結婚をして誰しもが願うのは夫婦円満で一緒にいて明るく楽しい家庭を築くこと。しかし、現実を見ると、その思いとは裏腹に価値観のすれ違いや、意思疎通が合わず夫婦喧嘩が絶えない夫婦生活を送っている人も少なくない。
それもそのはずで、夫婦円満な家庭を築くには、ジャンボジェットを操縦するぐらいの訓練が必要だからである。
結婚をして、2人で一緒にジャンボジェットに乗って離陸したのはいいが、その操縦方法がわかっていなければ墜落や、あるいは、ヒヤヒヤを何度も体験するのは目に見えている。
つまり、夫婦円満な家庭を築くには、そのためのマニュアルと訓練が必要となる。
最も身近なマニュアルと訓練
夫婦円満な生活を送るための最も身近なマニュアルは自分の親である。夫婦円満な家庭で育った子供は幼い頃からずっと夫婦円満でいるための秘訣を目にし体験しながら育つ。
父親が母親を十分に満足させている家庭で育った子は、成長してからも異性との関係を上手に築けるようになる。
母親が父親のどんな失敗も受け入れ、信頼し、励ましてきた家庭で育った子は、成長してからも異性の失敗を寛大な心で許し励ますことができるようになる。
そのような家庭の父親は、妻に愛情を注ぎ込むことに自身ができる全力を尽くしている。加えて、自分自身が完璧な人間でないことを理解している。自分が失敗を犯したら素直に謝まる。失敗を認め謝ることで自身心が失われることはなく、誇りを持って生きていけることを知っている。
そのような家庭の母親は夫によってひどく失望させられた時でさえも、夫を信頼し続け励まし続けることが、夫の妻に対する愛情を最も強くすることを知っている。
そして、夫婦円満な家庭環境で育った男の子は、大人になって女性に愛情を注ぐことに自分の全力を注ぎ、失敗したら素直に謝る。その時、一緒にいる女性は、その失敗を寛大な心で許し励ませる人でないと長続きしない。
愛情を注ぐことに全力を尽くせず謝れない男子が、失敗を寛大な心で許し励ませる女性と結ばれることはほぼない。逆に、失敗を寛大な心で許し励ませない女性が、愛情を注ぐことに全力で失敗を認め謝れる男子と結ばれることはほぼない。
つまり、夫婦円満な家庭で育ち、正しいマニュアルを読み訓練された男女が結ばれて、また夫婦円満な家庭を築く。そうでない者たちは夫婦円満の術を知らない者どうしで結びつき同じ過ちを繰り返す。
その負のループから外れようと思ったら、夫婦円満のマニュアルを学び訓練する以外に方法はない。
夫婦円満のマニュアルや訓練とは?
では一体、夫婦円満のマニュアルは何なのか?というと、それは、男がどういった性質の生き物か、女がどういった性質の生き物かを知ることである。
そして、訓練するとは、その性質に合わせて、相手のためにベストになるように行動できるようにすることを指す。
小学校から高校までの12年間の学校の授業では決して教えてくれない内容である。最近では男女の性質の違いといった話題を少しは耳にするようになったが、夫婦円満というジャンボジェットを自由に操縦できるようになるには、耳にしたレベルでは全然足りない。
まずはマニュアルを熟読し理解し、そのマニュアルに沿った行動ができるよう訓練を積み重ねていく必要がある。
男性が理解すべき女の性質
男性が女性のことを理解するためには、女性が男性のどういうところに不満を持っているか、それはなぜか、大切にしている価値観は何かを理解する必要がある。
女性のもつ不満
女が男に対してぶつける不平不満の中で、一番多いのが「私の言うことをちっとも聞いてくれない」ということ。
男は話の最初は聞こうとするが、彼女が抱えている問題が何かを理解すると直ぐに解決策を考えそれを提示してしまう。女性からするとそれは独善的な押し付けでしかない。そもそも、解決策を必要としているのではなく、ただ話を聞いて感情移入して欲しいだけである。
解決策を必要としているのは男だけ
男側は、相手のことを思う愛情でなんとかしてあげたいと思い解決策を提示している。決して、女性を困らせたり不満にさせたいとは1mmも思っていない。
ここが、夫婦円満のマニュアルが必要なポイントである。解決策を提示してあげるという親切や愛情は相手が男の場合には大いに成り立つ。しかし、相手が女性の場合は役に立たないことがほとんどであることを理解しなければならない。
女性が求めているのは「話を聞いて感情移入してもらうこと」なので、男は①話を聞く、②感情移入するという訓練が必要となる。
女の性質とは?
