まったく異なる環境で育った二人が一つ屋根の下で暮らし始めると、最初はラブラブで円満な日々を送っていても、時間が経つごとにマンネリ化してきます。
そして、子供が生まれてからというものは、妻の体の変化や疲労によりストレスが溜まり、小言の数が大幅に増加します。
妻をサポートしたいと思っている男性でも「これだけやっているのにまだ小言を言われるか」と思うことが頻繁にあることでしょう。
例えば、負担を楽にしようと思って食器を洗うと、褒められ感謝されるどころか「汚れがついている。仕事を増やさないで」と言われます。
洗濯物を回そうとすると「私のやり方があるから勝手にやらないで」と怒られます。
いちいちうるさいし、細かいし、自分で自分の仕事を増やして「毎日たいへん」と言うなんてバカなんじゃないか?と思う人すらいるでしょう。
夫のストレスの発端は妻の小言ですが、妻が小言を言うのは、女性の脳の仕組み上どうしようもない本能です。
この事実を理解し上手に向き合っていかないと、男性は「妻はいつも小言ばかり言っている」と生涯言い続けることになります。
女性の脳の仕組み
女性の脳には男性と異なる次の2つの仕組みがあります。
これは、子供を産み育てるという難しい役割を担う女性ならではの傾向です。
物事を3倍連続的に考える
男性と女性の脳の決定的な違いは、女性は男性に比べて「物事を約3倍連続的に考える」ことです。
女性は何か一つの行動をだけをするということはありません。何かをすれば、”ついでに”あれもこれも連続でやろうとします。
例えば、トイレに行くのでも、「トイレに行くついでにテーブルの上のものを台所に持って行って、台所のものを食器棚にしまって、トイレの帰りに洗面台からあれを持ってきて」というように、一つの行動に対して、多くの行動を連続的にやろうとします。
たった一つの行動から想起される行動が多いということです。
一方、男性がトイレに行く場合は「トイレに行く、出す、戻る」だけです。男性の脳はあれもこれも考えることに優れていないため、女性と同じように考えようとすると非常に強いストレスを感じます。
つまり、女性の脳は男性からすると特別ということです。
このため、男性が「そのぐらいいいじゃん」「そんなの大したことないじゃん」と思う事でも、女性は様々なことを自動的に連想し「全然だめ」という烙印をおしてしまいます。
夫は洗った食器に少し汚れがついていたり、ギトギトが残っていても「食器洗いというタスクを果たした」と考えます。
ところが妻は「この汚れがあったら、食器をしまうときに他の食器にもつくし、次回料理するときにまたこの汚れを見ることになる。不衛生だし、決して許せるものではない」と考えます。
男性は「そんなにあれこれ考えなきゃいいのに」「それでしんどいのは自業自得」と思うかもしれませんが、女性があれこれ考えてしまうのは、良い悪いではなく、そういうものなのです。
こだわりが強いわけでも、ネチネチうるさいわけでも、いちいち細かく気にしすぎるわけでもなく、そういうも性質なのです。
リスク回避を重視する
女性の2つ目の傾向は「リスク回避を重視する」ことです。
これは子供を産み育てる女性ならではです。
ヒトという種族の究極の目的は「子孫を残すこと」です。このため、女性の本能は体内にいる赤ちゃんを守り、生まれた赤ちゃんをきちんと育てることを最優先として考えるようにできています。
仮に、床にちょっとしたモノが置いてあるとします。男性からすると、これでつまづくことはないし、怪我する可能性もほとんどない。いますぐにどける必要もない取るに足らないものです。
ところが、女性はリスク回避の本能が反応して「危ない」と感じます。その結果「なんでこんなところに置くの」「床にものを置かないで」という言葉が無意識に飛び出てきます。
トイレの蓋が上げっぱなしだと「落ちたらどうするの」という感情が自動で湧き「ちゃんとしめて」という小言として出てきます。
お皿に汚れがついていれば「不衛生」という感情が自動で湧き、「きちんと洗って」という小言として出てきます。
夫がすべきは「ねぎらい」
男性の3倍連続的に物事を考え、リスク回避を重視する女性とは、そもそも考え方が合わないので「こちらが何をやっても無意味」「手伝うだけムダ」「関わらないのが一番いい」と思うかもしれません。ですがそれは、あまりにも短絡的で間違った見解です。
