一番上の長男が妹や弟に暴力をふるう。怒っているのにやめる気配がない。それどころか、どんどんエスカレートしていく、、そんな悩みをもっている方もすくなくないと思います。
きょうだいみんなに平等に愛情を注いでいるのに、と思っていても、実際は、一番上の子はまったく平等だと感じられない場合がほとんどです。
一番上の子がどう感じているのか?どのように接すれば下の子に暴力しない優しいお兄ちゃんになってくれるのか?
そんな、ありふれた、けど、とても深刻な問題に答える9個の金言をご紹介します。
きょうだい平等に接すれば、上の子は必ず不平等だと感じる
お母さんやお父さんが、きょうだいみな平等に接していると思っている場合、気持ちの面では本当にそのとおりでしょう。
でも実際には、下の子に手をかける時間の方がどうしても長くなってしまうと思います。どんなに平等にしようと思っても、これは仕方のないことです。
上のお兄ちゃんから見たら、やはり不平等です。「弟や妹ばかり、ママ / パパにかわいがられている」と見えるかもしれません。
小さい時は仕方がないのと伝えても意味はない
たとえ親が、「小さい時は仕方がないの。お兄ちゃんなんて○歳まで一人っ子だったんだから、弟や妹より手をかけてもらったのよ」と説明したとしても、あまり意味はないのです。
そんな昔のことは覚えていません。子供は終わったことよりも今が大事なのです。
お兄ちゃんの味方をする言葉がけをする
もちろん上の子には上の子なりのプライドがありますから、下のこと同じように手をかけて欲しいとは思いません。
でもそのぶん、別の何かが欲しいのです。それは、「ひとりでやってくれるから、お母さん助かるわ」といいう褒め言葉かもしれません。下の子に向かって「お兄ちゃんを見習ってね」と言ってもらえたら誇らしいでしょう。
そんなふうに、お母さんやお父さんには少しだけ、お兄ちゃんの味方をしてあげてほしいと思います。味方をしているように見せるだけでかまいません。そんな言葉かけを意識するといいです。
上の子に優しく接するほど、優しい子に育つ
お母さんやお父さんが上の子に優しくすればするほど、上の子は下の子に優しくなります。
逆に、上の子に「上の子らしさ」「お兄ちゃんらしさ」を求めれば求めるほど、上の子は下の子に優しくできなくなるのです。
お母さんが下の子に優しくしているのに、なぜ自分まで優しくしなくちゃいけないのかと、そんな気持ちになるのかもしれません。
上の子に少し多めに優しくしようと思うとバランスがよくなる
どの子にも平等に愛情を抱くのはもちろんいいことです。
ただ、上の子にあまり手をかけられない分、少し多めに優しくしようと、そう思って育てるとバランスがよくなるのではないでしょうか。
10歳は課題が増える年齢。家庭に安らぎが必要
10歳というのは課題が増える年頃です。学校での人間関係は複雑になっていきます。勉強も難しくなります。自分を客観的に見られる年頃にも入りますから悩みも増えます。
そんな時期は、家庭でのやすらぎや安心感、満足感が今まで以上に必要になります。家庭でのやすらぎという基盤があるからこそ、社会活動、つまり学校での活動がのびのびできるのです。
お母さんやお父さんから目に見える優しさが必要な時期なのです。
家庭でのやすらぎはずっと必要
その先の思春期に入ると、家庭でのやすらぎがもっともっと重要になってきます。家庭にやすらぎや、くつろぎの場がないと、外で「くつろぎ」を求め、友達の家を泊まり歩いたり、非行に走ったりする子もいます。
非行に走る勇気のない子は、不登校になったり引きこもりになったりすることも少なくありません。
親に甘えて依存できれば子供は自立できる
健全な人間関係の土台は親子関係です。親に思いっきり甘えて依存して、その安心感を持ち運ぶようにして子供は外に出ていきます。
家庭が本当の意味で依存の場になると、子供は自立の方向に向かってちゃんと歩いていくのです。
お兄ちゃんに「今日は何が食べたい?食べたいものを作ってあげるよ」と言ってあげる
まずはお兄ちゃんに「今日は何が食べたい?あなたが食べたいもの、作ってあげるよ」と言ってあげてください。
ほかのきょうだいがいてもいいです。そっと小声で言ってあげるんです。
すぐに準備ができないものなら、「今日は無理だけど、明日か明後日、買い物してくるから待っててね」と伝え「ダメよ」とは否定しないでください。
夕ごはんが無理なら朝ごはんでもいいですね。「卵は何がいい?目玉焼きでもゆで卵でもなんでも好きなものをつくってあげる」と。
親に希望を言えれば、弟や妹より少しだけでも大事にされていると思うことができます。家庭の中で自分の価値を自覚できるのです。
それを続けていったころ、あれ、弟や妹を叩かなくなったなと気付くはずです。
参考
この内容は、川崎医療福祉大学特任教授、横浜市リハビリテーション事業団参与で、自閉症を持つ人々のための支援プログラム、TEACCH(ティーチ)を米国から日本に紹介するなど様々な経歴をもつ精神科医 佐々木正美先生の「この子はこの子のままでいいと思える本」の要約と一部抜粋です。
本書には他にも、気づきを与え、心を軽くしてくれる、子供の育て方に関する金言がたくさん載っています。
興味を持たれた方はぜひ一度手に取って見てはいかがでしょうか?