就職や好きな人と話すとき、大事な会議やプレゼンなど人生を左右するときには必ず「話す」ことが伴います。
あなたの話を聞いた人が心を動かし、話を聞いたことでいい気持ちになったのであれば、あなたはどんどんと成功を手に入れることができます。
人の心を動かすには、大きく3つの切り口「感情」「論理」「技術」から話し方を考える必要があります。
「感情」については、学校では教えてくれない幸せになるための話し方(話す目的は「相手にいい気持ちになってもらうこと」)で紹介しました。
ここでは、「論理」と「技術」の側面から、そもそも話すときに結論はいつ言うべきかや、人を引き付ける喋り方とは何かについて解説しています。
論理
結論は先に言うべき?
結論を先に言うか、後に言うかという議論がよくあり悩む人も多いのではないでしょうか?
結論から言うと、「結論ははさむべき」です。
前だけ、後ろだけではありません。最初にも述べて、最後にも述べる。この2つが重要です。これをハンバーガー話法といいます。
中身
結論はいつ言うべきかはわかりました。次に重要なのは、結論で挟んでいる中身です。
この中身にはいくつか種類があります。
- 理由 → 事例
- 問題 → 解決
理由(なぜなら)→ 事例(例えば)
1つ目は、なぜならという理由の後に、例えばという事例をつける方法です。
結論「こういうことがいいんです」
理由「なぜなら〇〇だからです」
事例「例えば、、、」
結論「だから、こういうことがいいんです」
聞き手の気持ちを考えたときに、まず結論を伝えると「えっ、なんで?」という気持ちが芽生えます。
そこに対して、理由と事例を伝えることで、聞き手の気持ちに寄り添います。
最後に、また結論を伝えると、その時、聞き手の気持ちは最初の「えっ、なんで?」から「なるほど。だからか」に変わっています。
問題 → 解決
2つ目は、問題を述べた後に、どうやって解決したかを伝える方法です。
結論「こうすべきです」
問題「みなさんこんな問題を抱えていませんか?」
解決「その原因は〇〇で、こうやって解決できるんです」
結論「だから、こうすべきです」
ここでのポイントは、聞き手が抱えている問題にフォーカスするということです。
例
結論「みなさん、寝れば幸せになりますよ」
問題「今のみなさんの状態はどうでしょう?肌は荒れていませんか?ついつい食べ過ぎて体重が増えていませんか?なかなか集中力が続かないなんてことはありませんか?」
解決「すべての原因は睡眠不足なんですよ。肌荒れ、食べ過ぎ、集中力不足を睡眠で解決できるというデータが出ているのです。なぜなら、人は寝ると同時に、細胞を活性化させ肌が美しくなります。寝てる間に脂肪を燃やすから痩せることができます。寝てる間に脳のリセットがされるから集中力が高まります」
結論「だから、寝れば幸せになれるわけです」
結論は15文字以内
結論をどこで言うか、そして結論で挟む中身は何を話せばいいかが分かったところで、続いて、結論について掘り下げます。
聞いている相手に気持ちよくなってもらうには、結論を長々と喋ってはいけません。情報の詰め込みは聞き手に苦痛を与えます。
最適な結論の文字数は15文字以内です。
15文字以内というのはyahooニュースのヘッドラインと同じ文字数です。(実際には15文字±2程度)
結論は15文字以内でシンプルにし、その中で少し長めのタイトルや文章が続きます。
ここでのポイントは、国内情勢、政治、経済、エンタメ、スポーツなど記事の見出しはすべて13文字以内で収められるということです。
できないことではないのです。Yahooニュースが実際に何年間もやっていて、その見出しを見て、人は「読みたい」「気になる」という感情を抱いているのです。
ニュースだけでなく、本のタイトルも同じです。
15文字の中に入れるのは利益と意外性
そして、その15文字の中に、人が「見たい」「気になる」というパワーワードを入れることが重要になってきます。
結論に入れるべきキーワードは利益と意外性です。
利益を入れる理由は、人はメリットないと見ないからです。「儲かる」「痩せる」「健康になる」「幸せになる」「モテる」「頭が良くなる」というのが利益になるキーワードです。
世の中は利益になるキーワードで溢れています。なので、聞き手を更に引き込むために、その利益を意外性で包み込みます。
