1on1ミーティングと言う言葉を聞いたことがある人も増えてきたと思います。もともとはシリコンバレーなど海外で主流だったものが日本でも広まってきました。
最近では大企業やメガベンチャーなど多くの有名企業が1on1ミーティングを採用しています。
1on1ミーティングは通常のミーティングのように会社側がやってほしいことを部下に共有したり指示・説明する場ではありません。
流れとしては真逆で、部下の体調や現在の業務に抱いている想い、直近の目標や未来の目標などを部下に喋ってもらい、上司が聞き役に徹する場です。
1on1ミーティングは1回きりで終わりではなく、毎週(あるいは隔週や隔月)継続して続けていくことで効果を発揮するものです。
長時間を1回やるのは1on1ミーティングの目的とは合っていません。通常の業務との兼ね合いも考えると時間は30分に区切り進めていくことが重要になります。
ここでは、具体的に30分間をどのように進めていくべきかについてまとめています。
30分の時間配分
1on1ミーティングは大きく4つのパートに分け、次のような時間配分で行います。
時間 | 所要時間 | 内容 |
---|---|---|
0~5分 | 5分 | アイスブレイクと体調確認 |
5~10分 | 5分 | 前回のおさらいとモチベーションアップ |
10~25分 | 15分 | 今回のピックアップテーマ |
25~30分 | 5分 | まとめと次回までの宿題確認 |
アイスブレイクと体調確認
1on1ミーティングは堅苦しい業務とは切り離して、部下に思っている胸の内を全て話してもらうための場です。
このため最初は仕事とは関係ない雑談から始めます。
アイスブレイク
「最近どうですか」や「先日のニュースみました」といった一般的な話題から始めて、「どう感じました」という感情に入り、「なぜそう思うんですか?」という価値観へとアプローチするような順番で話を進めます。
プライベートの理解
1on1ミーティングはある程度の信頼関係がないと、部下が胸の内を話してくれないので機能しません。
このため、最初のうちはプライベートの理解に努めることに時間を多く使うことになります(そうするべきです)。
例えば、相手の「出身地はどこか」「現在住んでいるのはどこか」「家族構成はどうなっているか」「大学時代に打ち込んでいたことは何か」「現在の趣味は何か」など、人間関係を構築するためのベースとして知っておくべきことを最初にヒアリングします。
プライベートの理解は初回の方は時間を使うべき部分ですが、一度聞いてしまえば二度聞くべきではないので、その後は、別のテーマに時間を割くことになります。
心身の健康チェック
最初のテーマで必ずやるべきことは「心身の健康チェック」です。
「しっかり寝れているか?」ということを中心に、健康状態を確認します。
合わせて、業務量が適切かどうか、職場環境で悩んでいることはないかを確認します。
前回のおさらいとモチベーションアップ
2つ目のテーマは「前回のおさらいとモチベーションアップ」です。
前回実施した内容を「こんなこと話したよね」といってお互いに思い返します。
1on1ミーティングは部下のモチベーションアップの重要な場でもあるため、必ず「褒める」or「承認」を行います。
「〇〇さんの△△に助けられたよ」といったことを伝えます。
今回のピックアップテーマ
3つ目のテーマは「今回のピックアップテーマ」です。
部下が「自ら〇〇について話したい」と言ってきたら、それをテーマに話します。
そうでない場合は次の中から選びます。
時間によっては複数組み合わせても構いません。
まとめと次回までの宿題確認
最後にまとめと、次回の1on1ミーティングまでの宿題の確認をします。
まとめ
まとめはこちらがまとめるのではなく、「今日話してみて一番印象に残ったことは?」といったように部下にまとめてもらいます。
次回までの宿題確認
最後に必ずネクストアクションを明確にします。これも相手の口から言ってもらう必要があります。
以上が30分間の基本的な1on1ミーティングの流れです。
必ずしも決められた通に進めなければいけないわけではありません。1on1ミーティングの目的は、あくまで部下が主体となって、胸の中にあるモヤモヤを打ち明けることです。
もしかすると、最初の頃はこれまで打ち明けてこなかったモヤモヤがたくさん溜まっているかもしれません。その場合は、モヤモヤを聞ききるだけで30分が終わってしまうかもしれません。
ですが、その結果、その人の思考や心がスッキリしてより業務に打ち込めるようになればそれで目的を達成しています。
他の項目は次回の1on1ミーティングで達成すればいいだけの話です。
チェックシートの概要
1on1を実施するにあたって用意するチェックシートは次のようなものになります。
日付 名前
- アイスブレイクと体調確認(5分)
①プライベートの理解、②心身の健康チェック( ◎、〇、△、✖ )
2. 前回のおさらいと承認(5分)
③承認によるモチベーションアップ
(最近良かったこと: )
3. 今回のピックアップテーマ(15分)
④業務・組織改善、⑤評価・目標設定、⑥能力・キャリア開発、➆戦略・方針 (←どれか一つを選択)
4. まとめと次回までの宿題確認(5分)
・まとめ:今日の会話で印象に残ったことは?一番覚えておきたいことは?自分の言葉でまとめるとどうなりますか?
・宿題確認:次回までに何にチャレンジしていきますか?具体的にどのように進めていきますか?それを達成するために私に何かできることはありますか?
事前アンケート
1on1ミーティングをスムーズに実施するために、部下に対して事前アンケートお願するのも一つの手です。ただし、あくまで強制ではなく、何かあれば程度にしておくべきです。
強制にしてしまうと1on1ミーティングの場自体が嫌なものだという認識になってしまうかもしれないので、避ける必要があります。
事前アンケートは次のようなものが効果的です。
データベース化する
1on1ミーティングで得られた情報や話し合った内容は、過去の経緯を把握するためにも記録として残す必要があります。
また、他のマネージャーが閲覧したりスムーズに引継ぎができるようにクラウド上のデータベースで管理することが望ましいです。
参考
この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。
この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。
興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。