人が自分らしく充実した人生を生きるためには「5つの自己」が必要といわれています。
まずは自分の価値観、信念、強み、弱みを認識し、自分自身を受け入れる「自己認識」。
自分を認識することができたら、自分の意志を周りに伝える「自己開示」。
自分の生きざまをより強く訴えかけたり行動で示すことが「自己表現」。
自分が思い描いている欲求を実現させるのが「自己実現」。
自分にはできるんだと自信を持っている状態が「自己効力感」。
自分を理解し、周囲に対して心を開き、自分の価値観や信念に沿って行動し、物事を達成していく、その結果自信が得られるという流れです。
5つの自己は自分らしい幸せな人生を送るためにとても重要ですが、残念ながら多くの人が一番最初の「自己認識」を失敗しています。
本来の自分を受け入れることができず、周囲からの期待やお金や地位、資産といった自分の外にある尺度で自分を合わせ込もうとしてしまいます。
結果として、自己認識が間違った状態で、自己開示、自己表現が行われ、それらの努力を伴う行動の結果手にしたものが、本当に心から自分が求めているものとは違う、、というギャップに苛まれている人が実に多くいます。
勉強を一生懸命頑張ってきたのに、仕事を一生懸命頑張ってきたのに、家族のために尽くしてきたのにといった言葉はよく耳にするものです。
ですが、勉強を頑張ったのは自分が心の底からやりたかったからでしょうか?
そうではなく、親に強制されたり、「勉強ができないと将来いい仕事につけないよ」と脅されたり、周りに凄いと思われたいといった、自分を良く見せようとする欲求などが影響しているのではないでしょうか?
あなたが本当にやりたかったことは目の前にあったやらなければいけない勉強ではなく、もっと他のことだったのではないでしょうか?
これは勉強だけでなく、仕事選びや住む場所、スポーツやつるむ人、パートナー選びでも当てはまります。
このように自己認識ができていないと、その行動の結果得られるものは当然、自己実現してくれるものではなく、歪んだ結果になってしまうのも仕方ありません。
自己認識が大切と言われても、どう自己認識していいのかわからない。という人は少なくありません。
自己認識をするには価値観や信念を問うような質問を自分に問いかけたり、誰かに質問をしてもらうのが効果的です。
「仕事を通じて何を得たいと思っていますか?」
「なぜそれが必要なんですか?」
「何をもっていい仕事をしたと言えますか?」
「なぜ、今の仕事を選んだんですか?」
自分がなぜそれを選んで、そのような行動をしたんだろうと考えることから価値観や信念が見えるようになります。
誰かに質問をするときに、自己認識を促し、自己開示と自己表現を経て、モチベーションを上げる最高の好循環をもたらしてくれる質問があります。
これまでの人生で一番感謝していることは何ですか?それはなぜですか?
この質問に答えてもらうことで、価値観が明確になり、その価値観を自己開示し、なぜいいのかを表現しようとします。
そこから生まれるエネルギーはとても前向きなエネルギーです、
自分自身はもちろん、出会う全てに人に問いかけるべき、素晴らしい質問です。
カウンセラーやコーチ、マネージャーなど人の自己認識やモチベーションのアップを助ける立場にいる人は、人生のターニングポイントについて質問をすると、相手の自己認識や自己開示、自己表現を助けることができます。
人生のターニングポイントを尋ねる質問には次のようなものがあります。
結婚、出産などのライフイベントについて質問するのではなく、その人の人生で経験したことで様々な一番や印象に残っていることを聞くことが大切です。
「それはなぜですか?」という質問もセットにすると、より深い自己認識をサポートすることができます。
人生のターニングポイントについて聞き、相手の価値観や信念を知ることは、相手に自己認識の機会を与えるだけでなく、こちらが相手のことを深く知り受け入れるきっかけにもなります。
この質問の結果、相手はモチベーションが上がり、更にあなたとの信頼関係も深まります。
人生のターニングポイントはそうそう何度も聞く質問ではありません。そういう時は、次のような質問が有効です。
相手の価値観や信念、今興味を持っていることに関心を寄せることが、人との信頼関係を築くきっかけになります。
この記事の内容はモルガン・スタンレーやGoogleで人材育成や組織開発を率い、自身も起業家であるピョートル・フェリクス・グジバチさんの著書『世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法』の一部要約に個人的な見解を加えたものです。
本書は現代の組織に求めれているものは何か?それを得るためにはどうすればいいかが具体的かつ論理的に記されています。
使われている用語は専門用語ではなく、誰にでもわかりやすいものになっていて、例も豊富に乗っている非常に実践的な良書です。
会社を率いている人や部署を率いている人、あるいはマネージャーを目指している人の必読書といえます。
この記事に興味を持たれた方は実際に本書を手に取ってみることをお勧めします。