体の中で重要な部分というと「心臓」や「脳」にばかり考えがいってしまいます。ですが「健康」を考える上で一番外せないのは「腸」です。
腸の何がすごいか?
腸は食べたものを消化して栄養を吸収する大切な役割を担っています。ですが、腸のすごさはそれだけではありません。
腸は免疫システムの要
風邪やインフルエンザ、大腸菌などの高熱、腹痛、下痢、嘔吐などの嫌な症状をもたらす主な要因は体の外から入ってくる細菌やウイルスです。
風邪をひきやすい人とひきにくい人がいますが、その違いは細菌やウイルスに対抗する免疫細胞がどれだけ体の中にいるかです。
体内の免疫細胞の75%がいるのが腸です。このため、腸は免疫システムの要と呼ばれています。
腸の状態が健康的であれば、様々な病気に対して強い体になります。逆に、腸の状態が悪ければ病気に弱い体になります。
腸内環境を整えるための3つの事前知識
腸の状態を健康にするためには、腸内環境を整える必要があります。
医学が進み、腸内環境を整える食事や、悪化させる食事、また、その理由が明確になっています。
ですがその前に、腸内環境について知っておくべきことが3つあります。
抗生物質は腸内環境を破壊する
体調が悪く病院に行ったときにお医者さんから「抗生物質出しておきますね」とサラッといわれることがあります。
抗生物質はかなり強力な医療薬品で、適切に使えば効果は絶大ですが、誤って使うと体に大きなダメージを与えます。
抗生物質とは「生き物」を「(抗)抑え込む」ための薬です。具体的には体内に入った細菌を殺します。
腸の中は細菌だらけ
腸の中は「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」という細菌(生物)で覆われています。腸内の細菌の種類は数百種類で、その数は100兆個といわれています。
免疫力や免疫細胞といいますが、それは腸内で善玉菌が多い状態のことです。
抗生物質は腸内の1/3の細菌を殺す
抗生物質は腸内の細菌を大量に殺します。体に必要な「善玉菌」だろうがなんだろうが関係ありません。
抗生物質を飲むと「善玉菌」も含めて腸内の1/3の細菌が死ぬと言われています。
更に悪いことに、その死んだ細菌たちが修復するまでに3か月という長い時間がかかります。
3か月毎に1回抗生物質を処方されて飲んでいる人は、腸内の1/3の細菌がずっと死んでいる状態です。
抗生剤を飲むのは本当にダメなときだけ
もちろん抗生剤が悪いというわけではありません。腸内環境が「悪玉菌」で汚染されている場合は、抗生物質で悪玉菌をやっつけて、腸の中をクリーンな状態にしてから、「善玉菌」を増やしていくのは効果的です。
また処方されたときは全て飲み切るようにします。そうしないと悪い細菌が体の中に残ってしまい再繁殖するリスクがあります。
抗生剤を使うのは細菌からくる病気で、かつ短期間で自然治癒する見込みがないときにする方が安全です。
抗生物質はウイルスには効かない
抗生物質は生き物を殺す薬品です。具体的には「細菌」を殺します。一般的な風邪などの原因であるウイルスには効きません。
ウイルスとは生物と無生物の間の新しいものです。生き物ではありません。
なお、風邪の9割はウイルスからくるものなので、風邪が原因でくしゃみ・鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・痰などに加え、発熱・頭痛・全身倦怠感・食欲不振など症状が出ているときに抗生剤を飲んでも効果がないどころか、腸内環境を破壊してしまいます。
抗菌・殺菌のしすぎに注意
細菌を排除してしまうと免疫力が低下します。これは善玉菌を殺してしまうこともありますが、悪玉菌を殺しすぎてしまうことも原因です。
体は悪い細菌があるとそれに対抗する免疫を身に付けていきます。つまり、あまりよくない細菌それが体内にないと免疫が作れないのです。(あまりに危険なものは別です)
このため抗菌・殺菌をしすぎて無菌状態にすると体が余計に弱くなってしまいます。
