行政関連の視察・インタビュー・講演会の依頼は断るべき!あなたも社員も疲弊して事業が潰れる|モデル事業とは?危険性

経済
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事業を立ち上げて軌道に乗せるとや地方自治体、国など行政から視察やインタビュー、ヒアリング、講演会などの依頼が寄せられます。

一生懸命努力してきた結果が注目されるのはとても嬉しいことです。ですが、こういった視察やインタビュー、ヒアリング、講演会などを引き受けることは嬉しいことばかりではありません。

むしろ、それによってせっかく軌道に乗った事業が傾いてしまうことも少なくありません。

ここでは、なぜメディアや地方自治体、国などの視察やインタビュー、ヒアリング、講演会といった依頼を断るべきなのかについて解説しています。


事業を傾ける4つの要因

当然ですが事業を回していく上で、時間が奪われたり、対価が支払われなかったり、社長など主要人材が長期不在になればビジネスはどんどんと不利な状況に追い込まれて行きます

行政視察やインタビュー、講演会などはいずれも事業を衰退させる大本になるものです。ここでは以下の4つでそれぞれ何が行われるかを紹介します。

断るべき4つの依頼
  1. 調査協力
  2. 視察見学
  3. 講演会
  4. 補助金漬け


調査協力

事業を軌道に乗せ拡大し成果が出始めると、地元紙や全国紙にその取り組みが掲載されて多くの人が知るようになります。

すると、噂を聞きつけた行政やその関係者から「成功事例集に掲載させていただきたいので調査にご協力ください」といった連絡が来ます。

地方自治体や国から認められることは誇らしいことで、かつ、日本の役に立つならと考えてついつい了承してしまう人がほとんどです。

手間がかかる

「事例集を作成する上で、必要な資料が欲しい」と言われます。

バッとまとめて送ったところで「こういう情報はないですか?」というような追加のやりとりも発生するのが一般的です。

そして、出来上がったものはこちらでチェックしなければなりません。添削して修正案を出し送り返す。この面倒な作業を繰り返す必要があります。


情報が共有されない

あなたは行政に一度情報を共有したのでもう十分と思っているかもしれませんが、その情報はあくまでその機関の中でしか共有されません

このため発行された成功事例集を見て、うちにも調査・取材させてほしいという依頼が様々な役所から殺到します

そして毎回同じようなヒアリング・添削作業に追われ、どんどんと時間を奪われて行きます。


対価は支払われない

一番大きな問題は、会社の大切な資産である資料を渡し、時間をとって対応し、内容をチェックしたにも関わらず調査協力費が一銭も支払われないことです。究極のタダ働きになります。

一方で調査しているシンクタンクには数百万~数億円の事業費が行政から支払われていたりします

成功事例集の真実

行政の作る成功事例集とは、苦労して成果を生み出し調査に協力した人には一銭も支払われず、それを調べているだけの受託企業に収入が入る仕組みです。


行政からの調査に協力した結果、現場は無駄な時間をとられ、その分活動にかける人材と時間がなくなり、お金にもならず、事業が低迷する原因になります。

時間・資金・人材によほどの余裕がない限りは全断りで問題ないでしょう。

もし、調査に協力しその成果物であなたの事業が何らかのメリットを得られるのであれば、あらかじめヒアリング用の資料やQ&Aを用意したり、ある程度のテーマをこちらで決めておくなど主導権を握って進めることが重要です。

言われるがままは一番危険です。


視察見学

実は成功事例集に掲載するための調査協力だけならまだマシです。メディアで取り上げらると「成功した取り組みをぜひ見てみたい」という視察見学の依頼が来ます。

特に、行政の成功事例集に掲載された後は視察見学の依頼が急増します。

手間と時間がかかる

人が視察に来たら案内をしなければいけません。一つ一つの場所を巡り説明していきます。来る人の数や回数が増えれば増えるほど同じことを繰り返す時間が増えます。

日程調整、案内、説明など手間がかかり時間を消費します

結果として、本来は事業を回すことに使っていた時間を視察見学の対応に奪われることになります


一過性でしかない

場合によっては視察見学料を取って収益に加算することがあるかもしれません。

ですが、視察見学は本来のビジネスから外れています。それが本業ではありません。また、多くの人がリピーターになり何度も来場する類の収益ではありません。完全な一過性です。

そのような本業から外れ一過性の視察見学に時間や労力を使っていれば、本業の事業は低迷していきます

そして、事業が低迷したら成功事例から外れて見限られ、結果として視察見学の依頼すら来なくなります。

視察見学の真実
  • 日程調整、案内、説明で時間と労力を消費する。
  • 視察見学者は消費者にもリピーターにならない。
  • 本業に割く時間と人材が減るので本業の業績が低迷する。
  • 業績が低迷すると見限られる(一過性)。


講演会

事業が軌道に乗り巷で成功が認められ始めると講演会の依頼が来ます。そして一度講演会を行うと「ぜひ、うちでも」というように次から次に講演会の依頼が来るようになります。

