無礼講と言われたらどうする?社交や交流の場で勘違いを防ぎ最大のチャンスに変える|史記(横山光輝)学び概要まとめ

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2000年以上前に司馬遷(しばせん)によって書かれた中国の有名な歴史書、「史記(しき)」には現代でも活かせる教訓が大量に隠されています。

2000年経っても色褪せない人間の本質から学び、現代における実例や使い方を考えることで常識や固定観念を打破し、これからの人生をより良きものにするためのヒントをリアルな歴史の成功事例と失敗事例から学んでいきましょう。

相手が無礼講でいいと言った時がチャンス。その時こそ最大の礼をもって望む

相手が「無礼講でいいですよ」と言ってきたときは千載一遇のチャンス。気楽でラッキーと思うのではなく、そういう時こそ礼儀を尽くすのが得策。

通常の状態で礼儀を尽くした時以上に、相手や周りからも、「あの人は礼儀正しく、信頼できる人だ」と強く印象づけることができる。

斉の君主 桓公(かんこう)は権力を増し、本来上の立場である王室よりも権力が強まっていった。そんな状況の中で、王室から下賜(かし:身分の高いものから低いものにものをあげる儀式)があった時に、王室は自分の方が力が弱く守ってもらっている状態ということを理解し、桓公に対して「作法抜きでいい」と申し出た。

桓公も自分のおかげで王室が力を保てていることを分かっていたため、そのくらい当然だと思った。しかし、有能な側近の管仲(かんちゅう)から、次のように忠告された。

「そんな態度をとったら周りから見限られます。王室の流れを組む人たちもいるので、いくら作法抜きでいいと言われても、相手を上に立てて礼儀をもって接するべきです。」


この言葉を素直に受け入れ、礼儀を持って自らを下の立場として儀式に臨んだ結果、周りからの評価が大きく上がった。こうした行動の積み重ねで桓公は敵を増やすどころか味方を増やし、自らの地位をより盤石なものにしていった。

逆に、桓公が王室を見下して儀式に臨んだらどうなっていただろうか?おそらく王室の血を引くもの逆上し態度の大きな桓公に対して殺意を抱いただろう。

実際に歴史の中でその過ちを犯した有名人がいる。それは、三国志に出てくる曹操である。曹操が力を増していったあるとき、漢王室の血をひく君子に対してあからさまに無礼を働いたことがある。この時、君子を敬う者たちが怒りを覚え、血判書を作成してまで曹操暗殺を企てた。企ては失敗したが、曹操が周りに敵を作り出したことは後々も尾を引いた。このとき、相手に対し礼を持って接していたら状況も変わっただろう。

未来に自分の地位を安全にして、協力者を増やして力を増したいと考えるなら、自分の立場が明らかに上な時ほど、下手に出て礼儀を持って相手を敬うとその効果はとても大きくなる

企業同士の交わりや、クライアントとの交わりでも、「今日はラフで無礼講でいい」と言われることがあるかもしれない。もちろん無礼講な格好でいけばプラスもマイナスもないかもしれない。だが、礼儀を示す気持ちでしっかりした格好でいけば、自らを印象付け評価をあげるチャンスを得ることができる。そういった小さいプラスの積み重ねが将来の繁栄と安定をもたらす。


理不尽な約束でも、破ってはいけない

過去に脅迫されるなど、意に反して結ばされた約束があった場合、もしその後にその約束を踏み倒す力を得たとしても約束を破らない方が賢明な場合がある

斉の君主 桓公(かんこう)は過去に、脅迫されて領土を渡す誓約書を書いた。自身では正式な約束と納得することができず、その屈辱を晴らそうと考えた。だが、優秀な側近の管仲(かんちゅう)に忠告された。

「確かに、脅迫されてやむを得なかったことです。ただ、約束は約束。それを無視して攻め入れば、一時の気晴らしにしかならない。しかもその結果は平気で約束を破る男とみなされる。百害あって一理なしです。」

