ミニマリストというと「部屋にものが何もない人」「なんでもかんでも捨てちゃう人」「何もない6畳一間にPCだけがある人」という変わった人を想像しがちです。
スティーブジョブスに憧れて、そうなろうとしてしまっている痛い人
人の心がなく、冷徹でなんでもかんでも捨ててしまう人。友達や親戚、彼女まで捨ててしまいそうな人というイメージです。
ですが、ミニマリストの本質は違います。
ここではミニマリストとは何かの定義を時代背景と人々の幸せに対する考え方の変化から解説しています。
物を持っている人は大切にしていない
そもそも、ミニマリストに対して眉をひそめたり、嫌悪感やを覚える人のほとんどが物を大切にできていません。
ほとんどの人が次のような行動をしています。
- 何かを買ってとりあえず棚や押し入れの中に突っ込んでおく。
- 本を買ってとりあえず本棚に突っ込んでおく。
- セールがあればとりあえず買っておく。
- すぐに使う予定はないけど使うかもしれないから買っておく。
- クローゼットに洋服が所狭しと並んでいる。
- スマホの中にありとあらゆる写真を保存(とりあえずスクショ)。
こういう人たちに次の質問をした場合、答えはすぐに帰ってきません。
「たくさんあるモノの中で一番大切なものはどれですか?」
「一番大切な本はどれですか?」
「一番お気に入りの服はどれですか?」
「一番気に入っている写真はどれですか?」
「一番大切なものをすぐに提示できますか?」
物がありすぎて自分が大切にしているものが何かすらわからない状態になっています。
ほとんどの人が、自分にとって大切な出来事の写真をすぐに取り出すことができず、見返してすらいません。
このような人は物を大事にしている人とはいえません。
ミニマリストの正しい定義とは?
一方、ミニマリストはその真逆にいます。
ミニマリストは大切なものにフォーカスして生活している人です。身の回りを大切なものだけにできる人のことです。
身の回りを大切なものだけにするには、余計なもので大切なものが埋もれてしまわないように、物を減らしてく必要があります。
大切なものだけを選び抜いて、それ以外を捨てることは労力、勇気、決断力がいる行動です。
ミニマリストはそういった行動を実践した人たちのことです。
決して、いる物まで捨てる人たちではありません。
ミニマリストの歴史
ミニマリストと言う言葉は昔からありますが、注目され始めたのはここ最近です。
2010年頃より「断捨離」「ノマドワーカー」など物を捨てたり、場所に捕らわれない働き方といった概念の言葉が流行し始めました。
ミニマリストも2010年以降徐々に浸透してきた考え方です。増加した理由は次の3つです。
それぞれの理由はIT革命と東日本大震災という側面から伺えます。
IT革命
この考え方が流行り出した一番の大きな理由は「インターネット」と「スマホ」の普及です。
スマホでネットにつなげるようになったおかげで、ありとあらゆる情報に接することができるようになり、情報過多の時代に突入しました。
Amazonや楽天などオンラインショップが普及し物が簡単に手に入るようになりました。
情報と物が大量に手に入るようになったおかげで便利になりました。ですがその量は私たちのキャパを大きく上回ってしまいました。
ここまで情報と物が過多になった状態はこれまでの数十万年の間で人類史上初です。
このため、私たちには物や情報を減らす技術が備わっていません。新しい技術なので受け入れられるまでに時間がかかっています。
この新しい技術をいち早く実践し身に付けていった人たちがミニマリストです。
更に、これまではある程度の物を持たなければ生活ができない状況でした。それがスマホやインターネットの普及により、物がなくても生活できる環境が整ったことで、ミニマリストが徐々に増えてきました。
シェアリングエコノミーも同じ思考に元づいています。例えばシンガポールは配車アプリの普及により車を持たないことが普通になっています。
音楽の楽曲や映画なども過去はCDやDVDとして保有する時代でしたが、今ではサブスクリプションで所有しないことが当たり前に変化しています。
情報はストリーミングでダウンロードして保存すらしない時代です。
震災
2011年3月11日に発生した東日本大震災もミニマリストを加速する出来事でもありました。
地震があったときに大変だったのは中が物で溢れた家です。あちこちから物が落ち、危険で、歩くのも困難でした。
非難するときにたくさんの物は邪魔でしかありません。精神的にも「あれもこれも」と未練が残り非難しずらい状態になってしまいます。
物で溢れかえっていることは安心ではなく災害時にリスクになることが分かった出来事でした。
間違った幸福の定義
多くの人が物をため込み、ミニマリストを軽蔑の目で見てしまうのは、その人たちがおかしかったり劣っているわけではありません。
その人たちは全く悪くありません。戦後の物が何もなかった時代を経験した人たちの考え方や、テレビやドラマで放送される一世代前の成功者の像で洗脳されているからです。
それは「自分に足りないものをどんどん足していけば幸せになれる」という考え方です。そういった人は主に次のような考え方をしています。
常に「もっともっと」と足りないものを求め続けています。そして、その先に幸せがあると思い込んでいます。
年収が1,000万になれば幸せになると思い、そして、1,000万に到達したら、2,000万にさえなれば幸せになれると思い、というように幸せになるために「もっともっと」と求めていきます。
ですが、年収が1,000万円になったところで幸福度が爆発的に上がることはありません。
高級車を100台保有すればとても幸せになるわけではありません。何億もする豪邸に住めば幸福度が上がるわけではありません。
実はほとんどの人がその事実を感じ始めています。それなのに洗脳が解けず、体と精神を疲弊させながらも「もっともっと」といって新しいものを求め続けています。
たくさん物を所有する先に幸せはありません。その先にあるのは疲弊のみです。
幸福のカギはミニマリスト
では幸福のカギはどこにあるかというと、「もっともっと」と足していく行為の真逆です。
あらゆるものが簡単かつ大量に手に入ってしまう現代だからこそ、無駄なものを減らしていくことこそが幸せになる道です。
つまり、ミニマリスになることこそが幸せになる正しい方法です。
ミニマリストたちは過去の幸せのイメージの違和感に一早く気づき、自らを信じ行動に移した勇気ある人たちです。
ミニマリストになる方法
ミニマリストになろうと言ったときに、「私はミニマリスト向きの性格じゃないし」という人もいます。
ですが、ミニマリストとは性格ではありません。ミニマリストとは技術です。
平泳ぎやタイピングと一緒です。「平泳ぎができない性格なの」「タイピングができない性格なの」とは言う人はいません。
ミニマリストもこれと同じでやり方を知り練習すれば誰でも簡単にできるものです。
- 「こうすれば要らない物が捨てれる」
- 「こう考えれば余計な物を買わなくていい」
という方法を知っている人がミニマリストです。