【電話で約束を守らせる方法】一番最後にする質問が大事|「予約して来ない」を防ぐには?

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店舗を運営している人にとって電話で商品購入やサービスの予約が入れば嬉しいものです。ですが電話での予約には問題もあります。

それは予約が入り当日用意して待っていたのにお客さんが現れないということです。何の連絡もなしに来ない場合も少なくありません

レストランであれば座席を確保して、他に来店した人を断り、食材まで用意しているのに大きな痛手になってしまいます。

「ふざけるなよ!」と怒りたくなるのも当然です。かといって、電話で予約してちゃんと来てくれる人もいるので電話予約をやめることもできません。

こういったときにどうすればいいのでしょうか?実はとても簡単な方法で予約した人がお店に来てくれる確率を上げたり、来れなくなりそうなときには事前に連絡を入れてもらうようにすることができます

ここではその方法について実例を交えて解説しています。


選んでもらった理由を聞く

1つ目の方法は電話で予約をとった一番最後に「当店を選んでもらった理由を聞く」ことです。

ある保険会社のコールセンターで働く販売員は、保険の見積もりで電話してきたお客さんに対して保険の見積もり作成し、実際に保険を販売している最寄りの営業所で日時を決めて予約を取るという仕事でした。

お客さんとの最初の接点であるものの、実際に商品を売ったり契約をまとめる権限はないため、契約成立のためにできることは、電話してきたお客さんに最寄りの営業所に行ってもらうことです。

ところが、電話口で日時を決めて予約を取ったにもかかわらず、当日営業所に現れない人が少なからずいました

なんとかしたいと悩んだ保険販売員は電話で最後に次のような質問をするようにしました。

最後にちょっとお訊いしたいのですが、当社の保険をお選びになった理由を教えていただけないでしょうか?

そして、相手からの回答を聞いて電話を切るようにしました。

結果として、実際に約束を守って営業所に現れる人の割合が大幅に増加しました

point

電話口で最後に「なぜ当店を選んでいただけたのでしょうか?」と訊ねるだけで、実際に来てくれる確率が大幅に上がる。


変更があったら連絡してくれますか?と聞く

あるレストランの経営者は電話で予約したのにも関わらず当日現れないお客がいることに苦心していました。

そのお店では実に30%もの割合で予約したにも関わらず来ない人がいました。

オーナーは苦心の結果、電話口で予約をとった最後にしていた依頼を質問に変えました。

ご予約内容に変更がありましたらご連絡ください。

↓ 変更後

ご予約内容に変更がありましたらご連絡いただけますか?

依頼を質問形式にして、電話口の相手が答えるのを待つようにしました

変更したのは末尾を「連絡ください」から「連絡いただけますか?」に変えて、相手の口から「はい」と言わせるようにしただけです。たったそれだけです。

それにも関わらず、予約したのにお店に来ない割合が30%から10%まで減りました

point

最後に「変更があったら連絡してくれますか?」と相手の意志を訊ね口にしてもらうことで、来店率が大幅に上がる。


何が起きているのか?

1つ目の保険販売のコールセンターの販売員も2つ目のレストランのオーナーもやっていることは最後に相手に質問をして、意志を喋ってもらうということです。

なぜ相手に意志を表明してもらうだけで、相手がちゃんと言ったとおりに行動してくれるかと言うと、それは人の性質の一つである「一貫性の原理」が働くためです。

一貫性の原理とは自分が公表したり言ったり約束したことがあったら、無意識のうちにその言葉を守るように行動しようとすることです。

つまり保険を選んだ理由を聞かれて、自分の意見を相手に対して答え公のものにすると、「自分で選んだ」という意思決定の通りに行動しなければいけないという感情が湧きおこります。

あなたの身近でも割に合わないような仕事をやっている人に「なんでそんなことやってるの?」と聞くと「いや、やるって言っちゃったし。。」と答える人はいないでしょうか?

このように人には一度公言するとたとえ理不尽で割に合わないリスクを被ることであっても、その通りにやろうとする心理が働きます

電話口で相手の意志を確認し答えてもらうのはこの一貫性の原理を引き出すためです。


まとめ

電話で予約をとるときは「はい承りました」と言って言われた予約を復唱するだけでは不十分です。

それはあなたの確認であって、相手の意志を固めるものではありません。

相手の意志を確実なものにするには意志表明を引き出すことが重要です。もちろん大切なお客さんですので疑ってかかるのは論外です。あくまで自然な流れで相手に意志を表明してもらうことが重要です。

それは決して難しいことではありません。

「〇月〇日〇時からの予約ですね」を「〇月〇日〇時からの予約でいいですか?」と聞くことです。

そして電話口で最後「変更があったら連絡してください」を「変更があったら連絡してくれますか?」に変えるだけです。

更に「最後にお伺いしたいのですが、当店を選んでいただいた理由を教えていただけないでしょうか?」と聞き、その理由を喋ってもらえば、3回意思表明をしてもらったことになります。

これだけで実際に来店する確率が飛躍的に上がります。誰もウソつきにはなりたくないものです。

他にもメニューなどで迷ってそうな人がいたら「~でいいですか?」と念を押すことは、相手が決断を下す手助けにもなります。

積極的に相手からの意志表明を引き出すことは、お店側にもお客さんにとってもいい状態になるといえるでしょう。


参考

この記事の内容はアメリカの有名な心理学者 ロバート・チャルディーニの「影響力の武器」の内容の一部抜粋と要約です。

現代のマーケティングで使われている手法が心理学の面から解き明かされ、たくさんの事例を交えてわかりやすい文章で記されています。

この本の内容を細かく知っているかどうかで、現代の市場に隠されているたくさんのワナにハマりカモになるのか、それを避けて利用する側に回れるのかが大きく分かれます。

気になった方は是非手に取って読んでみることをお勧めします。



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