一時の感情に溺れてはいけません。


屈辱を晴らしたいのは桓公 自身。契約までのストーリーを知っている人なら納得するかもしれない。ただし、周りの多くの人々には約束を破る人という認識を持たせてしまう。そうなってしまっては、この先に心休めることも難しく、また、信頼して協力できる関係を築いていくのも難しくなる。

裏を返せば、それは桓公を脅して約束を結ばせた人物が陥った状況ともいえる。一時的に領土を得ることはできたが、命を狙われるほどの恨みを買っているし、周囲の者たちから脅してでも領土を奪う危険人物とみなされる。これでは安心して寝ることはできないし、将来的に滅びの道を辿っていくのは自明。

桓公は管仲の忠告を聞き入れた。そして後々周辺諸国からの協力を得て、最終的には多くの国を従える安定した大国を作り上げた。つまり、感情に流され大局を見れず、感情に流された者は未来の災いを手にし滅びの道をたどる。感情に流されず大局を見たものは未来の成功を手にする。

現代社会で生きていれば理不尽さを押し付けられることもあるだろう。もちろん時には反発することも大切だ。ただ、反発するか、受け入れてやっていくかは感情ではなく大局を見据えて判断していく必要がある。

どういった場合に理不尽さを受け入れ、どういった場合に反発するべきかと言えば、

受け入れてしまうと今後も理不尽な要求が続き、周りからも弱いものとみなされてしまう場合は、反発するのが怖いという感情に負けずに勇気を出して反発する必要がある。

逆に、反発したことでわがままで横暴なやつだとみなされる場合や、反発せずにグッと耐えることで周りからの評価や信頼が上がる場合は、反発したい気持ちに反して自分を抑え込む必要がある。

たまたま大局を見据えた行動と感情が一致することがあるかもしれないが、それはあくまで偶然の一致。上を目指すのであれば感情で行動してはいけない。判断は常に未来を見据えて行う。

上に立つ者の行いが手本になり、噂となり広がっていく

中国歴史探索北京の城門

上に立つ者が身を切って分け与えると、その噂はたちまち広がり、名声がますます高まる。名声が高まれば信頼を得やすく、より自分のやりたいことが自由にできるようになる。

春秋時代、燕という国が敵に襲われていた時、斉の君主 桓公(かんこう)は燕の求めに応じて兵を派遣し助けた。燕の君主 荘公(そうこう)は大変感謝し見送りのために桓公に付き従った。そして、気づかぬうちに桓公の領土内に入ってしまった。この時代、他の国の者は君主であっても、領土内まで見送りしてはいけない慣わしがあった。

本来であれば規則に則って荘公を罰さなければいけないところだが、桓公の優秀な側近 管仲(かんちゅう)は次のように進言した。

「ここを新たな国境とすれば、荘公が規則を破ったことにはなりません。」

それを聞いて、桓公は相手の落ち度に対して自身の領土を与えることにためらった。その桓公に対してもう一言付け加えた。


「覇者たる者の行いは、他の君主たちの手本とならなければいけません。」

そこで、荘公が入ってきてしまったところに線を引き、そこを新たな国の境界として定め自分の持っていた領土を与えることで、荘公が規則を破っていない状況にした。そして、この器の大きな出来事が、桓公の名声をより一層強めた


身を削って相手に分け与えたことで領土を失うという損失があったが、その代わりに、燕からの絶対的な信頼と、その噂を耳にした人々からの信頼を得ることができた。この噂が後々事を成すときに味方してくれる人を作り上げ、桓公は最終的に安定した大国を治めることができるようになった。

時に身銭を切ってでも与えることは、後々、損失を大幅に上回るメリットをもたらす。身銭を切って奢ることが重要なのではなく、身銭を切って相手の信頼と口コミで広がっていく信頼を購入したことがとても重要

加えて、この行いの結果、桓公の元には身銭を切って分け与えてでも人を助けることを美徳とする人が集まってくる。助け合いの精神を持った人々の集まりほど長期的に安定で強いものはない