そもそも女性は愛、コミュニケーション、美しさ、人間関係をことのほか大切にする種族である。だからお互いに助け合い、育みあうことに多くの時間をかける。
女性の人生に対する満足度は、フィーリングと人間関係の質に大きく左右される。相手との深い心の交流と親密な関係に生きがいを見出す。
だから、女性にとっては、近代的な高速道路や高層ビルをつくるよりも、お互いが愛し合い、協力しあって仲良く暮らすことのほうがはるかに大切なのである。仕事の成功や技術の発展よりも、愛情のある人間関係を重視する人種なのである。
男にとって衣服は機能性や自分の能力を表現誇示するための道具でしかないが、女にとってはその日の感情に合わせてさまざまな衣服を着分けることが最上の楽しみなのだ。独自の感性を自己表現することが日常における重要な目的なのである。気分が変わればその日のうちに何度も着替えをすることだってある。
日常生活における価値観の大部分が男とは正反対ゆえ、男には全く理解できない部分が多い。
女性にとってのコミュニケーションの役割とは?
女性にとって人生で最も大切な根本原理はコミュニケーションである。自分の思いを誰かに伝え、分かち合うことのほうが目的を達成し成功するよりも遥かに大切だと思っている。
特に、最愛の異性と四六時中、時と場所を共有し、話し合い、心を通じあわせてお互いの関係を確認することが幸せに満ち足りた人生を実感できる最大の源である。
男が競争に勝ったり、難解な問題を解いたり、目標達成した時に感じるのと同じ気持ちを、女は心の通った人間関係を実感できた時に持つ。もはや男では経験し得ない全く理解できない領域である。
男にとってのランチは栄養補給か、仕事や事業計画を話し合うための場でしかない。そのため、買い出しの手間や後片付けの手間がなくすむ方法を選択する。更には、ランチは煩わしく時間の無駄で、昼食などとらずとも直ぐに仕事に戻れたらどれほどいいかと考えているぐらいである。
一方、女性にとってのランチは、他の人々との親交を深める絶好のチャンスであり、親しい友人の心の支えの場であり、逆に、自分の心の支えの場でもある。その時の女性同士の会話は、まるでセラピストと患者の間で交わされるような心開いた親密なものとなる。
女性が余計な口出しをしてくる理由
女性はコミュニケーションを大切にするため、他人の悩みや心配に対し、親身になって相談に乗る。そういう自分たちの思いやりの精神に誇りを抱いている。
そして、誰に頼まれるでもなく、自発的に同性にも異性にも助けの手を差し伸べることこそ至上の愛の証だと信じ込んでいる。
親密な恋人関係になるとまるで教育係にでもなったかのように女性が余計なおせっかいをしてくるのはそのためである。
女性たちは、他人に助けの手を差し伸べることに何の悪気も感じていないし、誰かに助けを求めることも決して自分の弱さをさらけ出す行為だと感じていない。弱みを共有しあいお互いの心を共有することこそ至福の時なのである。
一方で、男は違う。頼みもしないのに女から余計なアドバイスや助けを受けることは、自分の能力が信頼されていないということであり、非難されていると受け取る。
女性はこういった男性の感受性を理解しておらず、内なる声の命ずるままに習慣通りの行動をとっているに過ぎない。そして、そうすることが愛され、望まれていることだと思い込んでいる。
自分の愛情に満ちた思いやりの助言が、相手を侮辱しているとは思いもよらない。最愛の男性をいっそう成長させようとするために自分の助けが不可欠だと誤解したまま、より深い愛情を注ぎ込もうとする結果、さらに余計な忠告や助言を重ねて関係性を破滅へと導いてしまう。
つまり、男性は、女性が決してあなたに対して悪意を持って口うるさい忠告をしているのではなく、愛情を注ぎ込もうとしているということを理解することがある。
