株式の配当金を受け取っている場合に、確定申告をすると配当控除が受けられ得することがあります。
ただし、配当控除が適用されるのは国内株式の配当金のみで、アメリカ株など国外の配当金は対象外となります。
ですが、国内株式と国外株式の両方から配当金を受け取っている場合に、配当控除を受けようとすると、国外株式の配当金額も入力しなければいけません。
それに伴って「外国税額控除等」という項目の入力が必要になります。
ここではこの「外国税額控除等」とは何か?どのように入力すればいいか?について簡単にまとめています。
「外国税額控除等」とは何か?
「外国税額控除等」とは、国外の株から得た所得に対して、一定額の所得税を差し引くことができる制度です。
なぜ控除を受けられるのか?
日本に住んでいる場合は、国内と国外の株に関わらず、収益を得た場合は自動で課税がされる仕組みになっています。
特に、国外の株の場合は、その国でも既に税金を払っている(外国所得税)ため、2重に税金を払っている状態になっています。
この2重に税金をとるのは取りすぎということで、控除をしお金を返してくれる制度が「外国税額控除等」です。
控除される金額
例えば米国株式の場合、米国で源泉徴収として10%の税金が徴収され、そこに日本国内での所得税(例:20.315%)が課税されます。
このように2重に支払っているため、「外国税額控除等」を申請することで、米国分の10%の源泉徴収の一部が返ってきます。(※全額ではありません)
申請に必要なもの
「外国税額控除等」を行うためには、証券会社などから発行される「年間支払通知書」や「年間取引報告書」が必要になります。
その中に記載されている以下の4つの情報が必須となります。
年間支払通知書の例
外国税額控除等の申請
確定申告を始める
ここでは、確定申告の「外国税額控除等の申請」の部分の入力方法のみをピックアップして解説しています。
確定申告の始め方や基本的な書き方の例については下記をご参考ください。
外国税額控除等の入力を選択する
確定申告を進めていくと、「所得控除」の入力が終わった後に、「税額控除」という項目がでてきます。
この「税額控除」の中に「外国税額控除等」を入力する欄があります。
外国税額控除額を計算を選択する
「入力する」をクリックすると、以下のような選択画面が表示されます。
「外国税額控除額」の計算は、国税庁の「外国税額控除に関する明細書(居住者用)」に沿って記載し計算していきます。
書面に記入して、確定申告書に添付してもいいのですが、オンラインの場合は直接入力することでそのフォームを添付することができます。(※外国税額控除に関する明細書を別途添付する必要はなくなる)
ここでは、オンライン上で入力していく「外国税額控除額の計算がお済みでない方」を選択し、直接入力していきます。
チェックマークを入れると以下のような画面が表示されます。
配当金の情報を入力する
入力項目が多くて目を逸らしたくなりますが、実際に入力する内容は非常に簡単です。
入力するのは以下の9か所になります。そのうち、半分ほどは記入する内容が決まっています。
番号 | 項目 | 記入例 | 共通 |
---|---|---|---|
国名 | 株の国名 | 米国 | |
源泉・申告の区分 | 源泉・申告の区分 | 源泉 | ✓ |
所得の種類 | なんの所得に該当するか | 配当 | ✓ |
所得の計算期間 | その年度の記載する(1月1日~12月31日) | 令和 3年1月1日 令和 3年12月31日 | ✓ |
税種目 | どの税種かを記載する | 源泉・所得税 | ✓ |
納付確定日 | 支払いが確定した日付 | 令和 3年3月29日 | |
相手国での課税標準 | 配当金の金額を記載する | 4,221 | |
納付日 | 支払った日を記入する | 令和 3年3月29日 | |
左に係る外国所得税額 | 外国所得税の金額を記入する | 421 |
実例
例えば以下のような配当金の状態があるとします。
これを「外国税額控除額」に入力すると以下のようになります。
他にもある場合は同様に入力していきます。(数が多い場合は大変です、、)
調整国外所得の計算
続いて「調整国外所得の計算」の欄に金額を入力します。
記入するのは「外国株の配当金の合計金額」です。
外国所得税額の繰越控除余裕額又は繰越控除限度額の計算
「外国所得税額の繰越控除余裕額又は繰越控除限度額の計算」の内容を必要に応じて入力します。
前3年以内の所得税の控除限度額等
必要に応じて「前3年以内の所得税の控除限度額等」の内容を入力します。
入力が終わったら「入力終了(次へ)」をクリックします。
控除額の確認
「外国税額控除等」に控除額の計算結果が入ります。
配当等の金額が約6万円(外国所得税 約6,000円)の場合の計算結果が上記です。
外国所得税10%分の全てが返ってくるわけではありません。
あとは、通常どおりに確定申告の申請を進めていけば、作成した確定申告に入力した内容に沿った「外国税額控除に関する明細書」も自動で添付されます。