インターネットは本質的に優れた商品をつくるためのツール|効率化とコスト削減が主目的ではない(ハリネズミの法則)

ビジネス
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インターネットの普及により、たくさんの情報にアクセスし、たくさんの人々とつながることが可能になり、私たちの暮らしは劇的に改善しました。

インターネットはこれまで人がやっていた作業を代替し、時間を生み出す手段にもなりました。

ですが、インターネットの本当の可能性について誤解している人が世の中にはたくさんいます。


効率化とコスト削減だけではない

インターネットの活用やIT化を推し進めている企業はたくさんあります。

しかし、多くの場合その目的は「効率化とコスト削減」です。これまで人がやっていたことをITに切り替えて費用を浮かせたり、時間を生み出し、本業に集中するためのサブツールとして活用されています。

非常に有意義な使い方ですが、インターネットの役割は決して効率化とコスト削減だけではありません。

インターネットは「本質的に優れた商品をつくるためのツールの一つ」でもあります。


これまでなかった価値を生み出す

インターネットと既存事業を組み合わせること、あるいは既存事業のビジネスモデルを根本から見直すことで、これまでになかった価値を提供することができます。

Twitterは気持ちをつぶやき、自分の主張を大衆に対して公開する企業です。エアビーアンドビー(Airb&b)は一般の人たちが持ち家などを宿泊施設として提供することをサポートする企業です。メルカリは個々人が物の売り買いをするための企業です。

どれも過去に存在し普及していたビジネスモデルではありません。インターネットの普及によって新たに開かれた市場です。

そして、そうした企業はこれまでの大企業のように超巨大である必要はありません。

point

インターネットには新たな市場を開拓する力がある。



特化が価値を最大化する

インターネットの門戸は誰にでも平等に開かれているため、誰もが簡単に新しい価値を生み出せるわけではありません。

いたるところで似たようなサービスが現れては激しい競争に陥り、消えていきます。

そのような厳しい環境の中で生き抜くためには「特化」することが重要となります。

Twitterはより多くの人につぶやきを届けること、Airb&bは一般人が開いている部屋を貸し出すこと、Googleは最高の検索サービスを提供することです。

どの企業も何に全エネルギーを注ぎ込んでいるかが明確です。

Googleは検索サービスという事業分野で特化するために、次の5つの方針を立てています。

方針内容
スピード遅いより早い方がいいに決まっている
正確性検索結果の検索語に対する妥当性
使いやすさおじいちゃんやおばあちゃんもGoogleを使いこなせる
網羅性インターネット全体を検索できているか
鮮度検索結果には最新の情報が表示されるか

これら5つを極めた結果、他の検索エンジンよりもユーザーからの支持を集め、結果としてより大きな飛躍へとつながっていきました。


ハリネズミの法則

世界的な名著 ビジョナリー・カンパニーの作者でもあるジム・コリンズは、価値を最大化するために「特化する」という戦略をハリネズミの法則と呼んでいます。

キツネは狡猾で賢く様々な戦略を持っているのに対して、ハリネズミは丸まって背中の針を表面に出すという戦略しか持っていません。

ですが、その特化した攻撃方法で敵に襲われることなく生物界の中でハリネズミとしての確固たる地位を保っています。

ジム・コリンズが分析した結果、素晴らしい成功を手に入れた企業はハリネズミ型であったことが明らかになっています。

注意点

ハリネズミの法則で何か一つに特化することは驚くべき程の攻撃力をもたらす一方で、取り返しのつかない失敗につながる可能性の高いリスキーな戦略でもあります。

そのリスクをとって特化しきったからこそ市場での優位性を勝ち取り、長期的な成長へとつなげることができます。


参考

この記事の内容はGoogleの経営陣 エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジの共著「How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント」の内容の一部抜粋と要約です。

一国家と同等な資金を持ち、世界中で知らない人はいないほどのGoogleという大成功企業の中で、

  • どのような制度が用いられ、どのような人たちが働いているのか
  • 人のやる気を引き出し、周りが見たら無理だと投げ出したくなるような事業をどのように達成に導いてきたのか
  • 優秀な人材を獲得するための方法
  • 採用時にやってはいけないこと

などなど、これからの時代に欠かすことのできない内容がギッシリ詰まった一冊です。堅苦しくなくユーモアがあり読みやすい文体ですので、ぜひ一読されることをお勧めします。



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