女性が理解すべき男の性質
女性が男性のことを理解するためには、男性が女性のどういうところに不満を持っているか、それはなぜか、大切にしている価値観は何かを理解する必要がある。
男性のもつ不満
男が女に対してぶつける不平不満の中で、一番多いのが「相手が絶えず自分を変えていこうとしている」ということ。
女はひとたび恋愛関係に入ると、相手を人間的に成長させ、仕事や出世の手助けをしなければならないという義務感に駆り立てられる。自ら率先して教育委員長に就任する。
男は迷惑がって、この余計なおせっかいに抵抗を示す。しかし、女はおかまいなしにチャンスを見ては干渉し迷惑なアドバイスや手助けを繰り返す。
余計なおせっかいは逆効果
女性は善意で立派な人物を養成しているのだとすっかり思い込んでしまっている。ここが夫婦円満のマニュアルが必要なポイントである。
女性が相手のためにと余計なおせっかいをすればするほど、男性は女の手のひらの上で踊らされようとしている自分を感じ不快感を募らせていく。
男性が望んでいるのは、現在の自分を100%無条件で受け入れてくれることだけだ。
なので、女性は①余計なおせっかいをしない、②相手を無条件で100%受け入れる。という訓練が必要となる。
そうすることで男性は、妻こそが自分のことを最もよく理解してくれている女性だと感じ、何があっても妻を最後まで守り抜きたいという感情が芽生える。
男の性質とは?
そもそも、男というのは体力や知力、仕事の効率や物事の達成に価値をおく生き物である。男にとっては絶えずこれらの点において自分の能力を実証しようと生活し、能力と技術の研鑽に明け暮れることが、すなわち生きることなのである。
目的の達成と成功によってのみ男性は人生における根本的な充実感を味わうことができる。
男の関心は、人間やフィーリングよりも、より具体的な「事物」や「目標物」に対して向けられる。女がロマンスに夢を馳せ、思いを寄せるのに対し、男は車や高性能コンピュータ、最新機器や技術革新に夢中になる。
そして、そういった「事物」に飛びつくだけでなく、自らもそれを創造することで目標を達成し、実績を示して自分の能力を証明することに心を奪われる。
そして、能力の証明はあくまでも自分の力で成し遂げる必要がある。他人の力を借りて目的を達成することは自分の能力の証明にならないとする、誇り高き人種で、自主独立こそが男にとってのシンボルである。
余計なおせっかいがNGな具体的な理由
この男の性質が、女がアドバイスや手助けをすることを余計なおせっかいだと思い拒絶したがる理由につながる。
男に対して頼まれもしないのに勝手に忠告をするということは、相手が何をしていいのかわからず、自分ひとりの力では何もできないと見なしていることになる。
男はそういった接し方にはとりわけ神経過敏になり気分を害する。自分の問題はすべて自分の力で片付けていこうとするため、男性はよほどの場合でない限り、その問題を人前で口にすることはない。せいぜいその道の専門家にアドバイスを受ける時ぐらいである。
「自分ひとりの力でできるのに、なぜ恋人を巻き込まなければいけないのか?」と自問自答し、かたくなに他からの干渉を拒絶する。その姿勢は解決するのにどうしても誰かの助けが必要となるまで守り続けられる。他人から力を借りるのは自分の弱さや無能さを自分でさらけ出すことだと認識しているからである。
男が話しを聞かずに解決策を提示しようとする理由
男が自分の悩みや困りごとを口にするときは、自分では完全に手詰まりでどうすることもできず、目標を達成するために不可欠な知識や知恵を得たいと思っているときに他ならない。
その時になって、男は自分が尊敬できる相手を探し出し、そこで初めて自分の抱えている問題を打明ける。
