会議などで意思決定を下すことは最も難しく、最も重要な作業です。
この重要な作業を行うために、絶対に忘れてはいけない鉄則があります。それは「第一原理に従う」ということです。
ここでは、第一原理に従って決断を下すとはどういうことかについてまとめています。
第一原理とは何か?
第一原理とは、最も重要な不変の真理のことです。英語ではファースト・プリンシプル(first principle)と言います。
企業における第一原理とは、誰もが納得できる真実のことです。
その時の市場における状況や、技術力、あるいは、誠実であることや、次項のようなフィロソフィーや行動指針など、組織の本質の軸なども第一原理に入ります。
企業の第一原理の例
例えばGoogleの場合第一原理は次のとおりです。
HONDA
リーダーの役割は第一原理を思い出させること
会議などの意思決定の場においてリーダーの役割は「第一原理を思い出させること」です。
そのためには、リーダーは常日頃から現在の状況における第一原理を把握しておく必要があります。
そして、困難な決定を迫られたときには、第一原理をみなに説明し、思い出させることが重要です。
第一原理に従って決断するとは?
第一原理に従って決断するとは、自社にとって有利不利といった損得勘定にこだわるのではなく、自社が掲げているミッションに敵うかどうかを判断基準にするということです。
テルミー
アメリカで最先端の音声認識プラットフォームをもっていたテルミーというベンチャー企業がありました。
あるとき、大企業でかつ大口取引先のAT&Tから次のような取引を持ち掛けられました。
ソフトウェアライセンスを譲ってくれれば1000万ドル(10億円)支払う。代わりに、音声認識プラットフォーム事業から完全撤退をすること。
この要求をのめない場合は、現在取引しているものを、今後も含め全て取りやめる。
要求というよりは、脅迫に近い内容です。
テルミーは資金を必要としていたこともあり、経営陣にはAT&Tの要求を受け入れるべきだという強い声がありました。
しかし、創業者のマイクはテルミーにとっての第一原理を次のものだと考えました。
この第一原理を取締役会で共有したところ、誰もが「その通りだ」と同意しました。まさに、第一原理です。
このため、第一原理に従ってリスクをとり、AT&Tの申し出を断る決断を下しました。
その結果、AT&Tは競合商品開発の優先順位を下げて、テルミーとの取引を4倍に増やしました。また、2005年にはAT&Tは業績悪化に伴い他社に買収されました。
Googleが操業した翌年の1999年、Googleの検索トラフィックは順調に増大していました。当時検索を普及させるためGoogleはエキサイト@ホーム(Excite@home)と提携していました。
エキサイト@ホームはトラフィックからの収益性を上げることに注力し、お金を稼ぐことにありとあらゆる手を尽くしていました。
Googleも他のWEBサイトと同様にお金を稼ぐ機会がいくらでもありました。ですがGoogleはそれに見向きもせず、検索エンジンを改良することに全力を注ぎました。
結果として、エキサイト@ホームは2001年に経営破綻したのに対し、Googleはそこから20年以上たった今も成長を続けています。
これはGoogleが第一原理「ユーザーに焦点を絞れば、他のものはみな後からついてくる」に従って方針を決定してきた結果です。
参考
この記事の内容はGoogleのCEOと会長を務めたエリック・シュミットやプロダクト責任者を務めたジョナサン・ローゼンバーグらが書いた「1兆ドルコーチ シリコンバレーのレジェンド ビル・キャンベルの成功の教え」の内容の一部要約と自分なりの解釈を加えたものです。
ビル・キャンベルはAppleのスティーブ・ジョブズやGoogleやTwitterの経営幹部のコーチングを務め、世の中に偉大なリーダーを何人も送り出してきた人物です。
ビル・キャンベルが貫いてきた生き方やそこにまつわるストーリーには、最高のチームを作るためにリーダーやコーチが知っておくべき考え方や行動が宝の山のように詰まっています。
その考え方はビジネスやチームを成功に導くだけでなく、人として幸せに生きるためのより本質的な知恵でもあります。
この記事に興味を持たれた方は、本書を実際に手に取ってみることをお勧めします。あなたの人生をより幸せにし、成功へと導いてくれることは間違いありません。