組織の中で部下を従える上司の中には、情報は自分だけが知っていればいいと考える人がいます。
そう考える理由には、余計な情報を部下に与えて混乱させてはいけない、上だけが知っていればよくて下がいちいち知る必要はないというものです。
更に悪い人の中には、自分自身の地位を守るために、情報を抱え込む人すらいます。
ですが、急速に変化し、社員全員がレベルアップしていかなければいけない昨今の状況では、情報を抱え込む上司は、会社に損失をもたらす不要な人材です。
ここでは、情報を共有することの大切さや、部下とのコミュニケーション方法についてまとめています。
価値ある情報の変化
インターネットが普及したことにより世の中に情報が溢れるようになりました。このような状況の中で、情報の価値は昔よりも低く安価になっています。
これまでは情報を所持し、交渉のカードとして使う人が有利な立場でしたが、今では、組織の中において情報がどれだけ共有されているかが力の源になってます。
優秀で成功している企業やトップほど、情報を囲い込むことはしません。むしろ積極的に共有しようとします。
上司は優秀な拡散器であるべき
情報を共有するといっても、全ての社員にccをつけて、なんでもかんでも情報を拡散すればいいわけではありません。
ただでさえ仕事で忙殺され、大量のメールを受け取っているのに、自分に関係なく質の低い情報は害悪でしかありません。
人はccで送られてきたやたらと長文で文字だらけの情報を読みたいとは思いません。そういった情報はすぐにゴミ箱いきです。捨てられなかったとしても、未開封のまま放置されるのが関の山です。
そんな情報を右から左へどんどんと投げてくる人に価値はありません。無能な時間泥棒です。
そうではなく、有効な情報をそれがあれば仕事の質を高めることができる人に、適切な文章や長さで送ることが優秀な上司に求められる能力です。
社員が重要な情報にアクセスできる
上司がいかに部下に情報を公開するかという観点以外にも、そもそも会社として情報公開を基本とした仕組みを整えておくことも重要です。
例えば、社員が各部署がどんなことをしているかといった情報、取締役会での決定事項や、今後発売予定のプロダクトなど重要な情報も公開します。
そうすることで、より円滑な情報交換や、会社の透明性を共有することになります。
情報共有は社員への信頼
もちろん重要な情報は外部に漏れてはいけないものです。だからこそ社員に情報を共有するためには、社員を信頼していることが大前提となります。
社員を信頼して情報を渡せば、社員はその信頼に答えようとします。
情報漏洩者は問答無用で解雇する
同時に写真をとったり、メールを送る、資料を流出させるなどの情報漏洩を行った社員は問答無用で解雇するといった厳しい取り決めも必要です。
情報漏洩があった場合は徹底的に調査し、出所を突き止める必要があります。
信頼を行動に表し、信頼を裏切ったものへの罰則を規定することで、情報公開が大きな力を発揮するようになります。
安全な情報に仕上げることではない
情報を共有するとは、何を共有して何を共有しないかを吟味し、バッシングを受けたり評価が下がることにつながらない情報だけを出すことではありません。
上手くいっていないことや直面している問題なども赤裸々に共有します。
透明性が高く、現実をしっかりと表した情報が共有されているからこそ、みんなが情報の価値を信じ、有効に活用できるようになります。
情報を公開した人に良いように作り替えた情報だと知れ渡れば、誰も情報を信じなくなってしまいます。
個人目標と進捗も共有する
効果的な情報共有の使い方に、社員の個人目標と進捗状況を共有する方法があります。
というのも、自分だけや、ごく一部の人だけに対して目標を公表するよりも、より多くの人に対して目標を公表した方が、やならければいけないという気持ちが起こるためです。
心理用語ではパブリック・コミットメントと呼ばれます。
合わせて、それぞれの社員が自分が今取り組んでいる内容、どういう思いでその仕事をしているか、何をモチベーションと感じるかを自分自身で書き公開することで、社員同士の交流を円滑化することにもつながります。
なお、社員だけがやればいいというものではなく、部長や経営者といったトップの人たちこそ、自分たちの個人目標と進捗状況を公開して、率先垂範するからこそ、全社員が真剣に取り組むようになります。
参考
この記事の内容はGoogleの経営陣 エリック・シュミット、ジョナサン・ローゼンバーグ、アラン・イーグル、ラリー・ペイジの共著「How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント」の内容の一部抜粋と要約です。
一国家と同等な資金を持ち、世界中で知らない人はいないほどのGoogleという大成功企業の中で、
- どのような制度が用いられ、どのような人たちが働いているのか
- 人のやる気を引き出し、周りが見たら無理だと投げ出したくなるような事業をどのように達成に導いてきたのか
- 優秀な人材を獲得するための方法
- 採用時にやってはいけないこと
などなど、これからの時代に欠かすことのできない内容がギッシリ詰まった一冊です。堅苦しくなくユーモアがあり読みやすい文体ですので、ぜひ一読されることをお勧めします。