相手が、「えー、意外!なんで!?」と思うほど、聞き手は物語にのめり込みます。
例1
「家で寝てるだけで10万稼ぐ方法」(15文字)
この利益は「稼げる」、意外性は「寝てるだけで」です。
例2
「タバコを吸えば吸うほど女性にモテる話」(18文字)
この利益は「モテる」、意外性は「タバコを吸う」です。
例3
「食べれば食べるほど痩せれる」(13文字)
この利益は「痩せる」、意外性は「食べるほど」です。
例4
「〇〇の音楽を聴くだけで頭が良くなる」(17文字)
この利益は「頭が良くなる」、意外性は「音楽を聴くだけ」です。
例5
「人気アイドルのノーバン始球式」(14文字)
この利益は「エロス」、意外性は「人気アイドル」です。
この例は、どれも詐欺っぽいです。「そんなわけないでしょ~」と思うようなことばかりです。
その話を聞く人は「いやそんなわけないでしょ。でもワンチャンあるかも」と思ってしまいます。それが人の性質です。
だからこそ詐欺に使われ、詐欺に引っかかる人がいるのです。詐欺がなくならないのです。
騙されてしまうぐらい、人は利益と意外性が大好物なのです。詐欺師はそれを知っていて有効活用している人たちです。
当たり前のことを言ってはいけない
逆に言うと、結論を伝えるときに当たり前のことを言ってはいけません。メリットがあってもです。
- 死ぬほど運動すれば痩せる
- 1週間何も食べなければ痩せる
- 毎日15時間勉強すれば頭が良くなる
- 顔がカッコよくなればモテる
- 気立てのいい奥さんと結婚すれば幸せになる
- バイトのシフトを2倍にすれば、2倍稼げる
いくらメリットがあっても当たり前のことを結論に言ったところで、「はいはい」「でしょうね」「知ってるよ」「だから何?」「で?」としかなりません。
聞き手の興味関心を引き付けるどころか、どうでもいい認定されて一気に離れてしまいます。
具体的な数字を入れる
「利益」と「意外性」に加えて「具体的な数字」を入れることで結論を更に補強することができます。
具体的な数字がどれほどインパクトがあるかを見てみます。
例1
NG:「このyoutubeはたくさんの人がみてるから面白いよ」
OK:「このyoutuberは400万人が登録していて、全部で7億7000万回再生されているんだよ。だから面白いよ」
聞き手は「たくさんってどのぐらい?」「ふーんそうなんだ」と思っていたのが、具体的な数字を入れることで「そんなに!?」という驚きに変わります。
例2
NG:「たくさんの人がこの商品を熱狂的に支持しています」
OK:「83%の人がこの商品を熱狂的に支持しています」
聞き手は「たくさんってどのぐらい?」「熱狂的って言われてもね」と思っていたのが、具体的な数字を入れることで「それは多いな」という納得に変わります。
例3
NG:「この情報を知っているのはほんの一握りだけ」
OK:「この情報を知っているのは1万人に1人だけ」
聞き手は「一握りってどのくらい?」「一握りだけなら、他にも知っているひともいるのか」と思っていたのが、具体的な数字を入れることで「そんなに少ないの!?」「超レアじゃん」「聞いておかないと損」という驚きに変わります。
数字はそれ自体で物語を作りだすことができます。曖昧に多い、少ない、このぐらいではなく、より具体的に伝えることでパンチが出ます。
数字は変化で見せると効果的になる
数値を言われてもその業界に詳しくないとピンとこないことがあります。そんな時に効果的なのが、聞き手が比較できる数値を伝えることです。
これで、聞き手は自分が知らない世界の相場を知ることができます。
数字で変化を見せるというのは、物語を作るときに一番大切な「Before」を伝えることでもあります。
例
NG:「うちの製品はお買い得です。なんと3万円です。」
OK:「うちの製品はお買い得です。この製品他のメーカーで買うと10万円します。でもこれが今うちなら3万円です。7万円もお得に買えるんです」
NG:「アメリカはとても広いです。」
OK:「アメリカはとても広いです。日本の面積が40万km2なのに対して、アメリカ合衆国は1000万km2です。なんと日本が25個も入るんです。」
安さを強調させるだけでなく、高いや小さいといったことを強調することにも使えます。
NG:「このアイス1万円です」
OK:「このアイス普段は100円、なんですがなんと1万円です。富裕層向けに開発された世界で15本だけの特別なアイスです」
