赤ちゃんが4か月を過ぎたぐらいの頃から、これまでの3時間おきに起きて授乳という生活から解放され、徐々に大人と似たような睡眠のリズムになってきます。
ようやくまとまって寝れるようになると思うのも束の間、今度は夜なかなか寝てくれない、寝る前に異常と思えるほどギャン泣きする、日によって数時間おきに泣いて起こされることも珍しくありません。
ようやく寝たと思うと数時間後に急に「ふえーん」と言って泣き出す。まだ授乳して寝かしつけてから1,2時間しか経ってないのにもう!?と思って、また抱きかかえて授乳をして寝かしつける。
睡眠時間が足りないと体や脳が回復できずストレスが蓄積していくものです。
お母さんのイライラはMAXとなり、パートナーにあたって家の中が険悪ムードになったり、子供に「なんで寝てくれないの!」とあたってしまうのも無理はありません。
ここでは夜赤ちゃんが頻繁に泣いて起きてしまう理由とその対処法についてまとめています。
なぜ頻繁に泣いて起きるのか?
赤ちゃんが夜頻繁に「ふえーん」と声を出して泣き出すのには理由があります。それは夢を見ているからです。
私たち人の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠を周期的に繰り返します。レム睡眠とはRapid Eye Movementの略で、急速眼球運動といいます。
眼球(目)が急速に動くという定義からもわかるように、レム睡眠のときの眠りは浅く脳は活発に動いています。
ノンレム睡眠は脳も完全に眠っているので、いわゆる爆睡の状態です。
赤ちゃんにも大人と同じようにレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しています。大人の場合の周期は約90分ですが、赤ちゃんは約60分ほどです。
大人の場合はむにゃむにゃと喋りますが、赤ちゃんの場合言葉は基本的に泣き声です。
つまり、約1時間ごとに「ふえーん」と言って泣き出すことが多いということです。
寝言泣きに騙されてはいけない
脳が起きているレム睡眠時に赤ちゃんが「ふえーん」という声を上げますが、それは起きているのではなく、夢を見ているだけです。
寝言で泣いているので「寝言泣き」ということです。
寝言泣きの状態は決して「おっぱいがほしい」「気温が快適でない」ということを訴えて泣いているのではありません。
このため、抱きかかえて授乳する必要はありません。
とはいえ、本当に何かを訴えているときもあるので、泣き始めたら2~3分様子を見ることが大切です。
寝言泣きの場合はまた睡眠へと戻っていきます。
つまり泣くたびにいちいち直ぐに取り合う必要はないということです。
むしろ、夢を見ているときにゆすったり、体を抱き起されたりしたら眠りから覚めて余計に不快な気持ちになってしまいます。
寝言泣きと本気泣きを見分けるのは不可能
赤ちゃんが寝ぼけて泣いているのか、本気で何かを要求して泣いているのかを泣き声から見極めることは不可能です。
このため、夜に泣きだしたら「少し待つ」以外にいい方法はありません。
少し待つことは赤ちゃんにとってもいい効果があります。
- 自分で眠りに戻る経験を積める。
- 夜は寝る時間なんだと覚えられる。
赤ちゃんが夜中に頻繁に起きて困るという方こそ、率先して赤ちゃんが泣いても2~3分放置を導入していくと、あなたも赤ちゃんもより快適な生活習慣を身に付けることができます。
泣かせておいていいときもある
「子供が泣く」=「必ずしも何か用事がある」ではありません。
「泣く」=「不快」なので、お腹が空いた、暑い、寒い、眠い、不安、おむつが濡れた、病気といったことが考えられます。
ですが一通り対応してもどれも違う場合もあります。病院に連れて行っても「しばらく様子をみましょう」で終わることも少なくありません。
たくさんの赤ちゃんと触れ合っている助産師さんですら次のように言うほどです。
確かに最初は何か理由があって泣き始めたのかもしれない。でも泣いているうちに興奮しちゃって、赤ちゃん自身もなんで泣いていたのかわからなくなってしまう。
赤ちゃんもわからないのに、ママにわかるわけがないのよ。そんなときは泣かせておいてあげればいいの。
「泣き」=「絶対に何かをしなければいけない」ではないことを知っておくだけでも気分が楽になることは間違いありません。
年齢毎の睡眠時間
アメリカで人の睡眠について研究しているNPO 国立睡眠財団(National Sleep Fundation)により、年齢毎の適切な睡眠時間は以下のようになっています。
区分け | 年齢 | 睡眠時間 |
---|---|---|
新生児 | 0~3か月 | 14~17 |
乳児 | 4~11か月 | 12~15 |
幼児 | 1~2歳 | 10~13 |
未就熟児 | 3~5歳 | 9~11 |
小学生 | 6~13歳 | 8~10 |
中学生 | 14~17歳 | 7~9 |
青年期 | 18~25歳 | 7~9 |
成人 | 22~64歳 | 7~9 |
高齢者 | 65歳以上 | 7~8 |
睡眠時間の不足は、赤ちゃんや子供だけでなく大人にも健康被害をもたらします。
体が回復しない、ストレスが抜けない、体が怠い、イライラする、やる気が出ない、免疫力が低い、体調を崩しやすいなど、睡眠が不足したことによる健康や幸福度への影響は多大なものです。
睡眠負債がたまり続ければ体を壊し、酷いときには死に至ることもあります。
赤ちゃんだけでなく、大人も睡眠の習慣をきちんと整えるというのはとても大切なことです。
逆に、しっかりした睡眠習慣を手に入れることができれば健康・幸福・能力・効率など全てが向上します。
世界最高峰のアメリカのスタンフォード大学の研究で良く寝ている人の方が賢い人が多いことが明らかになっており、最近では8時間睡眠は成功のステータスと言われています。
子供の睡眠習慣を見直すタイミングは大人の睡眠習慣を見直すいい機会でもあります。
参考
この記事の内容はお茶の水女子大学や東京大学大学院で子供の夜泣きを専門に研究している清水悦子さんの「赤ちゃんにもママにも優しい安眠ガイド 0歳からのネンネトレーニング」の内容の一部を要約、抜粋したものです。
ここに記載している内容以外にも赤ちゃんを安眠に導くためのわかりやすい方法が様々紹介されていますので、赤ちゃんの夜泣きに困っている方は是非手に取ってみることをお勧めします。
大人と赤ちゃんの生活習慣を整え、大きなストレスから解放してくれるバイブルになること間違いありません。