神様ほど不公平なものはありません。この世には、明らかに整った目鼻立ちをして、すらりとした人たちがいる一方で、生まれながらにとてもカッコいいとは言えず、モテない人たちもたくさんいます。
せめて美しい顔立ちやカッコいい目鼻立ち、すらりとした高身長のスタイルを与えられなかった分、社会的な成功は与えて欲しいものです。
ところが、残念ながらこの世はブサイクな人たちには更に残酷にできています。そして、美しく、かわいく、カッコいい人たちにはより優しくできています。
ここでは、カッコいい人やかわいい人がどういったメリットを享受し、なぜそういったことが起こるのかを人の心理的な側面から解説しています。
見た目がいいと得票率が上がる
ある研究団体が1974年にカナダの選挙で、外見が魅力的な候補と、そうでない候補の得票率の差を調べました。
その結果、見た目がいい候補はそうでない候補の2.5倍の票を獲得していることが明らかになりました。
なお、この研究で明らかになったことは、投票した人たちは「見た目がいいからという理由で投票したのではない」と考えていたことです。
実際見た目がいい人に投票した人の中で「見た目がいいから投票した」と答えた人は14%しかいませんでした。
見た目がいいと仕事でも得をする
別の研究では、職場を対象にして見た目がいい人とそうでない人にどのような違いがあるかを調べました。
その結果次の2つのことが分かりました。
見た目がいいと就職面接で採用されやすくて、かつ、その後のキャリアで給料も高くなることがほぼ約束されているということです。
この実験では一つ朗報があります。それは外見的魅力に身だしなみも含まれるということです。
身だしなみがいい人の方が面接での採用率が上がりました。
なお、面接官は「外見はほとんど採用するかどうかの決定に影響を及ぼしていない」と考えていました。
見た目がいいと罪に問われない
アメリカのペンシルバニア州で行われた調査は更に痛烈な結果をもたらしています。
その調査では犯罪を犯した男性を対象に、ハンサムさが裁判の判定結果とどのような関係があるかを調べました。
その結果は次のようになりました。
損害賠償に関する判決では、裁判の判定を決める陪審員が男性か女性かに関わらず、被告人の見た目のよさによって言い渡される罰金が明らかに変わりました。
項目 | 賠償額の平均 |
---|---|
見た目がいい人 | 5,623ドル(約56万円) |
見た目が悪い人 | 10,051ドル(約100万円) |
これは見た目がいい人に生まれれば、同じ犯罪をしても刑が軽くなり、刑務所に入れられる確率も低くなるということです。
逆に言うと、見た目が悪い人に生まれれば、重い刑罰を言い渡され、刑務所に入れられる確率も高くなるということです。
見た目がいいと周りの人が助けてくれる
別の研究では、外見的に魅力的な人とそうでない人が周りの人の援助をどれぐらい受けやすいかを調べました。
その結果次のことがわかりました。
一つこのルールに例外があるのは、見た目のいい人が、自分と敵対関係にある場合はそうはいかないということです。
ただし、それは見た目が悪い人も同じことです。
見た目のいい子供は許される
見た目のよさが壮絶たる力を発揮するのは大きくなってからだけではありません。幼い子供の頃からその力は発揮されます。
ある研究で小学生と大人の関係について調べたところ、外見がいい子供は次のようなメリットを享受していることがわかりました。
見た目がいい人が受ける評価
見た目がいいという理由だけで、その他の評価が上がることもわかっています。
見た目がいい人は一般的に次のような評価がなされます。
なお「見た目がいい」というたった一つの理由で、性格や知的能力、誠実さなど全く関係がないことまでも優れていると考えてしまう人の心理を「ハロー効果」といいます。
ハロー効果は私たち人間にデフォルトで備わっている性質なので、もはやどうすることもできません。
つまり、見た目が良く生まれただけでもはや勝ち組のルートに乗っていることが社会的に証明されているということです。
見た目がいい人が陥る混乱
見た目がいい人は基本的にイージーモードで人生を歩むことができます。ただし、見た目がいい人たちにもデメリットがあります。
それは、周りの人が見た目がいい人を見たときに抱く感情を、自分自身は抱いていない場合が多いということです。
生まれてからずっと見た目がいいので、それが普通になっているということです。
その結果、周りから受ける評価と、自己評価が一貫せず、混乱したり曖昧な自己概念を持ち続けることがあります。
美女と野獣は幻想
世の中に生まれ持った美しさや、カッコよさを備えている人は決して多くはありません。それゆえに希少価値があり、みんながこぞって求めます。
この世の大多数の人はどちらかというと残念な部類にはいります。
その結果、残念な大多数は「美女と野獣」といったように、ブサイクが信じられないような成功を得るストーリを作り出し、そしてそれに多くの人が共感を得て、そうなりたいと願います。
ですが、それはあくまで共感を得るための想像でしかなく、残念ながら現実は違うということです。
現実を受け入れずに、美女と野獣のような幻想を追い求めると結果として、人生の長い時間を無駄にするなどかなり痛い目を見ることになります。
見た目が良くない人はどうすべきか?
見た目が良くない人は負け組確定なのでしょうか?決してそうではありません。
幸いなことに、私たちが生きていくなかで、挑戦し学び実際に身に付けたスキルは見た目とは関係がありません。そしてそういったスキルは世の中で強く求められます。
人間性も同じです。見た目がそこまでよくなくても、言葉遣いの良さや人に接する態度で愛されている人はたくさんいます。
負け組が確定するのは次のような場合です。
確かに、見た目のよがいいことはかなり強力なメリットになりますが、そうでない人にはそうでない戦い方があるということです。
そのためには自分がカッコいい、ハンサム、美しい、かわいいではないという現実を素直に受け止める必要があります。
諦めず前を向いていきましょう。地道にコツコツと積み上げれば、必ず道は開けます。
勝ち組に生まれなかった私は、あなたを心から応援します。一緒に頑張りましょう!
あなたに幸多き人生が訪れることを心より願っています。
参考
この記事の内容はアメリカの有名な心理学者 ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」の内容の一部抜粋と要約です。
現代のマーケティングで使われている手法が心理学の面から解き明かされ、たくさんの事例を交えてわかりやすい文章で記されています。
この本の内容を細かく知っているかどうかで、現代の市場に隠されているたくさんのワナにハマりカモになるのか、それを避けて利用する側に回れるのかが大きく分かれます。
気になった方は是非手に取って読んでみることをお勧めします。