アイス1本1万円と聞くと高いし誰が食うか、となります。ですが、普段との差を示して、「いかに高いか」と「なぜ高いか」を説明すると聞き手の興味を引き付けることができます。
人は変化に興味を持つ
人が変化に興味を持つ例としては割引があります。
例えば、「今だけ消費税3%が無料!」とあるとみんながこぞってそのタイミングに買いに行こうとします。
ですが、100円のものが3%無料だと、安くなるのはたったの3円です。自分の時間を30分使って買い物に行ったり、車で出かけてガソリンを使う方が支出が大きいです。
それでも人が興味を持つのは変化があるからです。普段は〇円のものが△円になる。それが人を惹きつけるのです。
NG:「玉ねぎ10円」
OK:「普段は90円のこの玉ねぎが、なんと今日だけ10円」
このように、変化を数値で出されると更に惹きつけることができます。
百貨店やデパートのセール品も同じです。割引している場合必ず元の値段が残っています。変化が見れるから、買い手が比較できるようになり、お得感を感じて興味を持ちます。
「たとえ」を使う
聞き手の感情を惹きつけるには「たとえ」を使うことがとても効果的です。
逆に、たとえがなく、理由と結論だけだと、ただ情報を伝えるだけで心が動かないつまらない話になってしまいます。
例えがなく、理由と結論だけなら辞書と同じです。「ふーん」「なるほど」で終わってしまいます。
たとえ話を交えてるから、人の心が動き話が面白くなるのです。
2400年前に生き万学の祖と言われたアリストテレスが「最も偉大なのはメタファー(たとえ話)の達人」だという言葉を残しているほどです。
つまり、人間の本質は永遠に変わらずたとえ話で心が動かされるということです。
聞いたことないたとえ話を使う
たとえ話の中にも、人の心に刺さるたとえ話とそうでないたとえ話があります。
人の心に刺さるパワーを持っているのは「聞いたことのないたとえ話」です。聞いたことのあるたとえ話はインパクトが弱く刺さりません。
たとえ話を使うときに正しさは重要ではありません。それよりも、インパクトの方が大切です。
目的は、正しい情報を伝えることではなく、聞き手に気持ちよくなってもらうことです。驚きや意外性など感情の起伏を起こすことです。
「えー」「何それ!?」と感じてもらうことが目的です。
NG:「ダイヤモンドぐらい硬い石」
OK:「おばあちゃんちにあるせんべいぐらい硬い石」
NG:「鳥のように自由」
OK:「1歳児がハイハイで歩き回るぐらい自由」
NG:「新幹線のように速い車」
OK:「絶対遅れてはいけない会議の日に寝坊して慌てて準備しているのと同じくらい速い車」
やってはいけない情報の三密
相手に話を伝えるときに、
- 結論で挟む
- 内容は、理由→事例 or 問題→結論
- 結論は15文字以内
- 具体的な数値を入れる
- 比較する数値を伝える
- 聞いたことのない例えを使う
ということを学びました。
ここで絶対にやってはいけないことは、情報を盛り込みすぎることです。
情報の盛り込みすぎは相手に苦痛を与え、興味を失くさせます。特に情報の三密は避けなければいけません。
何かを知りたいと相談したときに、「はい、これいいよ」といって辞書を手渡されたらどうでしょう?絶対に読む気がしません。
なにしろ、私たちは、15文字以内しか読む気がないぐらいです。文字、写真、図を盛り込みすぎた資料は誰も読もうとしません。
基本は、1つのスライドに1つの情報です。聞き手が飽きないように、集中力が保てるようにを考えたときに、情報はとにかく省くべきです。
スライドに書くのは、yahooニュースの見出しです。その内容を伝えるのがあなたの役割です。だからこそ、あなたに価値が生まれるのです。
1スライド1メッセージの例
例えば、最近深刻化している犬の病気についてその危険性を訴えている人が、次のようなスライドを出してきたらどう思うかを考えてみると、聞き手の気持ちが分かりやすいです。
1スライド1メッセージ
この資料から伝わるのは、致死率がものすごく上昇していて危険な病気であるということです。
聞き手は、「うわ、痛々しい」「かわいそう」「危険」「それはヤバい!」という感情の起伏を抱きます。
話の最後に聞き手に残るのは「とても危険な病気なんだ」ということです。
情報の三密
