部下や社員の能力を開発するための質問には次のようなものがあります。
能力とは「強み」とも言い換えることができます。「能力は何だと思う?」と聞かれると漠然としていたり、堂々と言うことが難しい場合があるので「強みは何だと思う?」と聞くと相手がより答えやすくなります。
弱みを自覚してもらう
新たな能力を身に付けてもらうには「弱みを自覚してもらう」ことも重要です。
本人が自分自身の能力(強み)に気付けないとその力を十分以使い回せないのと同様に、本人が弱みを自覚していないと、その弱みを克服することはできません。
人は自分の弱点や欠点を極力隠そうとするので、「弱みは何だと思う?」というように、弱みだけを聞いてもなかなか思うような答えを得ることはできません。
そんな時は、強みと弱みをセットにして訊ねると効果的です。
参考
この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。
この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。
興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。