あれこれと考え家事や育児をこなしている妻にするべきことがあります。それは「ねぎらい」です。
「ねぎらい」とは、「相手の努力や骨折りに対して感謝の意を表すこと」です。
女性は脳の仕組み上、こちらが望む望まざるとに関わらず、あれこれと骨折りの努力をしています。
それを「余計な事ばかりして」と批判するのではなく、「いつも大変なのに、こんなに細かくやってくれてありがとう」「おかげで家の中がとても片付いているよ」と伝えます。
妻はこの言葉だけでかなり救われるものです。
なぜなら、妻は自分のやっている様々なことを、旦那に全てやってほしいとは思っていません。あくまでやっているのは自発的なものです。だからこそ、それを認めてあげるのが重要です。
決して「余計なことばかりしている」という態度で接してはいけません。
ねぎらいは「たまに」でいい
ねぎらいは毎回毎回言っていると、どうしても嘘くさくなってしまいます。
妻がひとたび「嘘くさい」と感じた時点で、ねぎらいの効果はなくなります。それどころか「こいつとりあえず褒めとけばいいだろうと思ってない?」という疑惑の念がわきます。
そして「表面上だけ褒めてないで、お前がやれよ」という感情につながってしまいます。
このため、ねぎらいの言葉をかけるのは「心から言っていることが伝わるように」たまにでいいのです。
小言がゼロになることはない
夫が覚えておくべき重要なことがあります。それは「どれだ心から感謝の言葉を述べたところで、小言がゼロになることはない」ということです。
女性が日々の生活の中で「やらなければ」「リスクを回避しなければ」と思っていることは数限りなくあります。その中で膨大な数の小言が生まれています。
ねぎらいのパワーは、今までの小言を100とすると、それが70になることです。
「〇〇やってくれてありがとう」と言えば、妻はうれしさを感じもしますが、同時に「あなたは知らないかもしれないけど、〇〇も〇〇もやっているのよ」と機関銃が返ってきます。それも承知の上で感謝を伝えることが大切です。
決してゼロにはなりませんが、あなたの生活の質が改善することは間違いありません。
妻のルールを尊重する
夫からすると、脳の仕組み上しょうがないとはいえ、妻の行っている行動がとても非合理に見えてしょうがないことがあります。
また、些細でやらなくてもいいことを、やっていることや、それをこちらに押し付けられることに対して、相当なストレスや怒りを感じることも少なくありません。
そうしたときは「非合理、非効率」と考えるのではなく「妻は家庭内で起こるかもしれない事故を、無意識のうちに防ごうとしているのだ」と考える必要があります。
そして、妻のルールを尊重するようにしましょう。
家庭の中は妻のテリトリーであることを理解し、安全安心な環境にしプライベートを充実させる方が、自分の人生にとっても、仕事でパフォーマンスを挙げる上でも合理的なことは言うまでもありません。
些細なことで妻のストレスを煽り怒りを買って、余計な対立を生み出すことほど非合理で非効率なことはありません。
自ら手伝いを申し出る
「妻は家庭内で起こるかもしれない事故を、無意識のうちに防ごうと努力してくれている」ということを理解し感謝する以外に、夫がやるべきことは「自ら手伝いを申し出る」ことです。
「いつもありがとう。僕にも何か手伝えることはある?」と聞くことで、妻の行動に感謝しているし、自分も何か役立ちたいと思っていることを伝える必要があります。
大げさにおちゃめに謝る
妻から言われたおねがいをつい忘れてしまうということもあるでしょう。そうしたときにやってはいけないのは、「逆切れ」「理由の説明」です。
「こっちだって忙しいんだ」と逆切れすることは妻のサポートをするどころか苛立ちと不信感を爆発させます。
また「今日は仕事で忙しくて」と理由を説明することも効果をなしません。妻からすれば「約束を破った」ということに変わりがないからです。
夫ができることは謝罪のみです。謝罪方法で一番いいのは「大げさに、おちゃめに謝る」ことです。
妻に「あなた〇〇忘れたでしょ」と言われたら、「あー!あちゃー!そうだった。完全に忘れてた!がっくり、、、」と言います。
すると妻の怒る気が和らぎ「もーしょうがないな。次回はちゃんとやってよ」と言ってことが収束します。