2歳頃になると子供にはイヤイヤ期が発生します。
自分がやりたいこと以外は受け付けない。何かを言われるとすべてに対して「イヤだ」と言ってイライラしてギャーギャー泣きわめく、そんなことが日常茶飯事になります。
多くの人がイヤイヤ期はない方がいいと考えますが、実はイヤイヤ期は子供の成長にとってものすごく重要ななくてはならないものです。
イヤイヤ期は力強く生きるための本能
イヤイヤ期の原因は「障害や制限に反抗しようとする心理」です。これは生きていくために必須の能力です。
この本能が育たなければ、人は障害や制限があれば簡単に諦めてしまう人になります。
私たちヒトの祖先は狩猟採集時代という過酷な環境を生き抜いてきた生き物で、とても強力な障害や制限に反抗しようとする力を持っていました。
ネアンデルタール人などヒトと似た種族もいましたが、そういった本能が弱かった種族は滅んでしまいました。
私たちはとても強力な障害や制限に反抗しようとする力を持った種族の子孫で、障害や制限に反抗しようとする心理は誰にでも備わっている本能です。
イヤイヤ期の子供にキレても意味ないどころか、悪化する
イヤイヤ期は子供が望んでそうしているものではありません。障害や制限があったら反抗するという自然発生的で単純な仕組みです。
良い悪いもなく、ただそういうモノです。
このため、障害や制限に反抗する本能が芽生えた子供に対して「~しなさい!」「ダメって言ってるでしょ!」「いい加減にしなさい!」と言ったところで一切意味がありません。
意味がないどころか、制限が強ければ強くなるほど、子供の反発心は一層強まってしまいます。
もちろん子供が親に反抗しているのではなく、ただ本能がそうなるようにできているだけの話です。
共感する「嫌なんだね。わかったよ」
2歳頃の子供にはまだ十分なボキャブラリーが備わっていません。このため子供にとって自分の意志を表す唯一の方法が「イヤ」と言う事です。
子供の「イヤ」を否定することは、子供の存在や意志の全てを否定することになります。例え、親はそう意識していなくても、子供にはそれが全てなのです。
このため、子供が「イヤ」と言ったら、まずはその子供の気持ちを尊重して、受け入れることが重要です。
「イヤ」に対して「そうか嫌なんだね。わかったよ」と言って共感をすると、子供は自分自身いう存在を受け入れてもらえたと感じることができます。
選択肢を授ける
子供の気持ちを尊重したら、次にすることは「選択肢を与える」ことです。
例えば、靴を履くのを嫌がっている子供がいる場合「靴を履きなさい!」「いい加減にしなさい!」と言えば、余計に反発心が強くなり、断固として履かなくなります。
そうではなく「右足と、左足どっちから履きたい?」と選択肢を与えて問いかけます。
この問いかけは、子供に制限を課すどころか、子供の自尊心を尊重する行為です。
このため、反発心を生まないどころか、「自分で選択する」という自尊心を育むことができます。
選択肢を授ける例
よくある叱りを選択肢に変える方法には次のようなものがあります。
意味ない叱り | 選択肢 |
---|---|
靴を履きなさい! | 左足と右足どっちから履く? |
ズボンを履きなさい! | シャツとズボンどっちから履きたい? |
おもちゃを片付けなさい! | どっちのおもちゃから片付ける? |
スマホをいじるのやめなさい! | 外で遊ぶのとおやつどっちがいい? |
ごはん食べなさい! | お米とニンジンどっちがいい? |