つまり、男性が問題に関して話をするということとは、解決策を求めているということである。
そして、相談された側は、相談されたことを名誉だと感じ、的確な解決策を提示することで自らの有能さを証明する。相手のことを大事に思っているほど、より早くより端的な解決策を提示しようとする。
それゆえ、自分の大切にしている女性が悩みや問題について話をすると、男性は本能的に解決策を提示しようとうする。反射的に専門的なアドバイスを求められているのだと勘違いしてしまう。
これが最愛の女性に対する男なりの愛情表現である。自分なりに心底から女性の問題を解決してあげ、いい気分にしてあげたいと思っている。何とか役に立ちたいと望んでいる。そうすることが相手にとっての自分の価値を高め、愛情を深くしていくのだと信じている。
このため、もしアドバイスをしたにもかかわらず、依然として落ち込んだ様子を見せていると、男は自分の提示した解決策が拒絶されたと感じ、自分が相手にとって役立たずな人間であると失望し、もはや女性の話に真剣に耳を傾けることはなくなる。
男には、相手の話にただ単に親身になって聞いてあげ、一緒になって悩んだり考えたりしながら感情的な側面から支えになってあげようという発想は一切ない。無理もない。それが男であるということだ。
つまり、女性は、男性が決してあなたに対して悪意を持って話を遮り解決策を押し付けているのではなく、愛情を注ぎ込もうとしているということを理解することがある。
男と女の性質まとめ
男と女の性質のマニュアルを改めて眺めてみて衝撃を受けた人も少なくないはず。
男と女の価値観は根本的に違う。それゆえ、同じ価値観や基準を相手に求めることは夫婦円満から遠ざかり夫婦喧嘩を生む原因になる。
まずは、相手に自分の価値観を求めることをやめ、相手の価値観を理解し、妥協し、拒絶しないことから始める必要がある。
それができてからようやく次のステップとして、相手を受け入れ、相手の価値観に合った行動ができるよう訓練していく必要がある。
夫婦円満というのはジャンボジェットの操縦と同じぐらい複雑で未知で訓練を要するもの。
これが男の根本的な性質。抜粋してまとめただけでも13箇条もあるため、これを理解するには相応の時間と努力が必要になる。
この性質ゆえ、男性が女性の話をさえぎり解決策を提示するのは、最愛の女性に対する男なりの愛情表現であり、自分なりに心底から女性の問題を解決してあげ、いい気分にしてあげたいと思っている。何とか役に立ちたいと望んでいる。そうすることが相手にとっての自分の価値を高め、愛情を深くしていくのだと誤解し、結果、自分の解決策が受け入れられなかったことを知ると関係性を拒絶する。
これが女の根本的な性質。抜粋してまとめただけでも13箇条もあるため、これを理解するには相応の時間と努力が必要になる。
この性質ゆえ、女性たちは、他人に助けの手を差し伸べ助言や忠告することに何の悪気も感じていないし、誰かに助けを求めることも決して自分の弱さをさらけ出す行為だと感じていない。最愛の男性をいっそう成長させようとするために自分の助けが不可欠だと誤解したまま、より深い愛情を注ぎ込もうとする。自分の愛情に満ちた思いやりの助言が、相手を侮辱しているとは思いもよらない。
13箇条だと多いので、図にしてまとめると以下のようになる。
円満な夫婦関係を築こうと思ったら、まずは自分が重要だと思っていることが相手にとっては興味がないことを知り、それを相手に押し付けないことが第一歩となる。
そして、相手の価値観に理解を示すよう訓練することが必要となる。
参考
この内容は、ジョン・グレイ先生の著書「ベスト・パートナーになるために」の一部抜粋と要約です。本書にはよりわかりやすい解説や興味深い事例が載っているので、もし興味を持たれた方がいれば実際に手にとって読んでみることをお勧めします。