企業などの組織には必ず、その年や各期毎に達成すべき目標が設定されています。
例えば売上〇億円であれば、その売り上げ金額を達成するために各部署やチーム、個人に分配した目標が設定されます。
どの企業でもこの目標設定方法は大きくは変わりませんが、その目標をどのように伝えるかで従業員のモチベーションが大きく変化します。
ここでは、悪い目標の伝え方と良い目標の伝え方についてまとめています。
悪い目標の伝え方
悪い目標の伝え方は数値や目標の押し付けです。
「今期はこれをやることになったので、それぞれ〇〇を達成してください」といったように、ノルマを伝える方法です。
軍隊や昭和時代の企業など古い組織で主に用いられている手法です。
なぜこの目標設定が悪いかという「なぜその目標を達成しなければいけないのか?という意義が伝わらない」ためです。
昔は「給料が欲しければこれをやれ」で通じたのかもしれませんが、今はそういった指図でモチベーションを上げる人はほとんどいません。
良い目標の伝え方
良い目標の伝え方は「なぜその目標を達成する必要があるのか?」という意義を説明し、相手がそれで納得することです。
「うちの企業はこのミッションのために存在している。そのミッションを達成する上で、現状はこれが足りていない。だから、今期はこれをやることに決まった。
そのためには、各人にこれだけの数値目標を達成してもらう必要がある」
というように伝えると、目標を課せられた人は「自分がなぜこの目標を達成しなければいけないのか、この目標を達成することが何につながるのか」という意義を理解することができます。
意義の重要性
なぜそれをやる必要があるのか?という「意義」は、目に見えるものではなく捉えずらいものでもあります。このため、目前の数値目標や事実などのデータと違って軽視されることが少なくありません。
しかし、意義が明確化どうかで、人が取り組む姿勢、モチベーション、最終的なアウトプットなどが大きく変わってきます。
有名な寓話に3人のレンガ職人の話があります。世界中を旅しているある旅人が、レンガを積んでいる男性に「あなたは何をしているんですか?」と聞く話です。
1人目は「見れば分かるだろう。仕方なくレンガを積んでいるんだ」と答えます。
2人目は「家族を養うために、レンガ積みの仕事をしているんだ」と答えます。
3人目は「歴史に残る大聖堂をつくっているんだ」と答えます。
3人がやっているのは全く同じ行為ですが、その意義や動機が完全に異なります。
当然、レンガ積みの仕事に最も夢を抱き、日々の積み重ねを楽しめるのは3人目の「歴史に残る大聖堂をつくっているんだ」と答えた職人です。
意義を伝えるのはマネージャーの役割
従業員に対して「意義を理解しろ」と言っても、理解できるものではありません。
大本の目標を設定する人自身が、それを設定するときに意義を明確にしておく必要があります。
そして、課せられた目標に対して意義を感じられるよう説明責任を負うのがチームを率いるマネージャーの役割です。
そのときに「こう決まりました。理由はこうです」と伝えるだけでは不十分です。それは会社側の意義でしかありません。
従業員はみんな自分自身の中にやりたいことや実現したいことがありその会社にいます。それは「企業のミッションに共感している」「今年は旅行に行きたいから〇〇円稼ぎたい」といったように人によって様々です。
このため、マネージャーは従業員に対して、会社の意義を達成することで、その人が持つ実現したいことにどれだけ近づくのかという、会社の意義と個人の意義を紐づけをする必要があります。
そのためには、日々の仕事や1on1ミーティングにおいて、従業員それぞれが持つ価値観を「なぜこの職場にいるのか?」といった問いかけで理解することに努めたり、会社のミッションや向かっている方向、従業員に望んでいることを逐一フィードバックしておく必要があります。
このため、最近ではOKRと呼ばれる目標設定を採用している企業も少なくありません。OKRは企業のミッションから逆算して、そのために個人がどう貢献できるかをボトムアップで作り上げる目標です。