社員や子供のやる気を出す3つの条件|やる気は内側から湧き出るもの

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社員や学生、子供など「やる気を出して欲しい」と願っている人はたくさんいます。

「やる気」を出してくれれば成績や業績も上がり、自分も組織も、やる気を出した本人にもプラスになります。

このため「やる気」に関する研究が世界中で行われています。

ここではアメリカを代表する心理学者 エドワードL.デシの「やる気」に関する研究内容についてわかりやすくまとめています。


やる気には2種類ある

私たちが「やる気」とよんでいるものには大きく2種類あります。

それは「外から与えられるやる気(外発的動機付け)」と「内側から湧き出るやる気(内発的動機付け)」です。

外から与えられるやる気

私たちが誰かにやる気を出してもらおうとするときによく使うのがそれは「外から与えられるやる気」です。(専門用語では「外発的動機付け」といいます)

例えば「〇〇したら好きなもの買ってあげる」「〇〇を達成したら昇給させる」というように、何か報酬を与えることで「やろうかな」と思わせる「やる気」です。


内側から湧き出るやる気

外から与えられるやる気に対して、エドワードL.デシが注目したのは「内側から湧き出るやる気」です。(専門用語では「内発的動機付け」といいます)

誰かにやってと言われなくても、自分から「やりたい!」と進んで行動するやる気です。

例えばゲームなど周りの人からは「もうやめさない」と言われても「もっとやりたい!」と思うような自分の内側からふつふつと湧き出てくるやる気です。


報酬は内側から湧き出るやる気を下げる

エドワードL.デシの研究で世界に衝撃を与えたのは「外から与えられる報酬は、内側から湧き出るモチベーション(やる気)を低下させる」ということです。

「〇〇したら好きなもの買ってあげる」「〇〇を達成したら昇給させる」 というようにお金やモノで人を釣ると、その人の中の「やりたい!」という気持ちがどんどんと下がっていくということです。

実験内容

エドワードL.デシは次のような実験をしました。

被験者となる学生を集めて、決められた時間パズルをやってもらいます。

学生は2つのグループに分かれます。

  1. パズルを解くと100円貰えるグループ。(1ドル)
  2. 何ももらえないグループです。

そして、30分間パズルをやってもらい、その後は自由時間とします。エドワードL.デシが着目したのはこの自由時間に学生が何をするかです。

実験の結果、報酬として100円が与えられるグループは自由時間になると、ほとんどの学生がパズルをやることをやめてしまいました

一方、パズルを解いても何ももらえないグループの学生の多くは、自由時間もパズルを引き続き解こうとしました

報酬モチベーション自由時間
100円100円もらえるやめる
なし楽しい、面白い継続する
point
  • お金やモノで釣ってやる気を出させると、自発的なやる気が弱まる。
  • お金やモノがなくなったとたんに、やる気(動機)もなくなる。


内側からやる気を出す方法

大変ありがたいことに、エドワードL.デシはどうやったら人が「内側からやる気を出すことができるか」のメカニズムまで解明しています。

3つの条件

人が内側からやる気をだすためには次の3つの条件を満たす必要があります。

3つの条件
  1. 自分で決める(自律性への欲求)
  2. 高い自己肯定感(有能さへの欲求)
  3. 受け入れられている(関係性への欲求)


自分で決める

1つ目の条件は「自分で決める」ことです。

「やらなければ」「押し付けられた」と感じて取り組むのではなく、自分で決めたという実感を持つことです。

ゲームや外で遊ぶことは誰かに「やれ」と言われたわけではありません。自分で「やる」と決めています。

職場や子育てにおいては、同じ行動をするにしても、本人が当事者意識を持って取り組めるようにする必要があります。

視点を変える

例えばある社員に「部下の育成をしてくれ」と伝えると、その社員にとって「やらなければいけない仕事」でしかありません。

ですがその社員に「あなたが今仕事で達成したいことは何ですか?」と聞き、聞き出した目標について「あなたが目標としていることと、部下の育成をすることでつながる部分はありませんか?」と聞いてみます。

すると上手く紐づけられないかを本人自身が考えて答えを出します。

このプロセスの結果、視点が「押し付けられた仕事」から「自分の目標につながること」に変わります。

point

相手が自分で決める(視点を変える)サポートをする。


高い自己肯定感

2つ目の条件は「自己肯定感」があることです。

「私にはできない」と思っていることにやる気が出ることはありません。やる気が出るのは「私ならできる」と思っていることです

肯定とサポート

周りができることとしては「大丈夫、あなたならできるよ」と伝えること。そして、その人がつまづいたときに自走できるだけのヒントを与えることです。

それが自己肯定感や自信につながっていきます。


達成の承認

もう一つ重要なことはその人が「目標を達成したときに周りが認める」ということです。自分自身が達成したんだと認知できることが「やる気」につながります。

合わせて読みたい

アメリカ合衆国の臨床心理学者 フレデリック・ハーズバーグが「やる気」に関する研究で、やる気は「達成する」ことと「達成が認められる」ことが条件であることを発表しています。

(参考) 【モチベーションの原理】日々の小さな積み重ねと実感がやる気を生む|壮大な計画が挫折するのはなぜか?


受け入れられている

3つ目の条件は「受け入れられている」ことです。

自分が自分自身でいられる環境があることが「やる気」に大きく影響します。

みんな仲がよい職場だとイキイキと働けます。もちろんやる気もあるので自発的に何かしようという気持ちになります。

一方「あなたに何ができるの?」「あなたなんかいらない」というギスギスした職場だと、そこで働きたいという「やる気」はどんどんと低下していきます。


相手が安心できる環境を作る

相手の「やる気」を内側から引き出すためには「あなたは受け入れられている」というメッセージを周りが伝える必要があります

「最近どんなことに関心があるの?」「体調は大丈夫」といった何気ないコミュニケーションが「あなたを受け入れている」というメッセージになります。


まとめ

給料やお小遣いなどの「お金」や景品やプレゼントなどの「モノ」で人を釣ることは、一時的に「やる気」を上げるものの、それがなくなると「やる気をなくす」というトレードオフになります。

内側からやる気を出すには、その人自身の問題と思われがちですが、実は周りができることが多くあります。

質問を使って、あなたのやって欲しいことと、相手ががやりたいことを結び付ける手助けをすること。

相手が何かを達成したら、それを承認すること。それが自己肯定感を上げ自信につながります。

そして、相手が安心して行動・発言できる環境を整えることが大切です。


参考

この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。

この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。

興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。



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