柔軟性は自発的に身につくものではない
変化が激しく、イレギュラーがおこることが当たり前の社会においては柔軟性を持ち合わせているかどうかは、生き残っていくために必要な要素です。
このため、多くの企業が従業員に柔軟性を求めます。
しかし、柔軟性は「柔軟になれ」と口で言ってそうなるものではありません。
どれだけ「お前は柔軟性がない。そんなんだからダメなんだ」と批判したところで、一向に柔軟になることはありません。
柔軟性を獲得するためには、指導する人が柔軟な姿勢を行動で示し伝えることで、「これが柔軟さか」と学びとるものです。
リーダーが柔軟な対応を見せられるか
部下が柔軟になれるかどうかは上がどう行動するかにかかっています。
例えば、50人規模のセミナーを主催したときに、3人しか集まらなかった場合、当初予定していたセミナーをそのまま行うのか、人数が少ないことを利用して対面でより実践的な内容に切り替えるのかを選択できるのはその場を任されているリーダーです。
リーダーが柔軟な対応を取り、その姿勢を社長や部長なども評価すれば、社員は「イレギュラーがあったら柔軟に対応していいんだ」ということを学びます。
一方、リーダーが柔軟な対応をしたときに、社長や部長が「勝手なことをするんじゃない!」と言えば、部下たちは怒られまいと柔軟な対応ではなく、決まりきったことをするようになります。
リーダーが通常通りのセミナーを行った場合も同じです。部下たちは「なるほど。こういう場合でも無難にこなすのがこの会社の流儀か」ということを学びます。
一瞬一瞬を捉える
部下に柔軟さを身につけさせるためには、部下の行動の一瞬一瞬を捉えて気づき(フィードバック)を与えることも重要です。
フィードバックがあると部下は行動を即座に変えることができます。「即座に変える=柔軟さ」です。
1週間後や評価面談のときに伝えるというのは遅すぎます。鉄は熱いうちに打つ必要があります。
ただし、注意しなければいけないことが一つあります。それは、捉えるのは一瞬一瞬だが、フィードバックをするのは、間をみはからうということです。
これは、サッカーのコーチをイメージするとわかりやすいです。サッカーのコーチは選手の一瞬一瞬の動きを見て良いところと改善すべきところを瞬時に判断します。しかし、選手がコート上で集中している時には声を掛けません。
声をかけるのは、休憩などで間ができたときです。このように声をかけるタイミングを見計らってフィードバックすることが非常に重要です。
例えば、みんなが集まるプレゼンで発表者がミスをした場合に、その場で指摘すると、その人は恥をかき嫌な思いをします。
そうならないよう、プレゼンが終わった後に「ちょっといい」と別室に連れ出し、「あそこはこうした方がいいんじゃないかな?」と言ってフィードバックを与えるといった配慮が大切です。
参考
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。