私たちの日常は仕事や判断で溢れています。体力や精神力、判断力、集中力は限られていて1日の中で使えば使うほど消耗していきます。
仕事の依頼やプライベートのお誘いも同じです。受けて実行すればもちろん体力と集中力を消費します。それらを断ることも判断力や精神力を消耗します。
よく努力して頑張ってカバーするという人がいますが、それはその人自身を消耗させることでしかありません。
消耗した人の末路には体を壊したり精神を壊すことが待っています。
このため「頑張る」「努力でカバーする」というのはやってはいけないことです。
「努力の削減」と「習慣作り」により「しくみ化」することです。
特に依頼を断ることをしくみ化することで、時間が生まれ、体力や精神力が残り、自分が心からやりたいと思っていることに割く時間を増やすことができます。
ここではそんな便利な「しくみ化」する方法について解説しています
努力の削減
人生において余計なことを減らし時間を生み出すためにまずやるべきことは「努力を削減する」ことです。
削減すべき努力は大きく2つです。
仕事をやったり、誘いを受けてイベントなどに参加すればもちろん体力を消費します。
また、仕事の依頼やプライベートの誘いを受けるか断るかの判断も判断力を消耗します。
このような余計な努力自体を極力削減することが重要です。自分の足枷になり体力や判断力を削っているものを「ボトルネック」といいます。
ボトルネックとは作業の足を引っ張る要因のことです。
ビン(ボトル)の飲み口(ネック)のように細くなっている部分があると、そこでビンの中に流し込める量が制限されてしまいます。それを取り除けば遅延がなくなりスムーズに流れるようになります。
あなたの人生に成功や幸せをもたらしてくれるのは日々の行動の2割です。それ以外の8割は大した成果も生み出していないことです。
この8割が「成果を生んでいない努力」でボトルネックになります。
改めて自分の日々の行動や受けている仕事やお誘いを見返してみて、大した成果(成功や幸せ)につながっていないものがないかを確認します。
先月のスケジュールを見返してみて「この仕事はストレスだった」というものを洗い出します。そしてそのような「成果を生んでいない努力」は今後受けないようにします。
これだけで、余計な体力や判断力を消耗することがなくなります。
習慣をつくる
余計な努力を削減したら次にやることは「習慣をつくる」ことです。
ボトルネックの除去は決して楽な作業ではありません。そこで、一度やったことはもう一度判断しなくていいように習慣化することで、余計な労力を消費しなくてすむようになります。
そもそも長く継続して続けるためには、努力を必要としないこと、つまり習慣化していることが条件です。
習慣の力
習慣にはものすごい力があります。このため成功する人や健康な人は努力ではなく習慣の力をフル活用しています。
例えば、イチロー選手ははたから見ればものすごい努力をしているように見えますが、本人にとってはトレーニングや食事が全て習慣化しているので私たちが思っている以上のストレスがかかっていません。
ドイツの一流の哲学者であるカントも日常生活を習慣化しています。毎日同じ時間に散歩するため、近隣に住んでいる人がカントの散歩を見て自分たちの時計合わせをしたほどです。
このように一流の人は自分の生活を徹底的に習慣化し、毎日淡々と同じことをしています。
決められた時間に毎日同じルーティンをすることが習慣化です。
習慣をつくる3つの条件
もちろん、習慣は一流の人たちだけがやっているものではありません。
多くの人がやっている、ついついスマホを触ってしまう。会社から帰ってきてまず動画をつける。金曜日は飲みに行くというのも習慣です。
違いは健康に良かったり成功につながる「良い習慣」か、疲れを溜め健康を害し成功から遠ざかる「悪い習慣」かでしかありません。
「良い習慣」も「悪い習慣」もそれを形作っている条件は同じく次の3つです。
まずトリガーがあり、それが行動につながり、最終的に報酬(快感)が得られる。これが習慣の条件です。
これを数回繰り返すと習慣になり考えずに行動できるようになります。
習慣化するまでの期間は一般的に90日(3か月)と言われています。
毎回何をするかを考えることは脳にとって負荷の高いことです。このため、脳は無駄な消耗をしないよう判断のプロセスを省くようになります。
習慣化の例