近隣だけにはとどまらず全国区で注目され始めると全国から依頼が来るようになります。講演会に参加すれば講演料も入ります。

事業のメンバーもトップがあちこちで講演会に呼ばれて注目されることは嬉しいことです。

トップ不在の期間が増える

ですが、講演会で忙しくなり始めると、準備や移動などでたくさんの時間を取られるようになりトップ不在の期間が増えます

事業が伸びていくことにトップが関係してなければそれでも問題ありません。ですが、多くの場合、事業を軌道に乗せ、全体を管轄し方向を決めてきた立役者はトップです。

そのトップが長期間不在になれば、当然事業は低迷します



一過性でしかない

講演会も視察見学と同じく本業から外れています。あなたのビジネスモデルは決して講演会で生計を立てることではありません。

講演会に参加することで業績が低迷すれば講演会にも呼ばれなくなります。すると講演会で得ていた収益もなくなります。

また、同じところが何度も講演会に呼んでくれるわけではありません。時間経過とともに新しい成功事例が出てきて「前回は〇〇さんだったから、次は△△さんにしよう」となり、あなたは呼ばれなくなります。

結果、トップ不在で疲弊・混沌した現場と傾き始めた事業だけが手元に残ることになります

講演会の真実
  • トップ不在の期間が増える。
  • 事業を引っ張るトップが不在になれば、本業の業績が低迷する。
  • 業績が低迷すると見限られる(一過性)。
  • 何度も呼ばれることはない(一過性)。


補助金漬け

行政の発行する成功事例集に載ると、行政から「補助金を出すのでモデル事業としてやらないか?」という誘いが来ます。

実はこのモデル事業が既存の事業を破壊する一番の原因になります

行政の思惑

モデル事業とは、各省庁がお金を補助し、他地域の模範となるモデルとなる事業にすることです。

行政の目的は税金である予算を日本の経済発展に使っていると国民に示し、自分たちの成果とすることです。そのために、あなたの事業がやり玉に挙がったというわけです。

自分たちで一から事業を計画し立ち上げるよりも、既に軌道に乗り成功している事業に補助金を充てる方が「ほら、成功している。我々の政策は正しいでしょ」と言いやすくなるからです。

行政の真実

行政が欲しいのは、あなたの会社や地域が元気で幸せになることではありません。予算を適切に使っていることを上に示せる成功事例です。

稀に真に幸せを願っている人もいますが、あくまで稀なので注意しましょう。


補助金のワナ

補助金の額は数千万~数億などの大金が当てられることがあります。お金を稼ぎ黒字化することが一つの主要な目的でもある事業にとって喉から手が出るほど嬉しい知らせになります。

ですが、これまで地道にコツコツと改善を重ね地道に黒字化してきたところに、大量の資金が投入されると、だいたいの場合、過剰な設備の購入費や建設費などに使われることになります。

当然、維持管理費や雇用する人員は増加します

結果、今までバランスがとれていた採算が大きく崩れ、働いても働いても赤字から抜け出せないという悪夢のような状態に陥ってしまいます

一度自分たちの力でできる範囲を外れてしまうと「自分たちでなんとかしよう」という気は起らなくなるのが人間です。

苦難に直面するごとに「補助金さえあれば」という考えが頭をよぎるようになります

そこまでいくと補助金中毒の末期患者です。事業を再生することは難しくなります。

補助金の真実

補助金とは急に宝くじで1億円当たったり、急に親の遺産が転がり込んでくるのと同じです。そこに人間としての成長がないため、手に入ったお金に溺れ、これまで手元に合った大切なものが全てなくなっていく要因になります

宝くじや親の遺産と違いまたもらえる可能性が高いため依存症になりやすくなります。「補助金 = 依存性の高い薬物」です。

一度そのハマると抜け出すことは難しいでしょう。


無駄な処理が増える

補助金をもらうことは麻薬に手を出すぐらいの危険性があります。それ以外にも、補助金を受け取った場合、その対価として報告義務がついてきます

無駄に膨大な報告書を作成し、会計監査への対応をするなど、これまでシンプルに素早くできていた業務がより煩雑で複雑なものへと悪化していきます

事業を成長させて改善を加え前に進めることよりも、モデル事業の報告義務を果たすことで数年間を費やさなければいけなくなります


まとめ

人には誰しも承認欲求があるので世の中から認められることは嬉しいことです。特に、地方自治体や行政などの公的機関から認められればお墨付きのように感じます。

ですが、日本財政赤字が約1200兆円という現状を見ればわかるように、地方自治体や国などの行政は事業を失敗させ、悪化させている張本人です

また、自分たちで事業を立ち上げ軌道に乗せた経験すらない人がほとんどです。

そういった事業センスのない人とたくさんの時間を共有することは、自分の事業を危険に晒す以外の何物でもありません。

事業を立ち上げ全身全霊かけるからには、お金や承認欲求以外に「達成したいビジョン」があるはずです。

視察やインタビュー、ヒアリング、講演会といったあなたのビジョンの達成を邪魔するものに時間を割くのではなく、ビジョン達成のために徹底的に遠ざける努力をすることも大切です。そういった地道な努力を怠ってはいけません。

あなたの行動がビジョンに近づき、あなたやあなたの周りにいる人々が幸せで豊かになっていくことを心より願っています。


参考

この記事の内容は経済産業研究所や内閣官房地域活性化伝道師を務めた木下 斉さんの「地方創生大全」の一部を要約しまとめたものです。

本書の中にはより具体的な事例や数値データなど、地域活性化や地方創生のための事業を始める際に知っておくべき内容がたくさん詰まっています。

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