続いて、文字・写真・図を詰め込んだ情報の三密スライドです。
こちらも伝えたいことは上のスライドと同じく「危険な病気である」ということです。
このスライドが出てきた時点で読む気を失くします。そして、どこに注目すればいいのか?何を伝えたいのかがわかりません。
1枚なら許せるかもしれませんが、こういったスライドが「あと、15枚続きます」と言われたらどうでしょう。
聞き手は聞くことを諦めます。
最後に聞き手の印象に残るのは「長かったね」「文字多すぎだね」「結局何が言いたかったんだろう」という感情です。
情報の盛り込みは自己満と自慢
情報を盛り込みすぎる人によくありがちなのは、情報が三密した資料を作って、
「頑張ったー!」「いい資料ができたー!」「情報が盛りだくさんだぞー」と自分で満足している人です。
確かに頑張ったのはその通りです。
この場合、話をするときのマインドは「私が一生懸命作った自慢のスライドを見なさい」という自慢や上から目線です。
「俺・私の資料すごいでしょ」「頑張ってるでしょ」アピールです。
どうすれば話を聞いた相手が気持ち良くなるかということは全く考えていません。自分のことしか考えていない行為です。
このような状態では聞き手は共感するどころか、嫌悪感を抱いてしまいます。
こういった三密資料にはもう一つの弊害があります。それは、自分が頑張ったーと思っているだけに、誰かに指摘されると、「これだけ頑張ったのに」「私の資料にケチつけるの」という反感が生まれてしまうことです。
相手の気持ちを全く考慮せずに考えている資料なので仕方ないかもしれません。
ですが、自分と聞きべを区別してしまった状態では、共感も議論も生まれません。
情報を三密させても最初から最後までいいことはないのです。
技術
人を動かし人生を好転させるための話し方の重要なテーマは大きく3つです。
(1)感情
「何を言うかではなく、相手がどんな気持ちになるか」。話す目的は「聞いた相手がいい気持ちになること」です。これが感情の重要性でした。
(2)論理
そして、その話す内容は、結論→内容→結論であったり、15文字以内や情報を限りなくそぎ落とす。という、これが論理の重要性でした。
そして一番最後に重要な話すことと切っても切り離せないのは声や沈黙といった「技術」の重要性です。
特に、声は話の中で4割もの重要性を占めると言っても過言ではありません。
声は大きさよりもメリハリ
よく、「私声が小さくて」「もっと、大きな声がでたらな」と言う人がいますが、相手に伝わる話し方に大きな声は必要ありません。
大切なのは、声の大きさよりもメリハリです。メリハリとは声の強弱や緩急、変化率、落差とも言い換えれます。
調整するのは、声の「大きさ」と喋る「スピード」の2つです。
小さな声のインパクトは大きい
小さい声だと伝わらない。小さい声はダメだと頭ごなしに否定している人がいますが、それは勘違いです。
小さい声のインパクトはとても強烈です。強烈にするためには、小さな声を大きな声で包みます。
その逆も然りで、小さい声の中で大きな声を出しても目立ちます。大切なのは変化量です。
ゆっくりのインパクトは大きい
「喋るのが遅くて、、」と悩む人がいますが、しゃべるのがゆっくり(遅い)= 悪いことではありません。それも勘違いです。
ゆっくり喋ることのインパクトはとても強烈です。強烈にするためには、早いスピードで包む必要があります。
今まで早い喋り方でまくし立ててたのに、急に静かになって、一言、ゆっくりと喋る。これだけで、そのゆっくり喋った内容が聞き手の心に残ります。
大切なのは変化量です。
沈黙は超強力
スピードを調整する上で最も効果的なのが「沈黙」です。
全く違和感のない沈黙は3秒です。本当の決め球なら5秒沈黙しても問題ありません。
今まで喋り続けていた人が急に沈黙すると、聞き手は「ん、なんかとまった」「あれ、どうした?」と感じます。
そして、話し手に意識を向けます。聞き手の意識が集まったなと感じたら、聞き手の目を見て話し始めまる。
どこで沈黙するか考えておく
沈黙するといっても、思い出したように急に沈黙しては効果がありません。
大事なところで沈黙するぞと予め決めておく必要があります。
そして、その沈黙の前で、ガーとまくし立てて、沈黙を声の弾丸で包む準備をしておく必要があります。