国境近くの使ってもいないただの平野を少々分け与えたことで、将来の大きな成功を手にしたと考えればコスパはかなり良いといえる。

また、しきたりやルールも上手に活用ができるということが学べる。相手を厳罰に処すだけでなく、ルールに合わせて相手に恩を売るために活用することもできる。

もし、あなたがお金を貯めることに必死で身銭を1円ですら払うことを拒むのであれば、この桓公と荘公のストーリーを思い出してみてほしい。もし、身銭を切ることを拒んで荘公を処罰していたらその後の大きな成功は得られただろうか?

もちろんむやみに浪費する必要はないが、相手が罪悪感を感じていたり、申し訳なさを感じているときにあなたが寛大に接することができれば、安いお金で大きな恩と信頼を購入できるかもしれない。恩と信頼を購入できれば、あなたが困ったときに親身に助けてくれる可能性も大幅に上がる。仕事に困ったら、仕事を工面してくれることもあるだろう。そうすれば、目先の1円や数十万円なんかよりよっぽどの収入を得ることになる。

加えて、あなたの周りに集まる人も変わる。あなたが1円ですら払うことを拒む場合は、あなたに共感し相手のために1円ですらだすことを拒む人が集まってくるだろう。逆に、身銭を切って人を助ける場合は、あなたに共感し、身銭を切って人を助ける人が集まってくるだろう。

どちらを選択するも自由。少量のお金をコツコツ貯めることが重要なのか、将来的に金銭的にも精神的にも安定した暮らしを得たいのかで賢い判断をしていく必要がある。歴史的事実からひとつ言えることは適切なタイミングで身銭を切ることは莫大なメリットをもたらすということ。

強者が弱者を守ることはメリットだらけ

強くなると頼ってくる人たちが現れる。その人たちを助けることは時間も労力もかかるので突っぱねたくなるかもしれない。自分はここまで自力でやってきたのだから、自力でなんとかしろと言いたくなるかもしれない。

歴史上も同じで、覇者になれば頼ってくる弱者が現れる。同盟国を外敵から守ったり、内乱を解決しなければいけなくなる。しかし、頼ってくる弱者を守ることで現在の地位が保てるし、また、代償として貢物が届けられる。貢物があれば組織はより富んでいく。また、助けるために戦えばスキルや経験も増えていく。
つまり、弱いものを助けることに時間を使うことこで、自分の地位や力がより強固なものになっていく

逆に、自分が弱いものを突っぱねた結果、その弱いものは他国に流れる。その国が戦えば、戦闘スキルがあがる。守ることに成功すれば貢物が送られるようになる。敵国の軍事力と資金力が上がっていけば脅威になる。つまり、上の者がその地位を長くに渡って安定したものにするためには、弱者を助けることは必須要件といえる

強者にとって頼ってくる弱者を助けるということは、より豊かになり、スキルが上がり、信頼を得ることができるというメリットだらけ。頼ってくる弱者はすすんで助けよう。

出典

この内容は、「横山光輝(よこやまみつてる)」さんの、「史記(しき)」で書かれている内容です。

史記?中国の歴史所でしょ?なんか古臭くて、お固くて、現代人には必要ないね。時代遅れ。なんて思わないでください。

絵はシンプルで、とにかく読みやすくて、人間模様がありありと書かれています。

内容は、人が死ぬときは死ぬ、陰謀が成功するときは成功する、才能ある人も時代の流れにあわなければ滅びる、時代の流れに合えば悪いやつも成功する。そんな歴史上の事実がそのまま描かれています。

脚色されすぎたり、大人の都合で大幅カットされているわけではないので、学びも多いです。

この諺の内容はたったの数ページ(全体の0.05%)。また、記事は厳密さよりも、「わかりやすく興味を持てること」を重視しているため、もっと詳しくしりたい!と思った人はぜひ手にとってみることをお勧めします。


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