【統計学のワナ】分母が小さいデータは全く当てにならない(トップ10はワースト10にもいる)

思考法
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インターネットの台頭でデータこそが資産といわれる現代においては、統計はビジネスにおけるとても重要なツールになっています。

達成率や年次評価など、あらゆる基準や報告書で統計や割合が使われています。

ですが、パーセントなどの割合を使う場合に注意しなければいけないことがあります。それは「小さい分母から求められた数値は誤差でしかない」ということです。


社員のパフォーマンスが高いのはどの店舗か?

例えば、あなたが多店舗展開するある企業のトップで、お金をかけて強化する店舗を選ぶ必要があるとします。

お金をかけて最も効果がでそうな店舗を調べるため経営コンサルタントを雇いデータを提出して、社員あたりの売上高が最も高い店舗を探してもらいました。

その結果、秋田の店舗の数値がもっとも高いことが判明しました

東京の方が優秀な人が揃っているので、まさか地方都市の店舗が一番いいとは、、と驚いたものの、その数値に従って、秋田の店舗に資金を投下することにしました

これで一件落着、仕事が一つ片付いたと思うかもしれませんが、あなたは大きなミスを犯しました。

会議の最後になって部下の一人がコンサルタントに向かってぼそっとつぶやきました「すみません、売上額で並べ替えをしてくれませんか?」

コンサルタントが売上額で並べ替えを行ったデータを示すと、なんと秋田の店舗は最下位になりました。売上高が断トツで高いのは東京の店舗です。

一体何が起こったのか調査したところ、秋田の店舗は従業員が10人しかいません。そのうちの1人だけが異様な数の商品を売っていました。

店舗に電話して話を聞いたところ「たまたま中国の富豪が旅行に来て大量に買い込んでいった」とのことでした。

このため、翌月のデータを調べると、秋田の店舗の社員あたりの売上高は上位リストからいなくなりました。

これは、分母が少ないときはデータの誤差が非常に大きくなることを示しています。

point

分母が小さいときの統計データはあてにならない。


コンコルドは安全?危険?

分母が小さいことによる統計学のワナで有名なのはコンコルドの安全性です。

コンコルドは最初の頃「世界で最も安全な飛行機」と言われていました。というのも、創業以来、死亡事故一度も起こしていなかったためです。

様々な航空会社のジャンボジェット機の死亡率の平均が100万回の飛行あたり0.6件程度だったのに対して、死亡率0%という偉業を成し遂げていました。

ところが2000年にコンコルドの死亡事故が1件発生しました。これにより、コンコルドの死亡率は100万回の飛行あたり11.3件になり、世界で2番目に危険な乗り物へと変わってしまいました(1番危険なのはヘリコプター)

これは、他の飛行機に比べ、コンコルドの飛行回数が極端に低いために生じたものです。


ベンチャー企業は大企業よりも賢い人が多い?

コンコルドは死亡事故が起きるまで「世界一安全な乗り物」として売り出されていました。

このように、統計によるあてにならない数値はあちこちで用いられています。

例えば、あるニュースで「ベンチャー企業の社員は大企業よりも優秀」という報道が流れました。その理由は、ベンチャー企業の社員のIQの平均値は大企業の平均値よりも高いという結果に基づくものでした。

そこには上位トップ10のリストが表示されていました。確かにベンチャー企業の名が上位に入っています。

ですが、一般的に創業間もないベンチャー企業の人数は片手で数えられる程度です。このため、飛びぬけて賢い人が数人いれば、その企業のIQの平均値は高くなります。

同時に、ほんの数人でもIQの低い人がいれば、その割合も大きく出ます。

このため、IQ平均値の高い企業のリストの上位にはベンチャー企業がランクインし、下位にもベンチャー企業がランクインします。

つまり「ベンチャー企業の社員は大企業よりも優秀」は間違っているということです。

point

分母が小さい場合、その数値は簡単に最上位にも最下位にもなる。


参考

この記事の内容はスイスの経営者かつ小説家でもあるロルフ・ドベリの「Think Smart ~間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法~」の一部要約と自分なりの見解を加えたものです。

本書では人々が陥りやすい思考のワナとその対処法が、実例を踏まえてふんだんに紹介されています。

とても分かりやすく、成功したい、幸福になりたい思っている人の必読書です。

この記事に少しでも興味を持たれた方は是非実際の書籍を手に取ってみることをお勧めします。



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