あなた自身、そして周りを見回してもそうですがみんな「時間がない」と言っています。
そんな時間よくある勘違いは「能力の低い人ほど暇で、優秀になればなるほど時間に余裕ができる」という考え方です。
実はこの考え方は間違っています。
ここでは優秀な人ほど時間がない状況に陥っていく理由とその結果生じる弊害についてと、時間を生み出すための方法について解説してます。
優秀な人ほど時間がなくなる理由
優秀な人が忙しくなってしまうのには理由があります。その理由を紐解くにはまず、その人がなぜ優秀になったかを理解する必要があります。
優秀な人は一つのことに集中し続けられる人です。周りの人よりも集中して物事に取り組んだからこそ成果がでて成功し、周りに優秀だと認められています。
そして周りに優秀だと認めれると、顧客が増えたり「あれもやって欲しい」「これもやって欲しい」と依頼が殺到するようになります。
この時に問題なのは仕事を依頼する人は「この人は仕事ができる人が」と思って仕事を投げているので、仕事を受けた人はそれに見合う結果を返す必要があります。
つまり、1つ1つの仕事を頑張らなければいけないということです。
優秀なので1つのことに集中する能力がありますがもちろん限界があります。
このため、疲れがたまり、集中力が途切れ、成果が出なくなるという負のスパイラルに陥ります。
たくさんの仕事が来て多忙になり、たくさんの仕事をやり、くたくたに疲れ果てたにも関わらず、失敗や不要、失望につながってしまいます。
これを成功のパラドックスと言います。
パラドックスとは一般的に正しいと思われていることが、実は正しくない事を指す言葉です。
忙しさと成功は関係ない
一度成功した優秀な人がどんどんと多忙になっていくのは、仕事が多ければ多いほどいいという勘違いをしているためです。
実際のところ、忙しさと成功は関係ありません。
パレートの法則
それを証明する理論がパレートの法則です。
パレートの法則とは80:20の法則とも呼ばれ、「2割の要因が8割の結果を生み出す」ということです。
あなたを本当の成功に導いているのは、たくさんやっている中の2割だけ。逆に言うと、たった2割の成功のために8割の労力を使ってしまっているということです。
何か行動をすれば0ではないのでもちろん結果が出ます。ですが、その大半は努力に見合わないことがほとんどです。無駄が多すぎるということです。
8割を捨てる
では時間がない状況や、無駄な労力を使っている状態を脱するには何をすべきかというと、余計な8割を捨てることです。
8割なのでほとんどを捨てなければいけないことになります。
ですが、「時間がない状況を脱して、成功を手にするために8割を捨てなさい」と言われてもできない人がほとんどです。
8割を捨てられない理由
8割を捨てられない理由は「断れない」からです。より厳密に言うと「断り方を知らない」からです。
ほとんどの人が嫌われたくないという感情を持っています。
そのため「この仕事やってくれませんか?」「飲み会やりませんか?」と言われればいい顔をしてい受け入れてしまっています。
断れない例
断れないことの代表は飲み会です。
「今度飲み会しない?」と言われて、その時は気軽に「いいよ!行く行く」と言ったものの、前日や当日の朝になると「行きたくない」「断っておけばよかった」と思っている人がほとんどです。
もしくは、実際に行ってから、「面白くない」「いい出会いない」「時間の無駄」「お金の無駄」と感じることも少なくありません。
更には、食べ過ぎ、夜更かし、お酒の飲みすぎで翌日の体調が崩れ健康を害することもあります。そして思うのは「行かなければよかった」「断っておけばよかった」です。
嫌な思いをしたにも関わらず帰り際に「また飲もうな!」と言われたり、1か月後に「飲み会やるけどどう?」と言われると「いいよ!行く行く!」と参加する表明をしてしまいます。
こういった断れないことによる無駄な悪循環を繰り返している人がとても多いです。
こういったことが、友達からの遊びの誘い、イベントの誘い、先輩や上司からの誘いなどで生じています。
すべてはトレードオフの関係
依頼や誘いを断るためにはまずマインド(考え方)から変える必要があります。
その際に重要になるのが「すべてはトレードオフの関係にある」ということを理解することです。すべてを手に入れることはできません。
仕事の時間をたくさん取れば睡眠時間は減ります。家族との時間も減ります。
家族との時間をたくさんとれば仕事の時間は減ります。
仕事を頑張ることと、家族を大切にすることは別
