お金持ちや成功した起業家など、お金を持っていて株価が高ければ人はその人を優秀な成功者とみなします。
ですが、その裏には忘れてはいけない本質的な違いがあります。
成功の差
例えばAさんとBさんという2人の大金持ちがいるとします。どちらも10億円という巨額の資産を持っています。
地元経営者のAさん
Aさんは地元の企業の経営者です。建築業を営んでいます。
ライバル会社と差別化するためにその地域の建物を調べ尽くし、似た気候の国の建物も見て回りました。そして自社技術に磨きをかけ、さらに自社独自の製品を販売することで徐々に資金を溜めていきました。
資産10億円に到達するまでの道のりは長く20年かかりました。
危険な賭けをしたBさん
BさんもAさんと同じく10億円の資産を持っています。
Bさんは一般的な普通の会社員でした。あるときラスベガスのカジノに行ったとき、自分がこれまで貯めてきた1000万円の貯金をすべて賭けることにしました。
そこで奇跡的な大当たりをみせ、元手1000万円が10億円にまでなりました。
Bさんはすぐに会社員をやめ、豪邸を建て、お金持ちの仲間入りをしました。
本質的な差
AさんとBさんはどちらも資産10億円の持ち主です。世の中的に見れば成功者・お金持ちの部類に入ります。
ですがAさんとBさんには本質的な差があります。それは、「2人が持っていた選択」です。
Aさんは「市場を徹底的に見て回り、ライバル企業が取り扱っていない優位な技術や商品を開発しました」。入念に時間をかけた調査と心血注いだ開発による賜物です。
一方、Bさんは「全財産の1000万円を失うか、それが増えるか」です。危険な賭けです。
この2人は表面上は同じですが、その中身(通ってきた道)は全く異なります。
AさんとBさんを同列にもてはやし、あがめるのは間違っています。
危険な賭けをした人についていってはいけない
Bさんのような危険な賭けをして勝った人はこういいます。
「全財産を持ってカジノに行くべき。そうすれば億万長者になれる。私がそうだ」と。
「資産10億円のお金持ち」という表面しか見えていない人はその言葉を信じてカジノに行ってしまうでしょう。その先に待ち受けるのは全財産を失う破滅です。
なぜなら勝って10億円もうかる確率よりも、全財産失う確率の方が圧倒的に高いからです。
裏に隠された選択肢を見る
重要なことは「成功の裏に隠された選択肢を見る」ということです。
Bさんは確かに成功者ですが、その裏には「全財産を失う」というリスクがあったわけです。その道に進んでしまったら、Bさんは一生会社員でい続けるしかありません。どんなに仕事が嫌でもです。老後の資金がたまるかもわかりません。
一方、Aさんにアドバイスを聞きに行くと、自身の成功体験に沿って「お客さんが何に興味を持っているか、ライバルや他の人たちがまだできていないことは何か?を徹底的に調べるんだ」というアドバイスをくれるでしょう。
全く別の業界にいたとしてもこのアドバイスは有効です。何年もかけて地道に調べ上げればこれまでに見えていなかった新しい活路が見つかる可能性はとても高いです。
仮に見つからなかったとしても、それまでの仕事の延長線上なので危険なリスクを冒すこともありません。
ビットコイン長者や投資家を崇拝してはいけない理由
SNSが流行っている時代、ビットコインや仮想通貨、デイトレードやFXで儲けている人たちがたくさんいます。
「〇千万円稼ぎました!」「資産〇億円持っています!」と声高々に叫び、自分のプロフィール欄に記載している人たちがいます。
そういう人たちのSNSを見て「僕も・私もそうなりたい!」と追従しようとする人がたくさんいます。「あの人はすごいなー」と尊敬している人もいます。
ですが、そういった人たちはそのお金持ちが通ってきた選択肢を見過ごしています。
それは、運が悪ければ一瞬にして借金まみれになっていたということです。
彼らはたまたまその選択肢を上手に抜けられただけです。あなたも同じく上手に抜けられるとは限りません。
戦場を突っ切る兵士
危険なリスクを伴って成功を手にした人は銃弾が飛び交う戦場を突っ切る兵士に置き換えることができます。
一部隊の10人は敵に追いやられて土豪の中に隠れています。敵兵を上手くかわして200m走りきると自分たちの戦車があり助かる可能性があります。
ですが、200m走っている間に銃弾が当たって倒れてしまったり、死んでしまう可能性があります。
もちろん上手くいけば走り抜けられるかもしれません。
ビットコイン長者や成功した投機家は、銃弾飛び交う中をなんとか200m走り切った人たちです。
例えば奇跡的な自然条件で濃霧が出たタイミングで銃弾が当たることなく戦車までたどり着けた人たちです。
同じ状況下で走り抜けても、敵が乱射した銃弾が運悪く足に当たったり、頭を打ちぬいてしまうこともあるでしょう。
誰もが成功するとは限りません。むしろ大きなリスクにあたってしまう確率の方が高いです。
じゃんけんで負けた人が払う
じゃんけんで負けた人が食事代を払うという賭けをしたとします。
あなたは運よく勝ちました。そこであなたは喜びます。その後相手に対して「ありがとう!ごちそうさまです!」と感謝するでしょうか?
感謝する人はその裏にあったリスクに気づけていません(一応の礼儀として言った人は別ですが)。
あなたも相手と同じ確率だけ、お金を払わなければいけないリスクを持っていたということに。
まとめ
表面的な成功にだけ目を向けると、あなたは大きなリスクを負うことになるかもしれません。
同程度の結果になっていても成功の本質は違うものです。ちょっとやそっとではビクともしない盤石な基盤の上に築かれているのか、それとも、破産スレスレの賭けをしてきたのか。
追いかける人やアドバイスを聞く人、尊敬する人を間違えると、それはあなたが死に向かって走り出したのかもしれません。
成功の裏にあった選択肢やリスクは表面からは見えません。
じっくりと目を向け、話を聞き、調べてみてそしてようやく見えてくるものです。
戦場で頭を打ちぬかれる道を走ることにならないよう注意しましょう。
参考
この記事の内容はスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。
人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。
この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。
あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。