自分の思い通りに事を運ぶには、部下や同僚に率先して仕事をやってもらったり、お客さんに契約をしてもらったりと、周りの人に自分が思う方向へと動いてもらう必要があります。
そして、そういった人を動かすためには、人をほめることが重要だということを耳にすることは多いと思います。感覚的にも人をほめることは良いことだということも理解している人がほとんどです。
ですが、実際に世の中を見渡してみると、ほめている人はとても少ないです。それは、自分が今日誰かをほめたか?や、自分は今日誰かにほめられたか?を考えればわかると思います。
ほめることがいいことだと言いながら、ほめないことがデフォルトの世の中なのです。
その理由は、「ほめる」ことを学校や家で教わっていないためです。だから、ほめ方を知らない人がほとんどなのです。
そして、そういった教育やメディアなどの影響で「媚びを売ることはカッコ悪い」「ゴマを擦って生きるなんてダサい」「私はウソついてヘコヘコしてまで生きていきたくない」と思っている人がいますが、実は「媚びをるうことはカッコいい」ことです。
ここでは、媚びを売ることがカッコいい理由や、人をほめる方法を実例を踏まえてわかりやすく解説しています。
最高のほめ言葉(三種の神器)
まずは、人をほめるときに、絶対に口にするべき3つの言葉です。いわゆる、ほめる世界の三種の神器です。それは、
- 「天才」
- 「頭いい」
- 「成功する」
です。これらの言葉は、相手に喜びを与えるができます。
喜びを与えるとともに、「私って価値があるんだ」「私って生きてていいんだ」「私っていまのままでいいんだ」と相手が思える、自己肯定感を与えるメッセージでもあります。
誰もが、「天才」「頭いい」「成功する」と言われたがっています。そして、人は「天才」「頭いい」「成功する」と言ってくれた人のことを覚えていて、ひいきにする性質を持っています。
つまり、相手に「天才」「頭いい」「成功する」という言葉をかけることは、自分にとっても相手にとってもプラスの影響を生み出すのです。
3種の神器が響く理由
なぜ、この3つの言葉がこれほどまでに人に響くのかというと、世の中の多くの人は、3種の神器と真逆のことを言われ続けているからです。
そんなマイナスの言葉ばかりをかけられて育っています。
今の世の中がそんな状況だからこそ、人は「天才」「頭いい」「成功する」という言葉に飢えています。
この言葉をどんどん言っていきましょう。
理解できない行動に使う
「天才」「頭がいい」「成功する」は、相手が本当に天才だったり、頭がいいときにだけ使う必要はありません。
自分にちょっと理解できないような行動や発言があったときに、「天才」「頭がいい」「成功する」がベストマッチして使えます。
一般的には自分が理解できないことがあると、「え、わけわかんない」「変なの」「おかしい」「キモイ」と言いがちですが、これらはマイナスです。
ここで、「天才」「頭がいい」「成功する」を使うと、そのシチュエーションをプラスに変えることができます。
理解できない行動への実用例
相手「私、夜寝る直前にオムライス食べるんだよね」
自分「えー、天才じゃない!そんなことあるんだ!?」
相手「歯を磨いた後にオムライスを食べるんだ」
自分「えー、マジで天才!そんなこと思いつきもしなかった」
相手「しかも、ベットの上で布団をかぶった状態で」
自分「そんなことできるんだ!?天才!すごいね!今度動画撮って見せてよ。自慢しちゃお」
相手「食べた後は秒で寝るんだ」
自分「マジ!?あなたは絶対に成功するわ(しみじみ)」
「頭がいい」は勉強ができない人にも使える
「頭がいい」というのは、勉強ができたり、成績がいい人に使うのが一般的ですが、実は、勉強ができなくて学校の成績が悪い人にも使うことができます。
勉強ができない人への実用例
自分「頭いいですね」
相手「いや成績悪いから」「勉強大したことないから」
