フレーミング効果とは?
フレーミング効果とは、同じ事柄を説明するときに使う言葉を変えると、人の印象が変わることです。
フレーミングとはフレーム(枠)に当てはめることを意味しています。1枚の紙に書かれた絵画があったときに、紙ッぺらで売られている状態と、きれいな額縁に入れて売られている状態でオークションにかけると、額縁に入っているとき(フレーミングされているとき)の方が高く売れます。
本質は全く同じなのに、額縁に入っただけで「しっかりしてそう」「高級そう」という印象いてしまうのが人の性質です。
2種類のフレーミング
フレーミングは人が抱く印象によって大きく2つに分類されます。
- ポジティブフレーミング
- ネガティブフレーミング
ポジティブフレーミング
ポジティブフレーミングとは人がポジティブな印象を抱く内容です。いい言葉を印象づける方法です。
言葉選びは「プラスの言葉が量的に多くある」か「マイナスの言葉が量的に少ない」場合にポジティブフレーミングになります。
ネガティブフレーミング
ネガティブフレーミングとは人がネガティブな印象を抱く内容です。マイナスの言葉で印象づける方法です。
言葉選びは「マイナスの言葉が量的に多くある」か「プラスの言葉が量的に少ない」場合にネガティブフレーミングになります。
これはポジティブフレーミングの例と全く同じことを言っています。言い方を変えただけです。
言葉選びによる印象操作の重要性
「糖質99%オフ」か「糖質1%含有」の商品のどっちを買いますか?と聞かれたらほとんどの人がポジティブフレーミングされた「糖質99%オフ」を選びます。
ここからわかることは「人は額面通りの言葉をそのまま受け取る」性質があるということです。わざわざ「糖質1%含有」の裏が「糖質99%オフ」になるとは考えません。
このため言葉選びは超重要になります。
売る側
モノやサービスを売ったり、人から好かれたいなど自分を売り込む側の人は、意識的にポジティブフレーミングになるように言葉を選ぶ必要があります。
言い回しによって「売れる or 売れない」「好かれる or 嫌われる」が左右されます。
「印象操作」という言葉があるように「聞こえをよくする」努力をすることは思っている以上に効果を発揮します。(決して軽んじてはいけません)
買い手の目線や思考がポジティブな内容に注目して、ネガティブな内容に気づかないよう誘導する必要があります。
買う側
モノやサービスを買う人や、誰かに言い寄られている人は注意する必要があります。
「フレーミング」とは言い換えれば、よい部分を目立たせて、悪い部分を隠す行為だからです。
「〇〇と△△ができる!」とうたっている商品は実は、最も重要な「□□ができない」かもしれません。
フレーミング効果の実験
フレーミング効果の実験はノーベル経済学賞を受賞した行動経済学の生みの親 ダニエル・カーネマンと共同研究者のエイモス・トベルスキーによって仮説・検証が行われました。
2人は被験者に対して次のような質問をし、どちらがいいかを選択してもらいました。
質問内容:600人の人がいて命に関わる伝染病に晒されている。次のような対処法があるがどちらがいいか?
実験1
- 200名の命が助かる。
- 600名全員の命が助かる可能性は1/3。誰も助からない可能性は2/3。
結果、被験者の72%(過半数以上)が対策1を選択しました。どちらも最終結果は同じにも関わらずです。
対策1は「命が助かる」というポジティブにフォーカスし、対策2は「助からない可能性が2/3ある」というネガティブにも思考がいくように誘導しているためです。
実験2
続いて、実験1の対策1を「命が助かる」から「死亡する」にフォーカスするように変更して、同じ質問をしました。
- 400名が死亡する。
- 600名全員の命が助かる可能性は1/3。誰も助からない可能性は2/3。
結果は、対策1を選んだ人の割合が大幅に下がり22%になりました。
これは「200名の命が助かる」から「400名が死亡する」に変えたことでフレーミングが強烈なネガティブに変わったためです。
フレーミングの例
世の中にはフレーミングを使った商法が大量に溢れています。(売るためには当然ですが)
ポジティブ | ネガティブ |
---|---|
99%糖質オフ | 糖質1%含有 |
80%脂質カット | 脂肪分20% |
果汁10% | 90%は果汁以外 |
90点取れた | 10点足りなかった |
1ヵ所すごく面白いところがあった | 1つ以外は全てつまらなかった |
ビタミン2000mg配合 | ビタミン2g配合 |
65%の赤身肉 | 35%の脂肪肉 |
手術の成功確率は90% | 手術で重い障害が残る確率は10% |
クラス最高の成績 | 同学年において成績は下(頭の悪いクラスに振り分けられている) |
85%のお客様が満足 | 15%のお客様は不満足 |
AさんがBさんに勝利! | BさんはAさんに大敗 |
1日当たり100円 | 1年で36,500円 |
参考
この記事の内容はスイスの有名起業家 ロルフ・ドベリが記した「Think right ~誤った先入観を捨て、よりよい選択をするための思考法~」の一部抜粋と要約です。
人が陥りがちな思考の罠がとてもわかりやすくまとまっています。この記事の内容以外にも全部で52個の人の性質がわかりやすい具体例で解説されています。
この記事の内容でハッとした部分が一つでもあった方は是非手に取ってご覧になられることをお勧めします。
あなたの人生をより賢く豊かにしてくれることは間違いありません。