優秀で指示を出す人は、指示待ち人間製造機|なぜ諸葛孔明は負けたのか?

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最近に限らず昔からあちこちで「自分で考える人が減った」「指示待ちの人間が多い」という言葉を耳にすることがあります。

優秀で自分自身の考えをもち行動し実績を上げている上司人ほど、こういった不満を抱いています。

しかし、ここには一つの矛盾があります。それはその優秀な上司が指示待ち人間を作っているという事実です。

ここでは、なぜ優秀な上司が指示待ち人間を作るのかについて解説しています。


優秀な人から見た新人

優秀な人は能力もあり、思考も早く、過去に積み上げた実績の量も豊富です。

当然、後から入ってきた新人や、その人ほど成果を上げていない人を見れば、無駄やムラが多く非効率なところばかりが目立ちます

「こうやればいいのに」という思いや、「そうじゃなくてこうするんだよ」という気持ちばかりが芽生えてしまいます


優秀な人が指示待ち人間を作る理由

結果として「あー、もういいよ俺がやるから」と言ったり、「これをこうして、次はこうして、最後にこうやって」というように一から十まで指示をだすことになります。

ですが、自分の力で取り組もうとしていた部下はそのときどんな気持ちになるでしょうか?

部下の気持ち

「せっかく自分で考えてやろうとしてたのに、、」
「何から何まで指示されるなら、自分で考えても意味ない」

これが部下の気持ちです。

結果として、考えることや自ら動くことを放棄します。これは当然の結果です。


なぜ諸葛孔明は負けたのか?

横山光輝のマンガ三国志の中で、劉備玄徳率いるチームに歴史的にも有名な諸葛 亮(字な孔明)という超天才軍師がいます。

劉備玄徳は孔明を仲間に引き入れるために、三回も孔明を訪ねてお願いをした「三顧の礼」は有名な諺です。

劉備玄徳がいた頃は優秀な仲間がたくさん集まり、孔明が加わったこともあり順調に勝ち進めていきました。

しかし、劉備玄徳の死後、孔明がそのチームを率いるようになると人材の枯渇が叫ばれるようになりました

というのも孔明は、朝早くに起きて夜遅くまで執務し、どんんか細かい仕事でも部下任せにせず、自分で処理していました

人材を育てるためには、仕事を任せ、思考させ経験を積ませる以外に方法はありません。ですが、孔明は自身が天才過ぎるがゆえに、人材の成長の場を奪ってしまいました

そればかりでなく、孔明の元に行っても一から十まで指示されることがわかっていると、自分の能力を発揮してチームに貢献したり、成果を上げたいと考える有能な人材は自然と集まってこなくなります

こうして、当然の成り行きとして孔明の元には優秀な人材が集まらず、結果として孔明は過労で倒れ、劉備玄徳たちのチームは崩壊することとなりました。

天才軍師と人材を育て、人材を集めるということは全く違うということです。

point
  • 仕事を任せなければ人は育たない。
  • 一から十まで指示されるとわかっていたら、優秀な人は寄ってこない。
  • 素晴らしい戦略を練ることと、人材を集め育てることは全くの別物。


泣いて馬謖を切った愚かさ

孔明が実施したことで有名なことの一つに「泣いて馬謖(ばしょく)を斬る」という諺があります。

孔明の部下のなかでもとびきり優秀とされていた馬謖という人物に、戦略の実行を任せ、指示をしたところ、馬謖がその戦略に従わず自分の考えに沿って行動し、結果として敵に大敗してしまいました。

人材不足に苦しんでいた孔明にとって馬謖をどうするかは悩みどころでした。しかし、軍隊として規律を守ることは絶対だと考えた孔明は泣きながらも馬謖を切ってしまいました。

結果、敵との戦いに負け、優秀な人材を一人失いました

軍隊の規律を守らせるために非常な判断をしたことは決して間違っていません。

孫子の兵法で有名な孫氏は自分の実力を疑った王に対して、私は王室の女性たちを訓練することができますと言い、女性たちに支持を出しました。しかし女性たちはへらへらして従いませんでした。

そこで、命令に従わない女性のリーダー格二人を処刑しました。結果として残りの女性たちはきびきびと命令に従うようになりました。

孔明の問題は馬謖の心理を理解していなかったことです。

人には自分を一人の個として主張し存在を認めて欲しいと思う心があります。特に優秀な人ほどその思いは強いものです。

そういった人に命令や指示ばかりすると、心の中で「俺だってそのくらいできる」「俺に任せてくれ」といった反感が生まれます

結果として、馬謖は自分の実力を見せて一人の参謀として認めてもらおうとして、孔明の命令を無視し自分の考えを試しました。

つまり、馬謖が負けるような戦法をとり命令に従わせることができなかったのは孔明の責任ということです。

point

孔明の周りに人材がいなかったのではなく、孔明に人材を育てる能力がなかった。


孔明はどうすべきだったか?

では、孔明が優秀な人材を集め、馬謖を切らずに更に優秀な人材へと育てるためにはどうするべきだったのでしょうか?

その答えは、「任せられるべきところは任せる」「どういう戦略がいいか聞いてみる」です。

戦略を聞いてみて「そこは違うな」と思ったところがあれば「こういう場合はどうしたらいい?」とその危険性を突くような問題を出してみて、自発的に気づかせることです。

そうすれば、同じ結論にたどり着いたとしても、それは孔明から一方的に押し付けられたことではなんく、自ら考え付いたことになります。

また、そういった思考の問答を繰り返すことで、優秀な人材が育っていきます

point

優秀な人材を集め、優秀な人材を育てる方法のポイントは次の3つです。

  • 極力任せる。
  • どういう戦略がいいか聞いてみる。
  • 質問をして自発的に気づかせる。


参考

この記事の内容は篠原 信さんの「自分の頭で考えて動く部下の育て方」の内容の一部抜粋と要約です。

なぜ指示待ち人間が生まれてしまうのか、どうすると人が自ら動いてくれるのかがたくさんの実例を踏まえてとてもわかりやすく説明されています。

マネージメントなど人を指導する立場にある人は一読しておくべき指南書です。


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