マネージャーが弱みを開示することが、チームの心理的安全性を高める

コーチ・リーダー
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世の中にはマネージャーなど人の上に立つ立場の人は弱みを見せてはいけないものだと思い込んでいる人がいます。

強く優秀な人間であり続けることが人の上に立つ条件だという考え方です。

ですが、この考え方は自分が周りからどう見られるかしか考えていないとても自分勝手な考え方です。自分勝手なだけでなく、チームメンバーの心理的な安全性を壊し、チームを弱くする行為でもあります。

チームメンバーとの間に信頼関係を作り、チームを強化するためにはむしろ、マネージャーが弱みを見せることが非常に重要です。

ここでは、マネージャーが弱みを見せることの重要性についてまとめています。


マネージャーが弱みを見せることの重要性

結論から言うと、マネージャーが弱みを見せることの重要性は「弱音を吐いてもいい」という環境を作ることです。

「弱音を吐いてもいい」というと、弱音を吐くチームは弱いと考える昔かたぎな人がいます。ですが、最近の研究で、チームは弱音を言い合えるぐらい信頼関係で結ばれている方が、絆が深まり、より強い力を発揮することが明らかになっています。

むしろ本心を言えない関係でしかないチームは、いざとなったときに非常に脆い集団でもあります。

弱みを見せるとは、マネジャーが愚痴や泣き言ばかり言い続けろということではありません

マネージャーが自分の失敗を素直に認めて、チームメンバーに「やってしまった。みんな本当にごめん」と謝れたり、「このあと役員向けの資料を作らなければいけなくて、どうしても時間がないんだ。みんな残業させて申し訳ないが手伝ってくれないか」といったように、率先して本音を打ち明けられる環境を作るということです。

マネージャーが失敗を素直に認めたり、できないときにメンバーに頼る姿勢を見せれば、それがメンバーの模範になります。そしてメンバーも失敗を隠さずにすぐに報告したり、どうしても作業がうまくいかないときに他のメンバーに頼るようになります。

そのようにして、お互いを信頼しあい助け合えるチームこそが最高の集団です。

そういった、最高のチームを作るために、マネージャーが弱みを見せることが重要ということです。

point

マネージャーが正直に弱みを見せることが、メンバーが信頼し助け合える文化を作る。


弱みを見せないマネージャーは「仕事してるのか?」と思われる

弱みを見せようとしないマネージャーは部下から不満を買いやすい傾向があります。

例えば、自分がどうしても忙しくて手が回らないときに部下に「これやっておいて」と仕事を渡して直ぐに会社を出てしまったとします。

すると、部下たちは「また丸投げだよ。あの人仕事やってるの?」と感じます。

ですが、もしマネージャーが「みなさん、一つお願いごとがあるのですが、実は新しいプロジェクトが始まり、クライアントのところに行かなければいけなくて、ただ、明日、別のプロジェクトのミーティングがあるのですが、その資料を作らなければいけないのに、どうしても時間がなくて。だから本当に申し訳ないのですが、資料作成を手伝ってくれませんか?本当に申し訳ない。そのかわりみんなには今度ご飯をおごるよ」

と伝えれば、部下たちは「上司も大変そうだ」「私たちを頼ってくれている」と感じ、頼みごとを引き受けてくれます。

このように弱みを見せた頼み方は、仕事を手伝ってもらうだけでなく、メンバーとの間に信頼関係をも生み出します

point

弱みを見せない強い上司よりも、弱みを見せる上司の方が信頼関係を築ける。


腰が低く謙虚でいられる

弱みを見せようとしない人は、自分よりも下の人たちに対して偉そうに対応したり、横柄になったりします

「私の方が優秀なんだから、お前がこれやっとけよ」といった態度をとるのも弱みを見せることを嫌う人たちです。

弱みを見せたり、自分の方が能力が下だと見られることを恐れている人は上に立ってはいけません。そういう人は権力や政治を使って人を支配しようとします。そういった行動はチームを不健全な状態にし、崩壊を招きます。

逆に、上の立場にいるにも関わらず弱みを見せられる人は、部下に対して「腰が低く、謙虚でいられる」ことがほとんどです。

自分にも弱いところがあると理解し、それを開示している。そして周りの人に助けてもらっているという自覚もあります。

そういった人はメンバーに対して「ありがとう」という感謝の気持ちを持って接することができます

point

人の上に立つ人の必須要件は、弱みを見せ、腰が低く謙虚でいられること。


信頼関係があるから、厳しい言葉が聞き入れられる

上に立つ人にとって非常に重要なのは部下との信頼関係です。なぜなら人は信頼している友人や好きな人の頼みは聞き入れ、力になろうとします

一方、信頼しておらず嫌いな人間の言う事には反発しようとします。聞き入れたように見えてもイヤイヤです

このため人に指示を出したりお願いする立場であるマネージャーにとって、メンバーからの信頼を勝ち取っていることは非常に重要なのです。

弱みを見せることができ、腰が低く謙虚でいられる人というのは、みんなから信頼されます。

信頼関係があるからこそ、ときに厳しいことを言っても「あの人は私のことを本気で考えてくれている」と感じ、それに答えようとします

信頼関係がなければ「グチグチうるさいな」や「うるさいから適当にやって黙らせておくか」となります。

チームをいい方向に導き、チームワークを生み出し、より高いパフォーマンスを発揮するために、リーダーが弱みを見せ、腰が低く謙虚でいることはとても重要です。


マネージャーがメンバーに叱られる関係

マネージャーはメンバーの上に立ち、メンバーに舐められたり、叱られるようなことがあってはいけないと考えている人がいます。

ですがその考え方自体が大きな勘違いです。マネージャーはメンバーに叱られてもいいのです。

むしろ、おかしなことや本当に改善すべきことがあったときに、メンバーが上司を叱れる関係性が築けているというのは、よほど信頼関係があるということです。

マネージャーは特別な存在ではありません。マネージャーもチームの一員、仲間です。

メンバーに対して完璧なお手本を見せ、絶対的な権威になるのではなく、チームのことを最優先で考え、メンバーと一緒に協力し間違い、失敗しながら成長していくマネージャーこそ、最高のチームを作るマネージャーです。

point

マネージャーには部下からの叱責を受け入れる度量が必要。それが信頼関係ができているということ。



参考

この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。

本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。

使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。

会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。

この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。



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