自分「いや、学校の成績とか関係ないですよ。本当の頭のよさってそういうところじゃないと思うんですよ」
自分「そういう頭のよさを僕/私はあなたに感じたんです。」
失敗に対して使う
3種の神器は自分が理解できない行動以外に失敗に対しても使うことができます。
自分「どうしたの浮かない顔して」
相手「いや、仕事で締め切りを忘れてて、上司にめちゃめちゃ切れられたんですよ。お前舐めてんのかよ?二度目だぞ!って、、」
自分「えー、それは、、大物だね。俺/私だったらビビッて震えちゃうよ。会社休みたいと思っちゃう。辞めることを考えちゃうかも。」
自分「それなのに、明るくいや~って言って、お昼大盛り食べるとかホント大物だわ」
自分「しかも、それを2回も、、絶対成功すると思う。」
このように、どれだけミスっている人に対しても、「大物だよ。絶対に成功するよ」と言うことができます。
理解できる行動に使っても意味がない
「天才」「頭いい」「成功する」は、自分が理解できない行動につかうからこそ意味をなすものです。
むしろ、本当に天才で頭がいい行動や人、発言に対して言っても、ほとんど効果を発揮しません。「そうでだよね」となって終わりです。
例えば、東大の首席で、在学中に司法試験に合格して、飛び級してスタンフォード大学院に行った人に「天才ですね!頭いいですね!あなたは絶対に成功する」と言っても、まったく響きません。
なぜなら、あなたがそれを言わなくても、その人が天才で、頭がよくて、絶対に成功することが目に見えているからです。
「天才」「頭いい」「成功する」は見るからに天才でなくて、頭がそこまでよくなくて、成功しそうに見えない人に使うからこそ、絶大な効果を発揮するのです。
堂々とほめる
ほめるときに大切なのは、堂々とほめることです。根拠があろうがなかろうが、本当はそう思っていなかろうが、堂々と言い切ることです。
逆に、言い切らないと、相手に喜びを与えるどころか、不快を与えてしまいます。
NG例1
「あなた天才だよ」
「本当ですか?」
「えっ、、、」
NG例2
「あなた絶対に成功するよ」
「本気で言ってます?」
「うーん、、、」
NG例3
「料理上手だね!」
「どれが美味しかった?」
「えーと、、、」
言葉に詰まる、つまり、堂々としていないのはダメです。「本当?」と聞かれたら「本当だよ」。「本気?」と聞かれたら「本気だよ」。「どれが美味しい?」と聞かれたら「全部」と答える。これを堂々と言い切る。それが正解です。
「媚びを売る人はカッコ悪い」は勘違い
理解できない行動や、相手の失敗すらもほめると言うと、「思ってもいないことを言って」「嘘つき」「汚いヤツ」「媚びへつらってプライドのないヤツだ」と思う人もいます。そして、
「媚びない俺/私の方がカッコいい」
「誰かにゴマを擦って生きるなんてダサい」
「そんなことまでして評価して欲しいと思わない」
「そうやって稼いだお金なんかいらない」
という人たちがいます。ですが、それは本質を完全に誤解しています。
よくある勘違いは、世の中の9割が媚びたりヘコヘコしている人たちで、ゴマを擦らず自分の意地を通して生きていける人は1割にも満たないというものです。
ですが現実は、世の中の9割は媚びない人たちです。「媚びない俺/私の方がカッコいい」「俺/私、嘘はつきたくない」と考えて、媚びずほめない人がほとんどです。
逆に、ちゃんと人をほめることができる人というのは1%にも満たないぐらい少ないです。
世の中を見渡せば、俺が/私がと言ってマウンティングしてくる人の方が圧倒的に多く、逆マウンティングして下へ下へと深く潜れるひとはほんのわずかです。
人をほめることができる人は救世主と言っても過言ではありません。
宮崎駿の最高傑作の1つジブリのナウシカの世界における、ナウシカぐらい稀有な存在です。
「姫様は私のゴツゴツした手を愛おしい手だと言ってくださる」と言わしめる存在です。