男性にありがちな関係の一つに「仕事を頑張って給料を上げることが家族のためだ」という考え方をしている人がいますがそれも大きな勘違いです。
家族は仕事よりもみんなが一緒に過ごす時間を増やして欲しいと思っています。
勘違いの結果、家族間でケンカが起こり、それでも仕事に専念し続けてようやくお金を稼げるようになったときには離婚しているということも少なくありません。
4つのバーナー
トレードオフの関係をわかりやすく理解する方法の一つに「4つのバーナー」があります。
私たちの人生は「健康」「家族」「仕事」「友人」の4つのバーナーを燃やしているようなものです。どれかで成功するためには他のバーナーの火を消さなければいけません。
バーナーの火を4つから3つにするというと、たいていの人は「友人」を削り「健康」「家族」「仕事」を選びます。
ここで更に重要なことはより大きな成功を手にするためにはもう一つバーナーの火を消して、2つだけにしなければいけないということです。
このように選択を迫ればたいていの場合「健康」と「家族」を得らぶ人がほとんどです。
ですが、現実には「仕事だからしょうがない」と言って「家族」よりも「仕事」を選んだり、毎日飲み歩いて「健康」を捨てる人が多いです。
自分が何のバーナーを燃やしているかを直視し、余計なバーナーの火を消していくことはとても重要なことです。
時間を生み出し成功するための3つの手順
大した効果を生んでいない無駄なことを自分の人生から捨てていくには3つのステップを踏む必要があります。
自分の人生を織りなしている事の中で8割がムダです。必要なのは2割だけです。
まずは、その無駄な8割と成功をもたらしている2割を見極める必要があります。
見極めたら次にすることは無駄な8割を捨てることです。捨てる際にやらなければいけないことは「断る」ことです。
時間を作るためには、これまでの生活の中で「うん」と言っていた8割のことに「いいえ」を言う必要があります。
「断る」=「相手を傷つける」「嫌われる」ことだと思い込んでいる人が多いですが、そうではありません。
断り方にはテクニックがあります。相手を傷つけず、嫌われることなく断ることは可能です。
最後にやるべきことは「見極める」「断る」という2つのプロセスを「しくみ化」することです。
「見極める」「断る」というのは判断力と精神力をかなり消費する作業です。人は嫌だ、しんどいと思っていることを継続できない性質があります。
このため、判断しなくてもできるようにしくみ化(自動化)することが大切です。
しくみ化されていれば、「これが来たら受ける、これが来たら捨てる」という作業が自動でできます。
見極める方法
見極めるための3つの手順
最初のステップである無駄な8割と成功をもたらしている2割を見極めるために必要なものは「体力」です。
多忙で精神的にも肉体的にも疲れている状態では正しく判断することができません。
多忙で集中力を失い思うような成果がでず「毎日こんなに頑張ってるのになぜ時間がないんだ!」と言っている状態に、更に「見極める」という作業を追加することはできません。
体力をつけて正しい判断を行うために必要なのは次の3つです。
孤独の確保
見極めるための判断をするための体力をつけるために、まずするべきことは孤独の確保です。
具体的には「空き時間を作り」「一人の場所に行く」ことです。
空白の時間の作り方
ただ思っているだけでは「空白の時間」はできません。
これまでの生活の中でも「余裕が欲しい」「空き時間が欲しい」と切実に思いながら暮らしてきたことを振り返れば明らかです。
「空白の時間」は自ら作り出す必要があります。
時間に余裕がある人は「ここからここを空白の時間にします」と意識的にやっています。
何時から何時までは空白の時間なので、SNS、電話、仕事、スマホやPCいじり、人と会うことをしないと決めています。
PCやスマホの電源をオフにして、部屋に閉じこもることをしています。
一人の場所に行く
一人の場所に行くとは大したことではありません。PCとスマホがない部屋にこもるのでもいいです。
部屋が無ければ、静かで落ち着くカフェやオフィスの一角など自分が、誰からも邪魔されずに過ごせる場所に自ら行くことが大切です。
これまであなたが「一人の時間が欲しい」「一人になりたい」と切実に思い続けても、一人の場所はできなかったように、思っているだけでは一人の場所はできません。
一人の場所を得るには、自ら行動してそういった場所に行く以外に方法はありません。
孤独が思考を生み出す
私たちは日常の中であまりに多くの情報に晒されています。