例えば、「金曜日の仕事終わり」というトリガーがあり、「飲み会」という行動をして、「アルコール」という報酬を得られる。
これを3か月間毎週続けると、4か月目以降は何も考えずに金曜日になればお酒を飲むようになります。
これは健康を害し時間を奪う悪い習慣の例ですが、もちろん良い習慣も同じです。
「月曜日と木曜日の朝7時」というトリガーがあり、「15分ランニング」という行動をして、「スッキリ感と爽やかな目覚め得られる」という報酬があります。
これを3か月間、月・木の週2で続ければ4か月目以降は何も考えずとも、体が自然とランニングに向かうようになります。
習慣を変えるには「トリガー」か「行動」を変える
もし悪い習慣がある場合には、習慣を構成するトリガー・行動・報酬のうち、「トリガー」か「行動」を変えれば習慣自体を変えることができます。
「トリガー」を変える
例えば、「美味しいラーメン屋の前の前を通る」というトリガーがあり、「ラーメンを食べる」という行動をして、「美味しい」という報酬を得られるという習慣があるとします。
このトリガーは「美味しいラーメン屋の前を通る」です。このため、いつもの帰り道からルートを変更してそのラーメン屋さんの前を通らないようにすれば、トリガーがなくなるのでラーメンを食べるという行動もなくなります。
「行動」を変える
例えば、「金曜日の仕事終わり」というトリガーがあり、「飲み会」という行動をして、「アルコール」という報酬を得られるという習慣の行動を「飲み会」から「ランニング」に変えると次のようになります。
「金曜日の仕事終わり」というトリガーがあり、「ランニング」という行動をして、「ストレスが抜けてスッキリする」という報酬を得られるようになります。
行動が変わるので得られる報酬や結果も変わります。
悪い習慣は報酬が強力
特に健康を害し、睡眠時間を削り、成功から遠ざかるような習慣は悪いと思っているにも関わらず続いてしまいます。
この理由は「報酬」があまりにも強力だからです。
例えばスイーツやお酒は快楽物資と呼ばれるドーパミンやエンドルフィンが出て「美味しい」「気持ちいい」という感情になります。麻薬もこれと同じです。
「報酬」があまりに強烈なため、ちょっとした「トリガー」でもすぐに反応して「行動」に移りやすくなってしまいます。
こういった悪しき習慣を断つには「トリガー」を突き止めて根本から取り除く必要があります。
成功と幸福をもたらす良い習慣
成功と幸福をもたらす良い習慣は次のようなものです。
「報酬」が健康を増進して体調を整えることにつながることや、一人の何もしない時間が生まれることこそがいい習慣です。
断るを習慣化する
日々の暮らしの中で自分を成功に導き幸せにしてくれるのはたったの2割です。
心から「時間が欲しい」「成功したい」「幸せになりたい」と思うのであれば残りの8割は断る必要があります。
8割ということは、10回の依頼のうち2つしか受けないということなので、ほとんど断るということです。
それだけ多く断るためには、断ることを習慣化しておく必要があります。
上手な断り方の3つのステップ
断り方にもテクニックがあります。それは次の3つに集約されます。
これを習慣化することが重要です。
仕事の依頼やお誘いを受けたらまずは「沈黙」します。そして笑顔で「予定を確認してメールでお返しします」と伝え、メールに「予定を確認したところ、この秋バタバタしてまして、春先でどうでしょうか?」と書きます。
とても先の代替案
最後の返信は必ずメールで行います。その時の季節や状況に合わせてとても先の代替案を伝えます。
とても先の代替案には次のようなパターがあります。
どのぐらい伸ばすかは相手の緊急度に合わせて設定します。例えばイベントなど日にちが決まってる場合はそのイベントが終わった一か月後ぐらいを提案します。
トリガー・行動・報酬
トリガーは直接、電話、LINE、メールなどの仕事の依頼やプライベートのお誘い。
行動は「沈黙」からの「予定を確認してメールでお返しします」。そして、かなり先の代替案を出します。
報酬は時間が生まれる。興味・関心が低いことをやらなくていい。自分のペースで仕事ができる。自分にとって本当に大切なことに集中できるです。
これを習慣化するためには、まず一度トライしてその報酬を体験する必要があります。
そして、90日間以上続ければ脳に自動インプットされ、体力・精神力・判断力を消費することなく、楽に断ることができるようになります。