子供や学生、社員などモチベーションを保った状態で取り組んでほしい場面は少なくありません。
そういった人たちのモチベーションを上げるときにしてもモノやお金で釣っていることは少なくありません。お小遣いや仕事やアルバイトの給与はまさにお金で釣っている状態です。
ですが、モノやお金でモチベーションを上げると、その人が自発的に「やりたい」と思うモチベーションが弱まることがわかっています。
また、お金やモノで釣ると、それがなく無くなった途端にモチベーションが下がるという弊害をもたらします。
ここではモノやお金で釣ることなく、人のモチベーションを上げる方法について解説しています。
モチベーションをアップする2つの手順
人のモチベーションをアップするには大きく2段階のフェーズが必要となります。
- 不安や不満をすべて吐き出してもらう
- 承認する・褒める
不安や不満をすべて吐き出してもらう
モチベーションをアップするためにまずは「不安や不満をすべて吐き出してもらう」必要があります。
永遠と繰り返されれるマインドトーク
人が持つ性質の一つにマインドトークがあります。マインドトークとはポジティブやネガティブに関わらず自分の中で自動的に発生する対話のことです。
この対話には特性があります。それは、吐き出さない限り自分の中でずっとグルグルと回り続けるということです。
不安や不満などのネガティブな感情を抱いている人は、自分の中でネガティブな会話が繰り返されている状態です。
ネガティブな対話にエネルギーと時間が奪われて集中することができず、やる気を出すこともできません。
ネガティブなマインドトークの例
例えば、お客さんに対して「あの言葉失礼だったかな」という感情を抱くと、一時的に「いや、大丈夫だろう」と思っても、「そうはいっても」といってグルグルと不安が回り続けます。
自分の内側の対話の中で納得したり、忘れたとしてもまた復活してくるのがマインドトークの特徴です。
吐き出せばなくなる
しつこく強力なマインドトークですが、一度外に出してしまえばこれまでの不安や心配がウソのようになくなります。
このためモチベーションを出して欲しい人がいたら、まずは不安や不満をすべて吐き出してもらうまで「聞ききる」ということが重要です。
共感が全て。説得はNG
このため、相手との会話でやるべきことは共感一択です。
相手が全て打ち明けられるように、その人の考えを決して否定せず「受け入れてもらえる」という環境を整えることです。
説得しようとしたりアドバイスすることは、相手の負のマインドトークを終わらせる邪魔をします。
「ひたすら共感して、出し切るまで、聞ききる」のみです。
そして人は、自分の内側の感情を全て聞ききってくれた人を信頼します。
それを「よかれ」と思ってアドバイスして中断させることは、相手に「この人は私の感情を受け入れてくれない」と感じさせ壁を作ります。
承認する・褒める
相手の負の感情が全てで切ったら、次にすることは「承認する」「褒める」です。
達成を認める
モチベーションに関する研究で、モチベーションを上げるには「達成すること」と「達成が認められること」の2つの条件が必要なことが分かっています。
この「達成が認められる」というのが「承認する」「褒める」に当たります。
「承認する」と「褒める」の違い
「承認する」と「褒める」には明確な違いがあります。「褒める」は気恥ずかしいしハードルが高いと言う人も「承認する」は比較的簡単にできます。
承認するとは?
「承認する」とは事実であると認めることです。
例えば、電話を素早くワンコールでとった社員に「電話ワンコールでとったね」と言ったり、片付けをした子供に「片付けできたね」と言う事です。
事実を繰り返しているだけですが、心理的にはこれが絶大な効果を発揮します。
なお「ダメじゃん」という否定的な事実ばかりを言う人(揚げ足をとる人)がいますが、こういう人は相手のやる気や自己肯定感を下げるので、組織にはいない方がいいです。
そうではなく、ポジティブな事実をそのまま言うことが相手のモチベーションを上げます。
褒めるとは?
「褒める」とは相手を良く言うことです。「すごい」や「いいね」「やるじゃん」というのが褒めるです。
ちょっとしたことでも「いいね」と言われると、自分の行動が承認されたと認識でき、それがモチベーションアップにつながります。
「いいね」は減るものではないので、Twitterの「いいね」ボタンぐらい気軽に連発するべきです。
最強の褒め方「間接褒め」
間接褒めとは?
人のモチベーションを上げる最強の方法に「間接褒め」があります。
間接褒めとは、例えばAさんに「Bさん最近、貢献できていますか?」と褒める情報を聞き出します。
そしてそのことをBさん本人に「Aさんが、Bさんのこと〇〇が良いって褒めてたよ」と言って伝えることです。
人を特定せずとも「最近、チーム内でいいと思う人いる?」と聞いて、それをその相手に伝える方法もあります。
この間接褒めは3つの点で効果があります。
あなた
あなたはBさんのモチベーションを上げることが目的です。Bさんのいい情報を聞き出して、それをBさんに伝えるとBさんは嬉しくなりモチベーションが上がります。
Bさんとの信頼関係も強まります。
Aさん
Aさんは質問されただけですが、感謝したことを思い返すことで、幸せな気分になります。人には感謝すると脳内で幸福物質 オキシトシンが分泌されるためです。
Bさん
Bさんは「Aさんが褒めてたよ」と伝えられただけですが、まず自分の行動が認められていたという「達成の認知」によりモチベーションが上がります。
自分がいないところで褒めてくれたAさんに好感を抱きます。そして、それを伝えてくれたあなたにも好感を抱きます。
間接褒めは多くの人が幸福感を上げ、モチベーションをアップする最強の褒め方です。
褒める材料は自分から探すもの
「褒める」というとハードルが高いように感じる人もいますが、それは何か褒めることが起こらないか?という待ちの姿勢だからです。
褒める材料は自分から探しに行く必要があります。
最近いいなと思う人いる?
最近、〇〇さん貢献できてる?
といったように、自分から人を褒める情報を集めにいくことで、ようやく褒めることができるようになります。
「最近いいなと思う人いる?」という言葉を口癖にして、人を褒める材料をどん欲に探し回りましょう。
参考
この記事の内容は「シリコンバレー式最強の育て方 人材マネジメントの新しい常識1on1ミーティング」の内容の一部抜粋と要約です。
この本には世界の先端を走るアメリカ シリコンバレーの企業で行われている人事のあり方について実例を交え具体的な方法が多数紹介されています。
興味を持たれた方は手に取ってみることをお勧めします。