達成率100%が並ぶ目標はインチキ|10%の改善ではなく10倍を目指す(評価制度の重要性)

ビジネス
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企業の中には部署や個人の目標を自分たちで設定するところもでてきています。

そうした場合、多くの人たちが無難に達成できる目標を掲げることがほとんどです。

というのも、目標に対して進捗状況が良ければ上から突っ込まれることはありません。ところが、進捗が目標を下回っていたり、達成できないと「なんで上手くいっていないんだ?」という詰めが始まります。

このため、誰もが無難に達成可能な目標を設定するようになります。

ですが、このような目標設定は意味がありません。意味がないどころかその企業の衰退を加速させます。


10%改善と10倍よくするの違い

仮に、現在の規模や業績が同程度の次の2つの企業があった場合、どちらが将来的に成功するでしょうか?

A社:業績の10%改善を目指す。(110%を目指す)
B社:業績の10倍の成果を目指す。(1000%を目指す)

当然ながら、将来的に大きな成長を手にするのは10倍を目指すB社です。B社にとってA社が掲げる10%改善は目標に到達するための足元の数値でしかありません。

期末の評価で100%達成ばかりが並ぶということは、他のライバル企業と比べてほとんど成長していないということです。

point

大きな目標を掲げる方が、より大きく成長する。


10倍よくするを目指すことからイノベーションが生まれる

現状よりも10倍よくすることは困難を極めます。10%改善と比べてはるかに達成が難しい目標です。

仮に自動車の燃費を改善する場合を考えてみてください。現在の燃費が燃費20㎞/ℓだとしたら、10%改善で22㎞/ℓ、10倍改善だと200km/ℓです。

燃費を10%改善するという目標であれば、既存のシステムや燃焼システムの一部を見直し改善することで達成できるかもしれません。

しかし、燃費を10倍改善しようと思ったら、これまでの方法では不可能です。根本から見直し全く新しい方法を考えなければいけません

point

10倍良くするにはどうしたらいいか?を考えるからイノベーションが生まれる。


達成率100%が並ぶ目標はインチキ

期末の評価で達成率100%が並ぶのは「すごい!」ではなく「インチキ」です。

自分を良く見せて、評価を上げ、給料をもらうために作り出した自作自演でしかありません

そのような目標と達成に価値はありません。

低い達成目標や既にほぼ達成している目標を掲げ100%達成するりも、どこからどう見ても難しい目標を掲げて70%達成する方がよほど価値があります。


評価制度が重要

10倍の目標を掲げてそれを目指すということは口で言うほど簡単ではありません。なぜなら、10倍目標を掲げた場合ほとんどの部署や人々が目標未達に終わるからです。

達成できない目標を掲げると人はやる気をなくします。「こんな目標どう頑張って無理」「どうせ無理なら最初からやらない」という心理が働いてしまうためです。

10倍という高い目標を掲げるときは次のことに注意しなければいけません。

評価制度
  • 達成は極めて難しいが、達成する余地がある。(完全に不可能ではない)
  • 失敗を許容し、挑戦者を評価する。
  • 中間目標を定める。
  • 数値で計測可能。


達成は極めて難しいが、達成する余地がある

最初から目標を投げ出さないためには、その目標に取り組む本人が「達成は極めて難しいが、達成する余地がある」と思えることが大切です。

そう思えるからこそ、挑もうという気持ちが生まれてきます。

最初から「絶対に無理」と思い込んでいたら、モチベーションは生まれません。


失敗を許容し、挑戦者を評価する

不可能のようにように思える目標を追うためには失敗はつきものです。10倍の目標とは、最初からすべてが分かりきっておらず、成功するかどうかもわからないものを追い続けることです。

このため、トライ&エラーは必須です。むしろ、トライ&エラーを何度も何度も繰り返して少しづつわかることが増えていくからこそ、最初は到底無理だと思っていた目標にどんどんと近づいていくことができます

失敗した人を責めたり、評価を下げる文化が会社の中にあると、10倍の目標は誰も達せいできない、飾りの目標になってしまいます。

point

失敗を許容し、勇敢にトライした人を称える文化が必要。


中間目標を定める

心理学の研究で人のやる気は「何か行動をし」「その行動が認めらる」ことで上がることがわかっています。

このため、評価が最終的な10倍の目標しかないと、達成感を得ることができず、やる気がどんどんと下がっていきます

これを解決するのが適切な中間目標です。途中の到達地点があれば、そこを目指しやすくなりますし、着実に前に進んでいるという実感を得ることができます

それを周りが認めることでモチベーションにもつながります

例えば、東京から北海道まで車で行く1日で行くという目標があったときに、その目標だけがある場合はできるのかどうかわからず不安です。

ですが、3時間で水戸市、6時間でいわき市、9時間で仙台市、12時間で盛岡市、15時間で八戸市、18時間で大間町、21時間で函館という中間目標があれば、その目標に沿って進むことができます。

なお、中間目標は1つだけよりも複数個あった方がよりモチベーションアップにつながります

point

中間目標を複数定めることが、モチベーションアップにつながる。


数値で計測可能

設定する目標や中間目標は、達成か否かが「数値で計測可能」であることが重要です。

なぜ重要かといえば、数値で計測できず抽象的な目標は「達成!」と言い張ることができてしまうからです。

「社員の士気を上げる」「コミュニケーション能力を身につける」「顧客満足度を上げる」といった目標を掲げて、期末に「達成しました!」と言って後付けで理由をくっつける方法は、達成率100%を並べるのが得意なインチキ者がよく使う手口です。

「顧客満足度を上げる」という目標は「期初と期末にアンケートを100人に対して実施する」「アンケート結果で95%以上のユーザーが満足だと回答するようにする」といった目標を立てると、その人の期の行動が目標を達成したのかどうかが判断できるようになります。

point

計測可能な目標にすることで、ようやく目標の達成と未達が計測できるようになる。


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