具体的には、「沈黙をやるぞ」と決めたら、まずはメリハリをつけるために、ワーワー動いて、喋り続けます。そして、「ピタっ」と止まります。そして3秒間の静止&沈黙の後、「なんと、、、」と言っては話し始めます。
沈黙は動きやスピードも含めた一連の技です。
沈黙はド頭でも使える
沈黙は話の途中で重要なところを伝える時に使える技ですが、話し始める一番最初で使うインパクトも絶大です。
「続いては〇〇さんのプレゼンです」と言われた時に、沈黙して登場して、10秒間黙りこくった後、「〇〇です」というトークテーマを言ってから話し出すという技もあります。
ありきたりの始まりはNG
「よろしくお願いします。先ほどご紹介に預かりました〇〇です。今日は△△という話をさせてもらいます。というのも先日~」というようにド定番の文句で開始しては聞き手を引き付けることはできません。
聞き手の意表を突くというのは、聞き手にいい気持ちになってもらう上でとても大切なことです。
旗を立てる(Flagging)
話の中で旗を立てることも重要です。旗を立てるとは「最も需要なのはここです」というようにポイントを伝えることです。
話の中に「重要」や「要注意」と書かれた旗を立てるので、英語でフラッギング(flagging = 旗を立てる)と言います。
聞き手は要点を知りたい
話す人の中には「どこが大事かを決めるのは聞き手」と言う人もいますが、それは間違っています。
聞き手は「要点を教えてくれ」としか思っていません。何しろ人は、タイトルを15文字以内にしないと見ようともしない生き物です。
フラッギングをして要点を伝えることは、聞き手の立場に立った行為です。
フラッギングは何回してもいい
フラッギングのよくある勘違いに「一番重要」は1回だけというものがあります。
ですが、「一番重要」フラグを何度も立ても問題ありません。
本を読むときに、黒い波線や赤や黄、青などのマーカーで重要なところに線をひくことがあります。フラッギングとはそれと同じです。
1冊の本のなかに、マーカーは1ヵ所だけという決まりはありません。たいてい、何個も何個も引くのが普通です。
心に響く言葉が詰まったページでは、1つのページのなかに凝縮して重要マーキングが何個もある場合があるぐらいです。
フラッギングはそれと同じです。
ポイントは言い方を少し変えることです。
例えば、枕詞に一言「〇〇するうえで」「〇〇のときは」というように限定を入れれば、一番フラグを何度立てても、その旗がぶつかることはありません。
質問する(聞き手を巻き込む)
話でよくありがちな悪い例は、自分が永遠と話し続けることです。
自分だけが一方的に話し続けるというのは自己満です。「私の話を黙って聞いていなさい」「話している自分楽しい」という自分のことしか考えない行為です。
聞いている側は興味を失い、眠くなってしまいます。
質問はとても簡単です。話している時に、「あなたはどう思いますか?」この一言を言うだけで、聞く側だった参加者が当事者へと変化します。
すぐに答えられないのが当たり前
話を聞くときに「質問されるかも」と思って聞いている人はほとんどいません。
急に質問されたら、「あー、えーっと」と言ってまごまごするのが普通です。
質問の目的は、聞き手の集中力をグッと引き付けることです。聞いている人の気持ちになって、そろそろ集中力が切れる頃だな。質問して集中力を引き付けるかと考えて行うものです。
絶対にやってはいけないのが、聞いていない人の粗を探す目的で質問することです。すぐに答えられない人をいじったり、けなしたりすることです。
これでは話しのゴールである「聞き手にいい気持ちになってもらう」を達成することはできません。
例
あなた「こういうグラフがあります。〇〇さんはどう思いますか?」
聞き手「あー、えーと。由々しき問題だと思います」
あなた「なるほどね。由々しき問題だと思いますかー」
これだけでいいのです。
人は巻き込まれると集中する
人は、巻き込まれると集中力が一気に上がり、その集中力が持続するという性質があります。
例えば、授業や会議など、「あー怠いな、早く終わらないかな~、めんどくさいな。家帰って何しよう」と考えているときに、「〇〇さんはどう思いますか?」と急にフラれると、一気に集中力があがります。
そして不思議なもので、自分が答えた後はもともとの「あー怠いな」という気持ちが消え、「また指されるかもしれない」という思いをもって集中して話に参加するようになります。
