購入した人の名前を伝えるだけで商品が売れる!?|コマーシャルで普通の人が採用される理由

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商品やサービスをたくさん売っていい成績をとり、売り上げや給料を上げたいと考えている人はたくさんいます。

ですが、そうはいってもモノを売ることは簡単ではありません。多くの人がノルマを抱え、なかなか売れず、目標を達成できないことを真剣に悩んでいます。

そういった場面で活用できる心理的なマーケティング手法があります。それは商品を売る時に、既に購入していただいた人の名前を告げるという単純な方法です。

ここでは購入した人の名前を伝えるだけで商品が売れた事例と、なぜ売れるのか?を人の心理面から解説しています。


購入した人の名前を伝えるだけで商品が売れる

アメリカのある大学職員は夏になると、副業としてある会社の聖書の参考図書の販売をしていました。

その企業は売り上げを上げるために、購入してくれた人にポジティブな口コミを書いてもらって、承認を得たうえでその口コミを使って販売するという方法を使っていました。

この方法でもなかなかの効果を発揮し、売り上げを伸ばすことができました。

ある時、その会社に新しいセールスのマネージャーが来てこの売り方にほんの少しの変更をくわえました。

それは商品を紹介するときに「既に購入してくれた人の名前を織り交ぜる」というものでした。

例えば「佐藤 優花さんがこのセットを購入したいと思ったのは、子供に聖書を読んであげたいと思ったからでした」といったことです。

その結果、売り上げが62.3%も伸びました


なぜ売り上げが伸びたのか?

商品を売る時に実名を織り交ぜただけでなぜ売り上げが上がったのかについては、心理学の「社会的証明の原理」で説明がつきます。

社会的証明の原理とは、私たちヒトが「他の人たちが何を考えているかを基準にして物事を判断する」という性質のことです。

社会的証明の原理は特に次の2つの条件下において最も強い力を発揮します。

社会的証明の原理が適用されやすい条件
  1. 答えややるべきことが不確かである。
  2. 行動をしている人たちが類似している

聖書の参考書もそうですが、一度も使ったことがない商品というのは、それが本当に役に立ちいいものなのかがわかりません。つまり「不確か」ということです。

そのような状況に置いて、自分と似た環境にいる人たちが購入したという事実やその理由は、「その商品がいいものに違いない」と考える強力な証拠になります

証拠は具体的であればあるほど効果があります。実際に購入した人の名前が実名で出てくればそれは具体的な証拠として十分です。

さらに、その人が知っている人であれば、その効果は更に強力になります。「あの人も買ったんですね。じゃあうちも買おうかしら」という心理が自然と沸き起こるからです。


CMに起用される普通の人

CMには綺麗な女優やかっこいい俳優、プロのスポーツマン以外に、そこら辺にいる私たちとほとんど変わらないような人が採用されることもあります

これは社会的証明の原理によるマーケティング手法を活用したものです。

一度も使ったことが無い商品を、自分と類似した境遇の人が使っていて「とってもいい!」とお勧めしていれば、「それがいいに違いない」と思う心理を上手に使っています。

point

人は自分と似ている人がやっている行動をマネする生き物。


売上No.1の効果

「売上No.1」や「伸び率No.1」といった広告も社会的証明の原理を使ったマーケティング手法です。

これらの短い言葉は「多くの人が支持して使っている」ことを示しています。

特に選択肢があまりにも多い現代社会では、こうした人はこうしたヒントを好んで活用します

例えば、日曜用品店にどのシャンプーを買いに行くと、狭い棚にいくつもの種類のシャンプーが所狭しと並んでいます。一つ一つ成分を見て、香りをかいで、口コミを調べて、内容量の多さを見て、価格を見て比べていたのでは時間がいくらあっても足りません。

そんなときに「売上No.1」というラベルが貼ってあると、「みんなが買っているんだから、間違いない」という心理が働き、面倒で疲れる思考をすることなく「これを買おう」と決めることができます

point

みんなが支持しているという証拠を示すだけで商品が売れる。


人の名前を伝えるときの注意点

既に購入した人の名前を商品説明に織り込めば、社会的証明の原理により売り上げが伸びます。

ですが注意しなければいけないことがあります。それは、社会的証明の原理はいいことにも悪いことにも平等に作用するということです。

余計な情報は逆効果

例えば、ある女性に商品を売り込んでいる時に「このご近所にお住いの 田中ご夫婦もご購入されましたよ」と伝えると、「あのご夫婦も買われたんですか、なら私も旦那に相談してみますね」という流れになってしまいます。

他の人が夫婦で決めた、だから私も夫婦で決めなければいないという心理が働いてしまいます

point

相手が購入を決めるのを助ける情報以外を与えると逆効果になる。


類似性の低い人だと効果が低い

男性のお客さんに対して女性の話をしても、相手はピンときません。「それは女性だから」という理由が無意識に生まれてしまいます。

同様に女性に男性の話をしてもピンときませんし、若い奥さんに、おばあさんの話をしてもピンときません。

あくまで相手に類似した例をだすことがとても重要です。

point

男性にはその人と年齢の近い男性の名前とレビューを伝える。女性にはその人と年齢の近い女性の名前とレビューを伝える。

同様に会社員には会社員を、主婦には主婦の例を、高齢者には高齢者の例を伝える。

引き合いに出す例が類似していれば類似しているほど、ものはよく売れる。


参考

この記事の内容はアメリカの有名な心理学者 ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」の内容の一部抜粋と要約です。

現代のマーケティングで使われている手法が心理学の面から解き明かされ、たくさんの事例を交えてわかりやすい文章で記されています。

この本の内容を細かく知っているかどうかで、現代の市場に隠されているたくさんのワナにハマりカモになるのか、それを避けて利用する側に回れるのかが大きく分かれます。

気になった方は是非手に取って読んでみることをお勧めします。


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