帰納的推理とは何か?人が犯す超危険な思い込みのワナ|この世に絶対はない

思考法
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帰納的推理とは何か?

帰納的推理とは「ある事柄から普遍的な真実を推測すること」を言います。単に「帰納(きのう)」と呼ばれることもあります。

例えば「日本人のAさんは納豆が好き」 「日本人のBさんは納豆が好き」 「日本人のCさんは納豆が好き」 という3つの事柄から、「日本人は納豆が好き」という結論を導き出すのが帰納的推理です。

ポイントは帰納的推理は間違った結果に至ることがあることです。

なお英語ではinductive resoningといいます。inductiveは「既知の物事から真実を推測しようとする事」、resoningは「理由付け」という意味です。


人が犯す重大ミス

人は「帰納的推理」によって思い込みをする生き物です。

例えば、ずっと彼氏ができなかった女性は「私は彼氏ができない」や「恋愛に向いていない」というように思い込みます。

これまで健康で風邪をひいたことがない人は「自分は病気にならない」と思い込みます。

中国人に嫌な思いをさせられた経験がある人(あるいはメディアで悪い情報にだけ触れた人)は「全ての中国人が嫌な奴」と思い込みます。

このように帰納的推理はとても強力で人の思考や感情に深く根を張ります

結果としてこの勘違いにより不幸な人生を送ったり、人に危害を加えたりする人が現れます


帰納的推理を使った洗脳

帰納的推理は人や動物を洗脳するのにも使われます。

ウサギさん

ウサギさんはとても警戒心の強い動物です。めったなことでは人に懐こうとはしません。

ある日、一人のおじいさんがウサギにエサをくれました。ウサギは警戒しておじいさんが去るのを待ってから恐る恐るエサを口にしました。とても美味しかったです。

次の日もおじいさんはエサをくれました。ウサギはまだ警戒しているものの少しだけ近寄りました。

これが毎日毎日繰り返され3か月経った頃にはウサギはおじいさんにすっかり懐いていました。おじいさんの手からエサをそのまま食べるほどでした。

1年後ウサギはおじいさんの家の傍に住んでいました。

その頃には良いエサでプクプクと太り肉付きが良くなっていました。

ある日おじいさんはひょいっとウサギを捕まえて手足を縛ってバーナーで炙って食べてしまいました。

ウサギは過去の出来事から「このおじいさんはエサをくれるから安心。何もしない」と結論付けて油断していました。帰納的推理です。

そして、その結果こんがりと焼かれてしまいました。


ねずみ講(マルチ)

ある日Aさんがパーティーに参加しました。するとそこにはとても感じのいいお金持ちがいました。

その人の傍にいると魅力的な人や情報が集まっていて楽しいことばっかりです。Aさんはその人と一緒にいる時間がどんどんと増えていきました。

半年がたちAさんはすっかりとそのお金持ちのことを信頼しています。

その頃こんなことを言われました「この鍋、すごく使いやすくて丈夫なんだけど買わない?」「このサプリ美容と健康にとても効くよ」

すっかり信じ込んでいたAさんはその人から商品を買うようになりました。

Aさんは今も信じています「このお金持ちの人は良い人だ」と。


帰納的推理の重要性

帰納的推理は危険な思い込みにつながるリスクがありますが、もちろんメリットもあります。

私たちは歩道を歩いていて車が突っ込んでくるという心配をしません。それは小学生から大学まで歩道を歩いていて車が突っ込んできたことは一度もないからです。

飛行機に乗る時にこの飛行機が墜落するとは考えません。これまでたくさんの人が飛行機に乗っていて無事に旅行したり出張しているからです。あなたのこれまでのフライトも一度も墜落事故はありませんでした。だからこれからも飛行機事故は起こらないと思い、今日も出張や旅行に出かけます。

これは当たり前のことです。帰納的推理の本能がなければ常に不安を感じ心配していなければいけません

帰納的推理の本能は私たちから不安や心配を取り除くための機能ともいえます。

point

帰納的推理=悪ではない。 帰納的推理=重大な勘違いにつながる危険性がある


この世に100%はない

賢い人は「この世に100%確信がもてることはない」ことを理解しています。

今日無事だから明日も無事という保証はどこにもありません。今日危険だから明日も危険という確信もありません。

株が上がり続けているからといって将来もずっと上がり続ける保証はありません。

これまで人類が生きてこれたから、これから先も地球上で人類がずっと生きていけるという保証はありません。

アメリカ建国の父として知られるベンジャミン・フランクリンは次のように述べています。

この世で確かなものがあるとすれば、それは死と税金だけだ。


参考

この記事のスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。

人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。

この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。

あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。


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