質問を語尾に混ぜる
質問をするといっても、毎回「〇〇さんはどう思いますか?」と質問を振っていては話が前に進みません。聞き手が大人数の場合はなおさらです。
そんなときは、質問を語尾に混ぜる方法があります。具体的には、語尾を「ね」「か」で終わらせてクエスチョンにすることです。
- 「〇〇じゃないですか?⤴」
- 「〇〇だと思いませんか?⤴」
- 「〇〇ですよね?⤴」
こうすることで聞き手は直接答えないまでも、頭の中で「うんうん」「確かに」「そうかな」という一体になって話に参加することができます。
断定する
よくやりがちな悪い例に「~と思います」「~かもしれません」「~と言っている人もいます」というように断定せずに、語尾を濁す話し方があります。
これは、聞き手に、よそよそしい、自信なさそうという印象を与えます。
そうではなく、「~です」「~なんですよ」と言い切ってしまうと聞き手に響きます。
断定すると責任を負わなければいけないと考えて断定を避ける人もいますが、自分の話に自信がなく、自分の話している内容に私は一切責任を負いませんというような態度では聞き手の心をつかむことはできません。
目的が責任回避や自分を守ることではなく、聞き手の心を動かして新しい何かを勝ち取ることである場合は断定することが重要になってきます。
断定しないのは守りの喋り
ビジネスにおいては、断定する攻めの喋りをするべき時と、断定しない守りの喋りが必要になるときがあります。
この断定しないスキルが必要となるのは政治家や経営者など、言い切ることで責任を問われてしまう場合です。
「〇〇をします」と言い切ると、周りから「あのとき〇〇と言ったじゃないか」という批判を受けます。
このため政治家は最初に言い切らな言葉を習わされるほどです。
- 「~と言っている人もいます」
- 「~とは限りません」
- 「可能性を否定できない」
- 「検討の余地がある」
自分のポジションを守りたいときや、責任を回避したい場面で使う話し方です。
姿勢を正せば自信が湧く
断定して話したいけど自信がないんですという人もたくさんいます。これまでに実績がないし、やったことのないことであれば尚更です。
そんな人でも自信を持てる方法があります。それは姿勢を正すことです。
ナポレオンの言葉に「人は着ている制服のとおりの人になる」があるように、その人をとりまく最も身近な環境の一つである姿勢が、自信に大きな影響を与えます。
自信のない人
仮に次のような人がいたら、自信がある人に見えるでしょうか?
- 猫背
- 肩をすぼめている
- 下を向いている
- 目を合わせようとしない
100人に聞けば、100人が自信がないと判断します。
自信のある人
逆に次のような人はどう見えるでしょうか?
- 背筋がピンと伸びている
- 肩を伸ばし、胸が張っている
- 顔を上げている
- 堂々と目を見つめている
100人に聞けば、100人がこの人は自信家だと判断します。
つまり、自信があるないは、経験や実績ではありません。その人の姿勢によって決まります。
自信があるとは、指摘されない、非難されないことではありません。指摘されても、非難されても気にしない。私は私の道を行くという姿勢が自信です。
両腕を高く上げて天を仰ぐ
自信をつけるためのとても簡単な方法に両腕を高く上げて天を仰ぐがあります。
特に、大事なステージに上がる前にこのポーズをするととても効果的です。
情熱を持つ
話をするときに最も重要になるのが「自信と情熱」です。自信は姿勢を正せば身に付けることができます。
最後の情熱とは「感情と熱気」のことです。
自分がなぜこの話をするのか、この話で聞いている人たちにどうなって欲しいのかという自分の気持ちを理解して、それを感情と熱気を込めて話せば、必ず聞き手の心は動きます。
まとめ
聞き手がが気持ちよくなる話し方に特別な技術は必要ありません。誰もができることの寄せ集めです。
- 目的が「聞き手をいい気持ちにさせる」ことだと理解する
- 目線を合わせる
- 姿勢を正す
- みんなが聞きたいと思う話を
- 短くまとめて
- 結論→内容→結論の順番で
- 自信と情熱を持って話す
これだけです。一つ一つ丁寧にやっていけば誰もが一流の話し手になることができます。
世界最高の話し方を手に入れて、皆さんの人生が好転することを心より望みます。