晒されているよりも自ら情報を選択している結果、情報がたくさんある状態になっています。
たくさんの仕事を抱え、暇があればSNSを見たり、ネットサーフィンをして次から次へと頭の中に情報を送り込んでいます。
ですが、深く考え事をするためには外からの情報を遮断する必要があります。
孤独が思考を生み出すことは歴史上にたくさんの実例があります。
例えば、ニュートンが万有引力を考え付いたのはたくさんの仕事を抱え忙しかったときではありません。
ケンブリッジ大学で学生だった頃、ペストという病気が流行ました。ペストはとても危険な感染症で14 世界頃には人口4億5000万人の22%にあたる1億人が死亡したほどです。
このため大学は1年半閉鎖となりました。
ニュートンが万有引力を発見したのは、大学が1年半という長期間休校になり実家に帰っていたときです。
その間外と関わるのではなく、自分の時間をつくってやりたいことだけをやっていました。その孤独の時間が上質な思考を生み出しました。
睡眠の確保
見極めるための体力をつけるために必要な2つ目の行動は「睡眠の確保」です。
睡眠が確保できているかは「1週間毎日8時間の睡眠時間を確保できていますか?」という質問に「はい」と答えられるかどうかです。
ショートスリーパーはカッコ悪い
学生や社会人などの中には「寝てないことがカッコいい」「ショートスリーパーがかっこいい」といった勘違いをしている人がいます。
「昨日2時間しか寝てない」「2日間徹夜だった」と寝てないことを自慢してくる人もいます。こういった価値観はもちろんその人が悪いわけではなく、日本自体が「寝ずに働くことが美学」という間違った考え方を推し進めてきたのが根本的な原因にあります。
既に世界中最高峰のスタンフォード大学で睡眠の研究結果として短時間睡眠はとても危険で死を招くことが発表されています。
世界人口のほんの数%だけ遺伝的に短い睡眠時間しか必要ない人がいますが、それはあなたではありません。
そういう人は睡眠時間を削る努力を一切必要とせずに、短い睡眠時間で肉体的にも精神的にも健康的な生活ができる人です。
多くの短時間睡眠をしている人はただただ寿命を削っているだけです。
努力型のショートスリーパーは人間の生態に関する知識が不足し勘違いしている人です。
最大の資産は自分(優秀な人ほど良く寝ている)
あなたが持っている最大の資産は自分自身です。
最大の資産である自分自身の体と精神が充分に回復し満ち足りているからこそ新しい価値あるモノが生み出せたり、幸せな人生を送ることができます。
本当に優秀な人は、「体の回復には8時間の睡眠時間必要」「最大の資産は自分自身」であることを理解しています。
つまり、「本当に優秀な人」=「良く寝ている人」です。
しっかり寝て余計な8割と大切な2割を正しく見極められる人が時間や成功を手にしている人たちです。
ナポレオンは3時間しか寝なかったらしい、さんまさんは眠らずにしゃべり続けているらしいというレアで興味をひく情報に惑わされないことが大切です。
目の前のチャンスをけって昼寝をする
睡眠が重要であることを理解するとは、あなたにとって睡眠の優先順位が高い状態にあるということです。
それを行動で表すと、「目の前のチャンスを蹴って昼寝をする」という選択になります。
お昼など時間があるときに、「あれをやろう」「これをやろう」と考えたり、誘いがあると「行きます」「やります」と答えてしまっているところを断って寝るという行動に変えることです。
厳密な選抜
孤独の時間と睡眠時間を確保することができれば、あなたの思考や体力は回復し、見極めができる状態になっています。
準備が整ったときにやるべきことは「厳密な選抜」です。選択という軽い言葉ではありません。
「選抜」とは本当にいいモノだけを選び抜くことです。しかもそれを「厳密」にやることです。
「難しそう」と感じるかもしれませんが、やるべきことはたったの2つだけです。
絶対にイエス以外はノー
1つ目の判断基準は「絶対にイエス以外はノーと答える」ことです。
日本語に置き換えると「絶対にやりたいこと以外は全て断る」ということです。
何かの誘いがあったときに「それやりたい!」「私が絶対やる!」「むしろ自ら立候補します!」と心がワクワクして即答できることはイエスと答えます。
即イエスと言えずに「うーん、どうしようかな」「なるほどね、いいかもしれない」と迷ったことはノーと答えます。
90点ルール
「絶対にイエス以外はノー」の判断基準をより明確にするために90点ルールを設定します。