「ゴツゴツして汚らしい手」と言ったり思ったりする人の方が大半なのです。そこで、「この手はとても誇らしいわ」と言える人が今の世の中に求められている人材なのです。
つまり、思っていなくても相手をほめられる人というのは、人に媚びへつらうプライドのない汚らしいヤツではなく、ナウシカをやっているということです。
そして、最初は心からそう思えなかったとしても、続けているうちに、周りの人がなかなか気づかないいいところに気づけるようになったり、心から、相手のことをほめられるようになっていくものです。
まずは、ほめる言葉を口に出す練習をして、それを地道に積み重ねていくことが大切です。
ほめのバリエーション
ここまでで、「天才」「頭いい」「成功する」という3種の神器と、それを実行するための心構えを紹介しました。
もうあなたは、全力で相手をほめるマインドが備わっているはずです。
ここでは、それを更に効果的に使うための2つの方法を紹介します。
- ギャップほめ
- 共感逆マウンティング
ギャップほめ
態度とほめ言葉にギャップをつける技です。いわゆる、ツンデレのことです。
「怒られそうだな、、」「ダメ出しされそう、、」「納得してないな、、」という雰囲気を相手に与えておいて、ほめることでギャップを生み出します。
これまでの3種の神器は言葉単体でほめるものでしたが、一言、前置きで環境を作り出してからその3種の神器を使います。
ギャップほめの例は次のようなものがあります。
新しい企画書を上司に見せたとき
ダメだしや怒られそうな雰囲気を与えつつほめるというギャップを作り出す例です。
上司「おい、新しい企画書持ってきたんだってな。見せてみろよ」
相手「は、はい、わかりました」
上司「ふーん。(つまらなそうにパラパラめくる)」
上司「お前なぁ、、、天才かよ」
ほめる言葉は、「お前、、、頭いいんだな」などもあります。
怒られそうな雰囲気で呼び出されたとき
怒りそうな雰囲気で呼び出しておいて、ほめるというギャップを作り出す例です。
上司「ちょっと、こっちきて(神経質に怒鳴り気味で)」
相手「〇〇さんさぁ、今日かっこよくない?」
女性に対してであれば、「〇〇さんさぁ、、、今日きれいじゃない?」などです。
共感逆マウンティング
共感とは、「それ、わかります!」「僕/私もそうです」という感情を示すことです。
マウンティングとは、「いや、俺/私の方が〇〇だし」相手の上にいこうとすることです。逆マウンティングとは「いや、俺/私なんて〇〇です」と相手の下にいこうとすることです。
つまり、共感した上で、「いや、俺/私なんて全然〇〇です」と下へ下へと行くテクニックです。
よくあるのが、僕/私もやってるんです。からの、でも全然ダメダメなんですという潜り方です。
より地中深くまで潜って、相手を上に見上げることができれば成功です。逆に、相手と同じ目線にいたり、相手が下からこちらを見上げている場合は失敗です。
ゴルフが得意な人に対して
「ゴルフお好きなんですね!僕もゴルフやったことあるんですよ(共感)」
「でも、全然うまくいかなかったんですよ、ちょっと教えてくれませんか?(逆マウンティング)」
ロレックスを持っている人に対して
「えーロレックスじゃないですか!?いいなー、俺/私も好きなんですよ」
「一度欲しくて、お店に買いに行ったんですけど、ビビっちゃって買えなかったんですよ」
「うわー、いいなー、ちょっと見せてくれませんか?」
あなたができることを自分はできなかったという逆マウントをとります。そして、可能な限り更に地中へと潜り続けていきます。
釣りが趣味の人に対して
「えー釣りやるんですか?僕/私も昔、父親に連れて行ってもらったことがあるんですよ。楽しかったなー」
「でも、全然上手く釣れなくて、、だから釣りが上手にできる人尊敬するんですよ」
「ちょっと、お話聞かせてくれませんか。」
楽しかったという共感から、「自分はうまく釣れなかった」>「できる人を尊敬する」>「お話聞かせてください」と3段階地中に潜っています。