外に出かけたときに手洗いやうがいをすることは大切ですが、家でトイレに行くたびに手を洗ったり、過度にうがいなどをしていると、必要な細菌までいなくなってしまいます。
学校のクラスや会社と同じで腸内も多様性が重要です。
現代人は腸内の細菌のバリエーションが減っていることが分かっています。それは抗菌・殺菌のし過ぎによるものです。
腸内環境を整えるためには、抗菌・殺菌は必要がある時に止め、過度にやる過ぎないようにする必要があります。
困ったときはプロバイオティクス
抗生物質を飲んだ後や、抗菌・殺菌のしすぎで腸内に菌がいる気がしないという場合は、プロバイオティクスを飲むのが効果的です。
プロバイオティクスというと難しく感じますが、単に安くて腸に優しい栄養素の総称です。
プロバイオティクスにはビフィズス菌、乳酸菌、オリゴ糖類があります。ビオフェルミンやびビオスリーなど薬局で手に入りますし、スーパーに置いてあるヨーグルトやヤクルトにも入っています。
腸内環境を整える食事
腸に関する注意すべき事前知識がわかったら、次は具体的に腸内の環境を整える方法についてです。
腸内環境を整えてるには善玉菌を増やす食事を摂る食習慣を身に付けることが大切です。具体的には次の2つです。
発酵食品とその役割
発酵食品には乳酸菌が含まれています。乳酸菌は腸の動きを正常にする善玉菌そのものです。
なお、納豆やヨーグルトなど食品によって含まれている菌が異なります。
このため、どれか一つの食品に偏るのではなく、定期的にそれぞれをバランスよく食べることが大切です。
食物繊維とその役割
食物繊維は腸のなかをキレイにしてお通じをよくするだけではありません。腸の中調子を整えてくれるいい細菌、善玉菌の食糧になります。
つまり、食物繊維がないと善玉菌が弱まって、悪玉菌がはびこり腸内環境が悪化します。
腸内環境を壊す食べもの
腸の環境を壊すのは悪玉菌です。その悪玉菌を増やしてしまう危険な主なモノは次の3つです。
動物性たんぱく質
悪玉菌の原因は腸の中の腐った動物性たんぱく質や脂質(油)です。
お肉や油物を大量に食べると消化しきれずに腸の中に溜まります。するとその残った食べ物が腸の中で腐って腐敗臭を発します。その時に発生する細菌が悪玉菌です。
もちろんお肉や魚などのたんぱく質や脂質は体に必要な栄養素です。問題は消化しきれないほどの食べ過ぎです。
トランス脂肪酸
体に悪い食品の代表格にトランス脂肪酸があります。これは安い酸化した油のことです。
菓子パンやお菓子、マーガリン、ドーナツ、チョコレートなど揚げてある安いものに使われています。
トランス脂肪酸は腸内の悪玉菌を増やし、がんなどのリスクを上げます。
トランス脂肪酸とは何か?
トランス脂肪酸とは何かというと植物油に水素を加えた人工の油です。なぜトランス脂肪酸が使われるかというと、作るのが簡単で長期保管することができるからです。
利益を出したい企業にとってはうってつけの油です。たとえ消費者の体を壊そうとも。
なお、普段食べている食事の1%をトランス脂肪酸に変えるだけで腸内の悪玉菌が急増します。私たちが食べているものがどんな油を使って作られているか?ということはとても大事なことです。
酒
お酒にはアルコールが含まれています。このアルコールを分解すると、体内で毒素アセトアルデヒドが生成されます。
アセトアルデヒドは多くの悪玉菌を生み出します。
まとめ
人にとって心臓や脳は大切です。その大切な機能を健康に動かして最高のパフォーマンスを得るためには体調が整っていて、外からくるウイルスや病原菌に対抗できる必要があります。
そのためには「腸」がとても大切です。
私たちは心臓や脳を大切にする前に腸を大切にする必要があります。
腸を大切にして環境を整えるのに大金や薬は必要ありません。むしろ抗生物質などの先端薬品は逆効果です。
安い油を使ったジャンクフードやお菓子などを避けて、食物繊維と発酵食品を食べるだけです。安く誰でも簡単手軽に腸内環境を改善することができます。
あなたの腸内環境が改善して最高の免疫力を手に入れられることを心より願っています。