【80対20の法則】この世にあるほとんどのものは無価値|選択肢は不平等。検討に時間をかける

思考法
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「80対20の法則」という言葉は有名でビジネス業界ではあらゆるところで耳にします。

「売上げの8割は2割の社員に依存する」という内容です。このように売り上げに対して使われることが多い言葉ですが、実はビジネスだけでなく実生活のほとんどに当てはめることができる法則でもあります。

また「2割」という言葉に注目が集まりがちですが、実は「8割」という言葉がかなり重要な意味を持っています。

大事なのは2割、逆に言うと8割はほぼ意味がないということです。

ですが、「80対20の法則」という言葉を知っている人でも「世の中の大半のことが無駄」だと考えている人はほとんどいません。

むしろその真逆で「あれもこれもやろう」「全部やろう」「些細な事にも意味がある」「努力すれば報われる」と考えている人がたくさんいます。

ここでは、80対20の法則の本当の意味を理解するために、実際の成功者たちの言葉をまとめています。


80対20の法則とは?

8割の富が2割に集中する

最初に80対20の法則の歴史について触れておきます。

80対20の法則はイタリアの社会・政治学者のヴィルフレド・パレートの研究成果が発端となっています。

パレートは人々の所得を研究して、1890年頃に「2割の高額所得者のもとに社会全体の8割の富が集中し、残りの2割の富が8割の低所得者に配分される」と発表しました。この2割と8割という数字から、「80対20の法則」と呼ばれるようになりました。

またパレートの名前から「パレートの法則」と呼ばれることもあります。


80対20の法則と製品品質

アメリカの著名なエンジニア兼経営コンサルタントで品質管理の父とも呼ばれる「ジョセフ・M・ジュラン」は80対20の法則を工場で生産する製品の品質管理に適用しました。1941年のことです。

それは、ごく一部の問題を改善することで、品質が大きく改善するということです。

ほんの少数が決定的な結果をもたらすため、ジョセフはこのことを「決定的に重要な少数の法則」と呼びました。

そして、この法則を実証するために日本の工場で実験を行いました。

今では考えにくいことですが、戦後の日本は、安い人件費を活かして戦争から経済へとシフトチェンジする中で製品品質が悪いという問題を抱えていました。

ジュランの教えの通りに、ごく少数の重大な問題にリソースを集中させた結果、品質は目覚ましく改善しました。


80対20の法則はすべてのことに応用できる

この80対20の法則が多くの人知られるようになったのは、イギリスの経営コンサルタント リチャード・コッチが1997年に出版した「人生を変える 80対20の法則(The 80/20 principle)」です。

この中でリチャード・コッチは80対20の法則を所得だけでなく、日々のあらゆる場面に当てはめて説明し、具体的な使い方を示しました

この本は世界的なベストセラーになりました。


80対20を実践する基本12選

リチャード・コッチの書籍の中で、80対20を実践するための12個の基本的な考え方が簡潔に述べられています。

80対20を実践する基本12選
  1. 努力の平均水準を上げるのではなく、努力を一点に集中する。
  2. 決められたコースを走るのではなく、近道を探す。
  3. 最小限の努力で、人生の支配権を握る。
  4. 網を広げるのではなく、網を狭める。
  5. 多くの分野で平均点をとるのではなく、一つの分野で突出した成果をあげる。
  6. 日常生活でできる限りアウトソーシング(外部委託)する。庭仕事でも、自動車修理でも、自分でやらずに専門家に任せる。
  7. よく考えて仕事と会社を選ぶ。できるなら他人に雇われるより、他人を雇った方がいい。
  8. 一番得意とすること、一番楽しいと思う事だけをやる。
  9. 水面下に隠れている皮肉な現象や不思議な出来事を探す。
  10. 重要な分野ではすべて、20%の努力が80%の結果につながるように調整する。
  11. 手当たり次第にチャンスに飛びつくのではなく、気を静めて、仕事量を減らし、ゴールへの最短距離に照準を当てる。
  12. 成果が出ている「幸運の連続」を大切にし、それを元手に将来の成功に投資する。


