私たちは病気になったり、苦しいと感じる生き物です。
世の中には「どこか痛いこと」「苦しいこと」は当たり前だと考えている人がいます。ですが決してそんなことはありません。
私たち人は「痛いこと」「苦しいこと」がデフォルトとして生まれてきたわけではないからです。
むしろ「痛くないこと」「苦しくないこと」こそがデフォルトです。
つまり「痛い」「苦しい」状態とは、何かがおかしい状態です。体が「今おかしいよ」というのを教えてくれている状態です。
ここでは「痛い」や「苦しい」がなぜ正常でない状態なのか?どうすると「痛くない」「苦しくない」が当たり前になるのかについてまとめています。
健康を前提として生きている
そもそも、私たちは自分たちが、健康であることを当然のこととして生きています。
明日の予定、明後日の予定、1年後の予定、10年後の予定、定年退職後の予定、80歳になったときの予定など、すべて現在と同じく健康な状態があると考えています。
仕事もそうです。予定を入れるときは、その日に自分が健康であることを前提として入れています。自分が健康でなければ約束を果たすことはできません。
家族との予定も同じです。週末にキャンプに行く約束をしたとき、来年海外旅行に行く約束をしたとき、どれも約束の日に子供もパートナーも家族全員が健康であることを前提としています。
だからこそ健康管理はとても重要です。
自分自身の健康管理はもちろんですが、それだけでは不十分です。
社長や上司など部下を持ちスケジュールを管理する立場であれば、従業員の健康管理をすることが大切です。
親であれば、パートナーや子供の健康管理をする必要があります。
2種類の健康|心の健康と体の健康
健康管理といっても具体的に何をすればいいのか?というと、まずは2つの健康を理解する必要があります。
それは「体の健康」と「心の健康」です。
体の健康
体の健康で注意することは「食事」と「睡眠」です。この2つがしっかりと管理できていれば私たちの身体は健康でいることができます。
食事
私たちの身体は食べたものでできています。食べたものから細胞が作られます。細胞は種類によりますが短くて1か月、1年でほぼ全てが入れ替わります。皮膚も骨も血液も内臓もです。
つまり、今のあなたは去年のあなたと違った食べ物で構成され、来年のあなたは今食べているもので構成されていくということです。
医学に関する研究が進み、今ではどんな食べ物をどのように食べれば体に良いかが解明されています。
特に幸運なことに日本は健康食大国で、スーパーに行くと体にいい食品がとても安く手に入ります。
ただし、体に悪い食品もとても簡単に手に入るので知識が必要です。
睡眠
体の健康を管理する上で「食べるもの」の他にとても重要なのが「睡眠」です。
私たちの身体は行動する度に疲労がたまり細胞が古くなり壊れていきます。起きている限り永遠に劣化し続けていきます。
劣化した体を回復させる唯一にして最強の手段が「睡眠」です。
食事と同様、医学に関する研究が進み、今ではどのようにすると睡眠の質が上がり、何時間寝ればいいのかが明らかになっています。
睡眠は夜寝る瞬間に考えればいいわけではなく、睡眠の準備は朝起きた瞬間から始まっています。とはいっても気にすべきポイントはわずかで、習慣化してしまえば特に気にすることなく自動的に質の高い睡眠を得られるようになります。
睡眠が得られないと細胞がどんどんと劣化し、傷つきます。修復不可能になった細胞は異常細胞となり周りの細胞に悪影響を及ぼしていきます。
リンゴが入った樽の中に腐ったリンゴが数個あるだけで、樽全体のリンゴがダメになるようなものです。
なお、睡眠時間については「8時間睡眠は成功のステータス」といわれるほどです。「昨日は〇時間しか寝てない」という寝てない自慢をすることは愚か者という認識が常識になってきているので注意が必要です。
心の健康
健康管理において体の健康と同様に重要なのが「心の健康」です。
心の健康は体の健康と深く結びついているので「食べるもの」「睡眠」がしっかりしていればベースは整います。
ですが、それだけでは足りません。
心の健康を保つために必要な要素は「自然」「安心できる人」「運動」「良い言葉」の4要素が必要です。
人類の歴史
なぜこれらが重要かを理解するには人類の歴史が深くかかわってきます。
人類の祖先が誕生したのは約500年前、人の祖先であるホモ属が誕生したのは約200年前、そして直接的な祖先であるホモサピエンスが誕生したのは約20万年前だと言われています。
1万2千年前までの約500万年は狩猟採集の時代でした。そして、ようやく世界の一部で農耕や牧畜、稲作が始まりました。約200年前に産業革命が起き、20年前にインターネットが普及し始めました。