90点ルールとは仕事を点数付けして、90点以上のものだけを受けるということです。
「それはやりたくない」「気が乗らない」という50点以下の仕事や、「絶対にやりたい!」という100点の仕事の判断は簡単です。
判断が難しいのは70~80点ぐらいの仕事です。「なるほど。よさそうな気がする」「確かに、やったらメリットありそう」という仕事です。
時間を生み出し、あなたを本当の成功に導いてくれる2割にフォーカスするにはこの60~80点も蹴る必要があります。
そのためにやるべきことは、あらゆる仕事や誘いに点数をつけます。
90点ルールの大きなメリット
90点ルールを実行するために、あらゆる仕事や誘いに点数を付けることには大きなメリットがあります。
それは、仕事や誘いをすぐに受けなくなるということです。
多忙な人の多くは何か仕事を振られたり誘いがあったときに「やります!」「行きます!」と即答している人がほとんどです。
これに対して、点数付けを行えば「この仕事は誰からの仕事で、内容がこうで、今の自分の状態がこうだから、76点ぐらいかな」と考える時間ができます。
つまり、点数付けの習慣は、何も考えずに即答する悪い習慣を終わらせることでもあります。
90点ルールの具体的な方法
人は感覚で点数付けするとその時の感情や体調で点数が左右されてしまうのが普通です。
このため、90点ルールを確実に実行するために具体的な方法があります。
まずは、仕事や誘いの内容を紙に書き出します。
その下に引き受けるための最低限の条件を書きます。その時に「報酬」「環境(場所)」「時間」の3つの条件を設定します
例えば、時給2,000円以上、自然に関する&都内以外、他の業務とリプレイスできる(追加にならない)といった条件です。
特に、過去にあった出来事の中で「やめておけばよかった」と感じたことを条件として記述しておくことが大切です。
そして、その下に理想の条件を書きます。
例えば、日給で1万円以上もらえ交通費・食費も全額補助、山や田舎に関すること、既存の業務と大きな関連がある、といった条件です。
こうすることで、もらった仕事や誘いをより明確な基準で点数付けすることができるようになります。
その時の気分やテンションやノリで決め手は絶対にいけません。それをしている限りあなたは多忙なままで成功もできず、幸せになることはありません。
まとめ
優秀で成功した経験がある人ほど多忙になりやすく、多忙になると集中力が途切れ、疲れがたまり、パフォーマンスが上がらずに成功できなくなるという「成功のパラドックス」があります。
そして、あなたの日常の全ては「トレードオフの関係」にあります。何かをすれば、他の何かをする時間がなくなります。
その時に選ぶべき何かは、あなたを成功に導き幸せにしてくれるものです。判断するために重要な考え方は「パレートの法則」です。
あなたを成功と幸せに導いているのはあなたがやっていることの2割で、残りの8割は大きな結果をもたらさない無駄な作業です。
この「成功のパラドックス」「トレードオフの関係」「パレートの法則」が理解することができたら、忙しいことに対するマインドが変わります。
マインドチェンジができたら次にやるべきことは、たいした成果を生み出さない8割と大きな成果を生む2割を見極めることです。
そのためには「孤独の確保」「睡眠の確保」「厳密な選抜」が必要です。
「孤独の確保」では、「空白の時間」と「一人の場所」を自ら選択して作り出す必要があります。
「睡眠の確保」はショートスリーパーは無知でカッコ悪いことであることと、最高の資産は自分自身であることを理解する必要があります。そして、その優先順位を「毎日8時間寝る」「チャンスを蹴って昼寝する」という具体的な行動で示す必要があります。
「厳密な選抜」では「絶対にイエス以外はノー」と答えるのを基本とします。基準をより厳密にするために仕事や誘いの一つ一つに点数付けをして「90点ルール」を設定します。
「90点ルール」の大きなメリットは考える時間を作って、「はい」と即答している悪習慣を打ち切ることです。
「90点ルール」はその時々の感情やノリで判断しないように「紙に書き出す」「最低限の条件を書く」「理想の条件を書く」ことをします。
こうすることであなたを成功に導く2割と大した成果を生み出さない8割の見極めができるようになります。
これができたら次にするべきことは「成果を生み出さない8割を断る(捨てる)」こと、そして「見極めと断る(捨てる)をしくみ化(自動化)する」ことです。
断る方法としくみ化する方法については次の記事をご参考ください。