ウォーレン・バフェット

世界最大の投資持株会社であるバークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、2021年で世界長者番付6位にランクインしているウォーレン・バフェットも昔から80:20の法則を実践しています。

バフェットは若い頃「数百の正しい決断をすることは不可能」だと悟り、80%を捨てて、「絶対に確実だと思われる投資先だけに限定し大きく賭ける」方針をとりました。

アメリカ株が何千とある中、バフェットはたった10種類への投資で9割の資産を築いています

バフェットが投資の世界で確固たる地位にいるのは、8割以上のほとんどのものに投資しないと決めていることも大きな要因の一つです。

決めているというのは簡単ですが、実際にやっていることは多くのチャンスを断った(見送った)ということです。


ネイサン・ミアボルド

元マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)であり900の米国特許に関りを持つネイサン・ミアボルドは

「トップエンジニアの生産性は、平均的なエンジニアの10倍や100倍どころではない、1000倍いや1万倍だ」

と語っています。

つまり、平均的なエンジニア10,000人を雇うのと、1人のトップエンジニアを雇うことは同じとういことです。

このため、平均的なエンジニアを1人雇うのに時間やお金がかかります。1万人となればものすごい時間とお金を消費します。それよりもトップエンジニア一人いる方が成果が生まれるということです。

本当に一番いい人を手に入れるためには、それ以外の人にノーという必要があります。


ほとんどあらゆるものは、徹底的に無価値

アメリカのリーダー論のベストセラー作家 ジョン・C・マクスウェルは次のように述べています。

ほとんどのあらゆるものは、徹底的に無価値

最高に美しいものは、その他の数万倍美しい

人生の80%にノーを言わないと、本当に美しいモノにはたどり着けないということです。


一般的な人との思考の違い

こういった人たちの思考は一般的な人とは違います。価値を置くべきことを真逆に考えています。

2割を求める人一般人
大多数のものごとは不要大多数の物事が重要
決定的に重要な事だけをやるどの選択肢も平等に扱う
2割を求める人の思考
  • ごく一部の問題を改善することで、品質が大きく改善する。
  • ごく少数の重大な問題にリソースを集中させる。
  • 数百の正しい決断をすることは不可能。
  • 絶対に確実だと思われる投資先だけに限定し大きく賭ける。
  • 多くのチャンスを断る。
  • 平均的なエンジニア10,000人を雇うのと、1人のトップエンジニアを雇うことは同じ。
  • ほとんどのあらゆるものは、徹底的に無価値。
  • 最高に美しいものは、その他の数万倍美しい


選択肢の検討に時間をかける

80:20の法則のとおり、私たちをとりまく8割はほとんど価値を生みません。最高に美しく、成功と幸せをもたらしてくれるのは残りの2割です。

その2割は些末な8割の何万倍もの価値を持っています

2割を見つけ出すためにやるべきことは「選択肢の検討にたっぷりと時間をかける」ことです。

選択肢は平等ではありません。選んだものにより結果も価値も大きく変わります。

やるべきことを正しく選んだときの、見返りはとてつもなく大きくなります

「全部やろう」という考えは愚かです。本当にやるべきは「本当に重要なものを正しく見分ける」ことです。

point
  • 選択肢は平等ではない。
  • たっぷりと時間をかけて検討する。
  • 本当に重要なものを正しく見分ける。
  • やるべきことを正しく選べば、その見返りはとてつもなく大きくなる。
  • 多くをやらなくて済ませるために、多く時間をかける。


参考

この記事はAppleやGoogle、FacebookやTwitterなどの世界的に有名な企業でコンサルティング経験のあるグレッグ・マキューン(Greg・Mckeown)氏の「エッセンシャル思考」という本の一部要約と抜粋です。

世界的ベストセラーになったこの本には他にも人生を成功と幸せに導く格言がたくさん載っています。

興味を持たれた方は是非実際に手に取ってみることをお勧めします。



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