狩猟採集時代に比べると、産業革命が起こってからの期間が人類史の0.004%、インターネットが普及してからはたったの0.0004%にすぎません。
つまり、私たちヒトにとっての歴史は99.996%(ほぼ100%)は狩猟採集時代です。
このため、私たちの生活環境は激変していますが、私たちの中身は狩猟採集時代のままです。安らぎを感じたり、精神を安定させるものも狩猟採集時代から変わっていないのです。
だからこそ「自然と触れ合うこと」、「家族など周りの人など信頼し安心できる人と接すること」「体を動かすこと」の3つがメンタルに強く作用します。
加えて、「良い言葉を聞く」「良い文章を読む」こともメンタルに大きな影響を及ぼします。
「ダメだ、ダメだ」と否定され続けて心が健康な人はいません。酷く残酷で汚い言葉にばかり触れている人に心が健康な人はいません。
だからこそ、どんな言葉を聞き、どんな文章を読むかがとても大切です。
病は生き方への注意
「体の健康」と「心の健康」に万全の気を使って正しく行動している限り、病になることはありません。
もし病気になったり、気持ちが優れないときは、何か正しくない行動をしているときです。
睡眠時間が足りない、暴飲暴食をした、働きすぎた、悪い言葉にばかり触れている、自然や人と触れ合っていないなど、何かが間違っていることが原因です。
つまり、病気とは私たちの身体が「生き方を注意して」という警告を出してくれている状態です。
耳をそばだてて体と心の声を聞く必要があります。
自分の体と心の声を聞くことはもちろん重要ですが、それだけでは足りません。
同僚、部下、パートナー、子供、両親、お客さんなど、周りにいる人の体と心の声にも耳をそばだてて、健康でいられるようにすることが必要です。
苦は人生への警告
「病は生き方への注意」と似た言葉に「苦は人生への警告」というものがあります。
注意と警告は似た言葉ですが、より強力な意味を持っているのは警告です。つまり、病には注意しなければいけないが、苦にはもっと注意しなければいけないということです。
私たち人は好奇心や自立心、夢、楽しさなど、自分自身の希望を持った生き物です。
どんなに絶望のさなかにあっても希望を捨て去らないことができる生き物です。
それにもかかわらず「苦しい」と感じることは、何かがおかしいということです。
周りの人にはその状況がフィットしているのかもしれませんが、今のあなたには間違っているということです。
病になったときに耳をそばだてるのと同じく、苦を感じたときも耳をそばだてる必要があります。
欲深さと苦しさは比例する
苦しさに関して一つ重大な事実があります。それは「欲深さと苦しさは比例する」ということです。
欲が強ければ強いほど、より強い苦しみを味わうことになります。
「あの人が羨ましい」「自分にはないのに、なぜあの人にはあるんだ」「もっとお金が欲しい」「もっと幸せが欲しい」といったように、他人を羨み、今持っていないモノを欲しがれば欲しがるほど、どんどんと苦しくなっていきます。
欲深さの重大な落とし穴は、手に入れたとしても、それは一時の幸福にしかならないということです。
宝くじで1億円当たった時や、超高級車を購入したときに得られる幸福は平均して3か月しか持続しないことが明らかになっています。
さらに私たちには入手よりも損失があったときに強く痛みを感じる心理があるため、たくさん持っているほど苦を味わうリスクが高まります。
つまり、欲深く生きて、ありとあらゆるものを手に入れたとしても苦しみは永遠に消えないということです。
ちょうどいいを目指す
欲望と苦は比例するからといって何一つ求めず、荒行をこなす僧侶のような生き方をする必要はありません。
「食事」「睡眠」「運動」「自然」「安心できる人」「運動」「良い言葉」「良い文章」これらは体と心の健康を保つために必要なものです。
これらが、自分にとって「ちょうどいい」ところを目指すのが重要です。
ぜひ次の質問を自分に投げかけてみてください。
何かが不足していたり過剰であれば、病気になったり苦を感じます。ちょうどよければ、病気になることも、苦しくなることもありません。
世の中には病気や苦しいが当たり前だと思い込んでいる人がいますが、決してそんなことはないのです。
あなたの周りにはそういう人が多いのかもしれませんが、他のところに目を向けると、痛くない、苦しくないを当たり前としている人がたくさんいます。
環境を変え、自分自身を変えれば必ずそこにたどり着けます。類は友を呼ぶものです。
あれこれ欲しがったり、不平不満を嘆くのではなく「このぐらいが、ちょうどいい」を探し、口癖にすれば、嵐のように巻き起こっていた病気や苦が、嵐が去ったように収まります。