やってはいけないこと(ダメな例)
「逆」がつかない、共感マウンティングは相手を嫌な気持ちにさせる確実な方法です。「俺/私も〇〇だよ」から、相手の上に行こうとしてはいけません。
NG例1:不幸自慢マウンティング
相手がツライかった思いを語ろうとしているときに、俺/私の方がもっとツライとマウンティングして上に立つパターンです。
「私さ、仕事で大変なことがあってさ、、」
「俺も/私も仕事で大変でさ。でも、そんな甘いもんじゃなかったよ。もっとヤバかったね」
「そ、そうなんだ、、」
相手の話す機会を奪うとともに、暗に「あなたの経験なんて大したことじゃない」という否定をしています。
自分が自分がという発言によって、相手が最終的に感じる感情は「俺/私なんて大したことない」です。
NG例2:ブランド自慢マウンティング
相手が気に入ったものを手に入れてウキウキ嬉しくて共有しようとしているときに、俺/私の方がもっといいもの持っているとマウンティングして上に立つパターンです。
「私さ、今〇〇にハマってて2つも買っちゃった!」
「えーホントに!?俺も/私も大好きで、5つも持ってるよ。しかも、限定でレアで今では絶対に手に入らないものもあるよ」
「へぇ、、そうなんだ、、」
相手の話す機会を奪うとともに、暗に「あなたの持っているものは大したことじゃない」という否定をしています。
自分が自分がという発言によって、相手が最終的に感じる感情は「俺/私のなんて大したことない」です。
NG例3:本当の価値を知ってるマウンティング
相手が持っている高級なものを見て、私は本当の価値をしってるよと言ってけなし、自分が上に立とうとするマウンティングです。
「へえーベンツですか。なんか、高いから、乗る時に気を使って疲れそう」
「へえーポルシェですか。なんか、中狭いし乗りにくそうですね」
「へえーロレックスですか。なんか、成金みたいですね」
「俺/私、ロレックス興味ないわ。アップルウォッチでよくない?」
「へえーシャネルですか。なんか、ブランド好きって感じですね」
相手が好きで買ったものを見て、「あなたは本当の価値をわかっていないですね」「使いづらそう」「自慢気で嫌」「私ならいらない」という否定のメッセージを伝えています。
NG例4:別のものが好きマウンティング
相手が何かを好きや興味あると言ったときに、俺/私は別のものの方がいいなと言って、相手がいいなと思っているものを、暗に切り捨て、自分が上に立とうとするマウンティングです。
「私〇〇が好きなんだ」
「ふーん。俺/私は△△の方が好きだけどな」
商売の本質は人を喜ばせることです。そして、たくさんの人を喜ばせた、喜ばせ合戦の勝者が成功者です。
ここでのNG例は、「相手のために」という思いが一切なく、「自分が自分が」という発言ばかりです。こういった発言を繰り返していれば、成功することはありません。
逆に、成功したくなく、失敗した人生を歩みたいんだ!という人はマウンティングをやり続ければ達成することができます。
まとめ
実は、ほめることをしなくても生きていけるのが世の中です。ほめるとは必要不可欠なものではなく、なくてもいいものなのです。
このため、日本の教育は学校でも家でも、ほめるということをあまりしません。真剣に、ほめ方やほめることの重要性を教えてくれる場はほとんどありません。
だからこそ、意識的に相手をほめることで、プラス価値を生み出すことができます。
みんなほめられることに飢えています。
相手に喜びを与えることができる最高のほめ言葉「天才」「頭いい」「成功する」をフル活用して、ぜひ、周りの人に喜びをたくさん与えてあげてください。
媚びることはカッコ悪いのではなく、「媚びることはカッコいい。媚びないことはカッコ悪い」です。
商売の本質は人を喜ばせること。そして成功者とは喜ばせ合戦で勝利した、もっとも人を喜ばせた人たちです。
あなたが、成功と幸せを手にすることを心より願っています。